BEYOND要素までブチ込んだらインフレが凄い事になって、フェストゥム側が可哀想な事になりそうですが、私は知らん!
やることは山程あるが、ひとつひとつを片付けて行くしかない。
「ザルヴァートル・モデル化か。大丈夫なのか?」
「一騎が力を求めています。アザゼル型、そしてザルヴァートル型の事を考えれば、戦力はあるに越した事はありません」
保さんの懸念は理解出来る。だがマークザイン、そしてマークニヒトの2機掛かりでもロードランナーを逃した。島の祝福を授かった僕たちならば遅れを取る事はないだろうが、それでも、ザインを超える器を一騎が求めているのならば、必要になる可能性があるということだ。
アザゼル型については手の内は割れている様な物だ。
だが未知数なのは、僕の恐怖を同化したアトランティスのコアと、その器である金色のザルヴァートル・モデル。そのままザルヴァートル型フェストゥムとして登録されたその個体は、フェストゥムに同化されたマークニヒトと同じことが出来ると思っておいた方が良い。
ザルヴァートル・モデル同士の戦闘は避けては通れない道だ。人類軍で調整中だろうマークニヒトも、このまま行けばフェストゥムに同化され、その力は島に向けられるだろう。
フェストゥムがマークニヒトを同化して、その存在を複製しなかったのは不明だが、ザルヴァートル型はあのアトランティスのコアの支配下にある。
最悪の場合、それを複製されて島を攻撃される可能性がある。
そうでなくとも、ディアブロ型まで現れてはまだ剣司たちの手には余る存在だ。
対処出来るのはザルヴァートル・モデルと、アルゴノート・モデルになるが、こちらは数が限られている。
ならば質を高めるしかない。
その必要性を説いて、大人を説得するのは僕の役目だ。
「良かろう。島を守る為の力は必要だ。ザルヴァートル・モデルの建造を許可しよう。洋治、引き受けてくれるか?」
「引き受けよう。我々の造った救世主の分岐。その先を見定めさせて貰おう」
真壁司令の許可が降り、日野洋治さんの協力も取り付けられた。
「ありがとうございます。既にザルヴァートル化に使う機体はSDPエクストラクターを搭載、アルゴノート・モデルとして調整は終了しています。あとはザルヴァートル・モデルへの改装を終えて、一騎に託すだけです」
「いつ敵が来るかもわからないからな。作業は早い方が良いだろう。突貫作業でやれば一晩で終わるだろうが、調整は出来そうですか?」
「アルゴノート・モデルについては頭に入れてある。改装と並行して調整はこちらでやる。明日の朝には完成するだろう」
保さんと日野洋治さんが予定を擦り合わせる。
日野洋治さんが来てくれた事で、ファフナー関連の技術関係に関して磐石な体制が出来たのは有り難い限りだ。
エインへリアル・モデルに対しての意見交換も既に行っていて、SDPエクストラクターを基にカノン式アクセラレーター、こちらではSDPアクセラレーターと呼ばれる機構の開発の目処が立った事で、エインへリアル・モデルの開発が可能となった。
あとは実際に機体を組んでテストを経て、エインへリアル・モデルは実践投入が可能となる。
その間程度は僕たちが戦えば良いだけだ。
さらに羽佐間の為に調整していたアルゴノート・モデルの調整も完了した。
「これが、私の新しい機体」
「そうだ。アルゴノート・モデル、コードネームはゼクスバイン。羽佐間の特性に合わせて調整した君の専用機だ。君のSDPの負荷に耐えられなかったマークゼクスとは異なり、このゼクスバインならば機体出力をザルヴァートル・モデル並みに引き出したとしても耐えられる設計にしてある」
「ありがとう、皆城くん。これで一騎くんの空を、私が守る事が出来る」
マークゼクスと同じく白い機体のゼクスバインを見上げる羽佐間の力強い視線は、なにがあっても島の空を守るという覚悟が垣間見えた。
羽佐間の戦闘スタイルに合わせる為に、ショットガン・ホーンやクローシールド、イージス、バスターソード・ライフルは装備されていない。ある意味でデフォルトのアルゴノート・モデルがゼクスバインであり、その姿は変化する前のマークザインを彷彿させるものだった。
メインブースターの他にアンカーケーブルだった部位はトローンズ・モデルと同様の6基のスラスターになっている為、その機動性は初期のマークザインよりも高い物になっている。
標準装備はレージングカッターやアームブレード、機関砲と、エインへリアル・モデルの装備と共通させているが、羽佐間の要望でマインブレードを引き続き内蔵し、ザルヴァートル・モデルの装備であるホーミングレーザー発振器も装備されている。
あとは羽佐間が出撃する時に装備するレールガンが基本装備となるだろう。
近接戦闘用装備をこれでもかと満載したマークベルクロスと違って、空戦能力を主眼に置いたゼクスバインには余計な装備は不要という訳だ。
もう1機のアルゴノート・モデル、マークレルネーアは甲洋に合わせて調整がされている。
メデューサを装備させて中距離支援が可能となっている。
あとはガンドレイクが基本装備となるだろう。
生駒先輩の要望だったパイロットへの復帰に関しても承認され、将陵先輩との連携と機体の成熟を考慮してティターン・モデルをさらに追加する事となった。
こちらは将陵先輩の機体を整備するパーツを使う為に、用意する時間はさほど掛からない。
それから立上が乗らずに空席になったマークツヴォルフをアルゴノート・モデルへと改装した、マークエルマントスを来主に宛がう事になった。
他にはグノーシス・モデルの生産ラインを確保する為に、20mの機体をノートゥング・モデルと同じ35mにする為の再設計もした。基がグノーシス・モデルである為に、こちらは元人類軍のメカニックマンの力を借りれたので人員に関しては問題なかった。
マークツヴァイのザルヴァートル・モデルへの改装を終えて、一騎が搭乗し、竜宮島の海上から少し離れた海域で、新たな器を目覚めさせる事となった。
万が一に備えて、僕もマークエクジストで同行した。
『そろそろ始めるぞ』
「ああ。一騎、僕と存在を同調させろ。そうすれば、なにがあってもお前が消える事はない」
『わかった』
クロッシングを通して、一騎と僕の存在を同調させる。これで僕の祝福と、マークエクジストの力が、何が起ころうとも一騎の存在を消させやしない。
マークツヴァイが海上に浮き上がり、光を放ち始めた。海水を巻き上げ、そして島のミールを通して、キールブロックに溢れるコアを同化し始めた。
同化したコアが共鳴し、その存在を超えていく。
「これ程までか…」
感じる力はあまりにも強大だった。
マークザインやマークニヒト、マークレゾン、このマークエクジストすら超える程の、途方もない力を感じる。
光が溢れて、巻き上げられた海水が衝撃波を伴って弾け飛ぶ。
水蒸気の中から現れたのは、マークエクジストに似た青い機体。
「存在と無を超えた、全能の力。マークアレス、か」
機体コードが新しく登録される。
マークアレス。それが一騎の求めた新たな力。
そこまでの力を必要とするのならば、一騎だけに背負わせはしない。
『総士?』
「お前がやれたんた。僕にだって出来るさ」
ザルヴァートル・モデルの再構築。より強い力を願うことで成し遂げられる新たな存在への進化。
マークエクジストの中に存在する生命と、島のミール、ゴルディアス結晶、島に溢れるコアと共鳴する。
機体が翠色の結晶に包まれる。
穏やかで、暖かい、生命の鼓動を感じる。
その生命に力を求め、器を進化させる。
結晶が砕け散り、マークエクジストは進化を果たした。
マークアレスとほぼ変わらない姿だが、その力はマークアレスにも引けを取らない程になった。
これ程までに強い力。振るい方を間違えれば世界を滅ぼしかねない物だが、この力を必要とする時は必ず訪れるだろう。
「器を進化させるなんて、無茶をするね、総士」
「可能だと思ったからやったまでだ。あれ程の力が必要になるのなら、数があっても困ることはない」
「ホントは一騎に置いていかれたくなかったからでしょ?」
島に戻ると、乙姫と織姫から、何故か小言を貰った。
おかしい。別に何も無茶も無理もしていないと言うのに。
「大丈夫なんですか?」
「ああ。身体に異常はない。いたっていつも通りだ」
立上にも心配されたが、全く問題はない。
ただ器を進化させただけだ。身体には全く負担は掛からなかったのだから心配はしなくても良い。
「それでも、心配な物は心配なんですよ」
「その言葉はそっくりそのまま君に返すぞ」
「あたしは死にませんから大丈夫ですよ」
「そういうところだぞ」
死なない事を前提に戦っている訳ではないが、一騎のマークザインと同レベルでの戦闘を行っているのだから、負荷は当然掛かる。状況が状況なら、躊躇いなくその生命を擲ってしまうのが立上だ。
同化現象に関しては僕が肩代わり出来るとはいえ、何かが間違って立上がいなくなる様な事はあまり想像はしたくないな。
新たな力を得ることは、更なる痛みを増やすことになるのだろうか。
たとえそうであっても、人は力を求めずにはいられない。
平和を勝ち取るための力。その為に僕たちは危険であってもその力を手にすることを選んだ。
to be continued…