CLANNAD+1   作:ミコノス

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第2話

「さてと……、今日は何を食おうかね。」

 

外は柔らかな日差しが降り注ぎ心地よい温かさで、まさに春の陽気を感じさせるものだった。体も動かしやすいとなれば、元運動部の血が騒ぐというもの。

 

「今日は少し遠くまで足を延ばしてみるか……。確か春原が行きつけの丼もの屋があったな。よし!今日はそこにするか。そうと決まれば……。」

 

俺は校門を出ると、そこから少し歩いた先にある春原が住まう学生寮へと向かうことにした。学校からは徒歩数分の距離という驚きの立地。加えて寮母さんもいるのだから破格の物件である。

 

「そういえば、委員長の占いだと明日は遅刻するんだったな。素敵な女性と出会って遅刻らしいし、出会うのは通学路の途中か。」

 

それなら、いっそのこと春原の家から通学するのはどうだろうか。通学路が短ければ短いほど出会いの遭遇率も下がる。このまま明日を迎えて、占い通りになったらそれはそれでなんだか負けたような気がするし、こっちだって不良やっている意地がある。委員長の言う通りってのはその矜持に反するのだ。

 

そんなつまらない意地を張っているうちに目の前には目的の学生寮。ここに俺のもう一人の悪友がいる。

 

「おーい、美佐枝さーん。」

 

いくら平日の昼間とはいえ、ここは学生寮。無言で入るのはさすがに忍びないので、一応あいさつをしとかないとな。

 

「はいはい。どちら様……って三井じゃない。何か用?」

「大した用はないんですけど……。無言のまま入るのもどうかなと。」

「はぁ~~。岡崎もそうなんだけど変な所で律儀よねあんたたち。別に今さら黙ってどうのこうの言うほど、うるさいように見える?あたし。」

「そういうわけにはいかねえって。最低限の礼儀位俺にだってあるさ。」

 

いくら不良だからと言ってもクズではない。ちゃんと礼儀を尽くすときは尽くしている………つもりである。

 

「あんたが用事あるのは春原でしょ?まだ寮から出たところは見てないから、まだへやにいるんじゃ……」

「ヒィィィィィィィィィ!!!!」

「……いるみたいだな。」

「ついでに黙らせてもらえると嬉しいわ。」

「善処するよ。」

 

あのバカへのお願いが一つ増えたな。連れ出す予定なので一石二鳥か。

 

「ギャァァァァァァ!!!」

「あいつホント何してんだよ……。」

 

なんか断末魔みたいなのが立て続けに聞こえるんだが。果たして俺があいつの部屋にたどり着くまでに生きているのだろうか。

 

「おい、春原。お前さっきから一体何して……。」

 

上の階へ上がるとまず目に入ってきたのは春原とラグビー部が猛烈に絡み合っている姿だった。しかも、お互いに上半身裸で。どこからどうみても男同士でくんずほぐれつしている様にしか見えない。春原が下になって抵抗しているのがさらにリアル感がある。二人は互いに顔を赤らめながら……。やめよう。これ以上は気分が悪くなる。

 

「お邪魔みたいなんで帰らせてもらうわ。すまん。」

「待て待て待て待て三井ぃ!!!この状況でよく帰れますねぇ!?」

「いや、むしろこの状況だから帰るんだろ。どうみてもお邪魔虫だし。」

「邪魔じゃない!むしろグッド!ベストタイミング!頼むからこっち来てください!!」

「え……?まさか俺までそこに加えようと……?」

「なんでだよ!どう考えても襲われてる(被害者)のを助ける為だろ!?」

「ああ、(加害者側を)助けようとしてるぞ。」

「逆だろ!?ボクを助けろよ!?」

 

助けるって言ってもなぁ……、ラグビー部なんて、何もしてなくて手を上げるようなやつらじゃないと思うんだが。

 

「なあ、アンタ春原に何かされたのか?」

「ん?なんだ、三井のやつか。ウチの後輩が美佐枝さんに内緒でしてた相談事があったんだが、そいつをこのバカが言いふらそうとしてたんだよ。だから、後輩に代わって成敗してやってるんだ。」

「春原、有罪。」

「待ってくれぇ!!!」

 

やはり、発端は春原だったか。コイツ人のそういう話好きだもんなぁ。

それじゃあ、仕方ないな。別に飯ならどこでも食えるし、今日は思う存分にやってもらうこととしよう。

 

「じゃあラグビー部君。存分に春原におしおきしたまえ。」

 

最後に一言残してその場を立ち去ることにした。

ごめん、美佐枝さん。春原の介護は俺にはレベルが高すぎたよ……。

 

それにしても、美佐枝さんは寮生相手に相談事まで受けてるのか……。思春期真っ盛りの男子高校生のお悩み相談とかよく引き受けられるな。男子寮の寮母さんってだけでも珍しいのに、そんなことまでしてくれる人がいったい日本中にどれだけいることやら。やっぱり、よくできた人ていうのは俺みたいな人間とはモノの考え方からして違うよな。

 

そんなことを考えながら一人坂道を下っていると、前方からものすごいスピードでバイクが通り過ぎっていった。

 

「あいつらは……。」

 

確か、先週あたりに因縁つけてきたから返り討ちにしてやったやつらのような……。あいつらがこの坂道を上っていく用事なんてひとつしか思いつかない。

 

「クソッ。やり返すなら個人的に来いってんだよ!」

 

昼飯なんて後だ。自分のいざこざに他人を巻き込むなんて死んでもしたくねえ!

絶対にほかのやつには手出すんじゃねえぞ!

 

俺は繁華街へと向いていた足を急いで変え、坂道を駆け上がった。

 

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