「やあ、ボクは飛鳥、二宮飛鳥だ。」
「こんにちは。橘ありすです。」
「第二回目が始まりました。」
「ああ。またこの時が来たようだね。」
「まだ二回目ですよ。その言葉使うのは早すぎませんか?」
「ボクは感じたことを思うままに言っているだけだよ。」
「次回以降も同じことを言うんですか?」
「それは未来のボクにしか分からないことだね。今のボクが思ったところでこの先に……」
「あ、それではメールをいただきましたので早速参りましょう。」
「さて今回の質問はアリアスネーム『みうさぎ』さんからいただきました。「わたしは同い年のアイドルと比べて個性が薄い感じがします。普通というか今は方向性を探しています。是非アドバイスをください」だそうです。」
「個性についてか。悩む必要なんてあるのかな?ありのままでいればいい、ただそれだけさ。」
「私も特に気にしたことはありませんでしたが、言われてみると思うところはあります。」
「そうなのかい?」
「私が思うにこの事務所のアイドルは個性が強いです。」
「まあこれだけの人数が集まれば不思議でもないだろう。」
「そう簡単に済ませられないレベルの人が集まっていると思います。」
「見ていて驚かされることはあるね。」
「この事務所にいると違和感がなくなってきますが一般的にみて個性派の人が多いです。」
「このお悩みを送ってくださった方は名前から考えると14歳ですね。とくに各年齢層で見たときに14歳の方々は顕著だと思います。」
「おや奇遇だね、ボクは14歳なんだ。」
「知っています。ちゃんと個性的な方の数に入っています。」
「まあボク自身も少し世間から浮いている感覚はあるからね。個性的といえるかもしれない。」
「目をつむっていても話し方で分かる自信があります。それほど特徴的と感じます。」
「そもそも個性とは何だろうか?ボクは特別に何かをしているつもりはないよ」
「エクステしている人はアスカさん以外に見かけませんね。」
「事務所の中ではボクだけのようだね。」
「話し方も婉曲的な表現ありますね。いわゆる中二病です。」
「はは、その通りだね。でも目立つことだけでいいのなら、外見や言動を強調すればいいのかい?」
「個人特有の性質ですから、意味合いとしては間違っていないと思います。」
「後から意図的に付け足したものは果たして個性なのだろうか?」
「それは難しいところですね……。付け足すことができるのものなら、それは誰でも持つことができるという子ですから。」
「唯一無二なことなので果たしてあるのだろうか?」
「広い目で見たらないかもしれませんが、事務所内などで見ればあるんじゃないでしょうか」
「ボクは何も変わっていないのに、セカイの大きさによって個性と決まるなんて皮肉なものだね」
「唯一無二でなくとも要素を聞いて、連想できるならそれは個性と判断できる気がします」
「この個性を求めているものはアイドルとしてなのか、ありのままの自分であるかも大事じゃないですか?」
「ボクはいつもこんな感じさ。」
「そうですね。でも346のアイドルでキャラを作っている人もいます。猫キャラや、ロック、ウサミン星の方がいらっしゃいますね。これらはすべて後付けだと感じます。」
「なるほど、誰のことを言っているかわかる。」
「そうなるとキャラづけの意味や効果はありますね。ただキャラで売ると後々大変になるそうです。年齢やニーズによりギャップが生まれるそうです。」
「やはり自分を偽って見せるのは大変そうだ。ボクにはできそうにないよ。」
「余談ですが世の中にはギャップ萌えというものもが存在するようです。違うと分かっているからこそ良いらしいです。」
「セカイは広いね。」
「アリスは自分の個性を何だと思っているかい?」
「そう聞かれると少し困りますね。しいて言えば同い年の子よりかは大人びているところでしょうか。ですけれど大人の方々から見たらやはり私はまだ子供なのでしょう。」
「おや、もっと自分のことを大人というかと思ったよ。」
「子供扱いは好きではありません。ですが足りてないことはたくさんあると、受け止めることができるようになりました。」
「しっかり成長しているようだね。」
「ちゃんと勉強させてもらっています。そうですね、私を表す言葉は『真面目』だと考えています。」
「ピッタリだと思うよ。アリスはマジメすぎるね。」
「ほめているんですか?」
「ほめるも何もそれがアリスということだよ。でもアリスが普通とは違うところも知っていうよ」
「私にそんなところありましたか?」
「アリスはいちごパスタが好きなんだろう?これは珍しいだろう。」
「そ、そんなことないです!変じゃないです!おいしいから問題は全くありません。」
「ふふ、そういうものなのかな。」
「それは食べたことがないからそう思うだけなんです。食べてみればすぐに分かりますよ、アスカさんもぜひ食べてこのおいしさを布教させましょう!」
「い、いやボクは遠慮しておこうかな。」
「知らないのに語ることはよくないですよ。それは観測者としてどうなんですか?」
「うっ、いや今は個性の話をしているんだ。道をそれ過ぎてしまったね。」
「いつもはアウトローな雰囲気を出しているのに……。とりあえず後で話しましょう。」
「まあアリスも好きなことなどは年相応の幼さが見えるということかな。」
「そういうまとめ方は遺憾です。アスカさんだって時々可愛らしい少女の一面を見せますよね」
「そうだったかな?」
「いろいろな表情を持つのは当然ということです。」
◇
「では悩みの解決法をまとめていきましょうか。まずキャラづけという見方についてですね。」
「ただインパクトがほしいなら、新しさを求めるということかな。」
「そうですね、誰もやっていないことをすれば良いのではないでしょうか。かぶってしまうと印象が薄くなってしまいますから。」
「どんどんマイナーな路線に入ってしまいそうだ。」
「その点は難しいですね。何より素のままで同じ系統の人がいたときにかないませんから。」
「次に個性についてですね。」
「ボクの考える個性は確固たる信念だね。他者から否定されてもそのままであり続けることが自分の存在証明になるんだ。」
「やはり自分が感じていることを表現することが自分のことを伝えるうえで単純ですが、一番効果的だと思います。」
「ボクはありのままが一番かな。なりたい姿をイメージするんだ。それを表現するのさ。いや、因果が逆なのかもしれない。内なる衝動の結果がボクなんだ。」
「私も背伸びをして大人びる必要はないと感じるようになりました。」
「人間ですから似た性格や趣味の方がいることも当然あります。それは悪いことではないです。それに普通の方は大事です。私のような常識人はいつも振り回されていますから。」
「個性の強さは主張が激しいから仕方ない。ぶつかり合うことも少なくはないだろう。」
「ですからそういった人たちをつなぐ役目の人も必要とされています。もちろんその中で負けじとアピールすることは大事です。」
「誰にも負けない魅力を作ることもいいだろう。だけれど誰とでももうまく活動できることも大切だ。」
「それに自分では当たり前だと思っていることも他者から見たら違って見えるというものだね。セカイは観測者の見方次第でいくらでも変わるものさ。」
「自分では魅力がないと思っていても、そこに気が付きあなたをプロデュースした方がいます。惹かれている方は必ずいます。その方を信じてみませんか?」
「今回もたくさん話した気がするよ。」
「そうですね、一度自分の現在と目指すところを振り返れた気がします。」
「それじゃあ、またいつか相まみえる日まで。お相手は二宮飛鳥と、」
「橘ありすでした。ばいばーい!」
「飛鳥さん、お疲れ様でした」
「ああアリスもお疲れ」
「自分らしさはやっぱり難しいですね」
「そうだね、ボクらは成長していく。その中で得るものもあれば失うものもあるだろう。いつまでもこのままではいられないかもしれないからね。」
「新しいことにも挑戦していきたいですね。」
「ああ、恐れても歩みを止めずに進み続けていきたいね。」
「言いましたね?では覚えていますか、さっきのラジオの中で話していたことです。」
「え?」
「いちごパスタ早速作ってきます!」
「あ、いやそれは……」
「ほかにも食べたい人がいるかもしれませんから、たくさん作りましょう!」
「やはり個性は暴走すると恐ろしいものだ……」