終わりがもたらしたはじまり   作:ふぁんた

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第10話「デートの誘い」

「とはいったものの・・・」

 

僕は部屋でAqoursの今までのライブの映像を再生しながら考える。

この子たちに相応しい曲かあ・・・

 

書けるのか?僕に?

 

確か某バンドについての評論サイトに

 

「バンドマンは基本根暗でマッシュヘアを使ってブサイク面を隠した低所得の脳内ピンククソ野郎」

 

みたいなことが書かれていた。

苦笑するしかない。

 

というより、ここまで言い切られると逆にすがすがしさを感じるところもあれば、ある意味あてはまる人たちも多いので、なんも言えない部分もある。

 

それに、脳内ピンクの下りがあてはまるのは男だったら誰でもあてはまるような・・・

 

僕はついこの間起きた事件を思い出す。

 

だからこそ思うのが、僕はアイドルといわれる彼女たちとは正反対の場所にいるのではないか?ってことだ。

 

伝えたい言葉や想いに違いはないのかもしれないが、本当に僕が彼女たちの曲を作っていいのだろうか・・・?

 

あの新入生歓迎会から二週間が経過した。四月も下旬。

 

カレンダーには5月の文字が見え始めて、新入生たちの部活動見学時期もそろそろ終わりだ。もうそろそろ本入部の時期だろう。

 

今日は土曜日。千歌ちゃんは今日は練習で、僕は家で作曲作業だ。

 

入部の手続きを踏んだり、周りにスクールアイドル部に入ったことについて色々聞かれたりと何かとあわただしい期間だった。

 

その間で梨子ちゃんたちと話し合ってとりあえずの作詞作曲を一曲、僕がすることになった。

 

「Aqours・・・海・・・輝き・・・光・・・」

 

ノートに彼女たちを表しそうな言葉を連ねる。

 

とりあえずの曲と歌詞の案はあるので、それを打ち込みながら僕が気に入る感じに編曲していく。

 

疑問は消えない。

 

この曲でいいのか、とかこの歌詞でいいのか、とか。

 

創造することはいつだって戦いなのかもしれない。

 

自分となにか得体のしれないとてつもなく大きなものとの。

 

ただ黙々と曲のメロディをパソコンに僕は打ち込み続ける。

 

その時アキラから着信が入った。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「なんでなの・・・?」

 

「なんでずら・・・?」

 

休憩時間。練習場所として使わせてもらっている屋上で梨子ちゃんはぷるぷる震えてる。

 

「なんで一年生の子たちはこないのよ(ずら)!?」

 

私達が直面している問題。

 

それは入部希望者や見学者の圧倒的なまでの少なさだった。

というか、いない。

 

「梨子ちゃん!私達、新入生歓迎会のアンケートの楽しかった企画は一位だったであります!」

 

曜ちゃんが右手で敬礼しながら言う。左手には実行委員会が行ったアンケートの結果だ。

 

「じゃあなんでよー!!!」

 

「梨子ちゃんの言うことももっともずら!マルも先輩ってよばれたいずらあ!」

 

荒ぶる部長と副部長。

 

この二人がここまで荒ぶるのを見るのは初めてかもしれない。

 

「あ、今年の入部状況を聞いてきたんだけど。」

 

曜ちゃんが続ける。

 

「文化部で圧倒的に強かったのは軽音楽部だって。一年生がものすごく入って、同好会から一気に部まで昇格して部室も獲得したとか。」

 

「・・・・コウさんのパフォーマンスの影響ずら?」

 

「ぽいね。入る部活を決めてなかった層があれ見て軽音部に流れたみたい。」

 

「確認するけど!あの人ベーシストだよね?!なんであんなにギター弾けるずら!」

 

「・・・プロってある程度何でもできちゃうってことよね・・・。」

 

「まあまあ、花丸ちゃんに梨子ちゃん!コウ君はうちの部活に所属してるし、大丈夫だって!」

 

わたしは荒ぶる花丸ちゃんを抑えようとする。

 

うーん、副部長の職ってやっぱり責任が重いんだろうか?

 

「それに、この学校、もともとスクールアイドル部があったわけじゃないから、スクールアイドルやりたいって子たちが少なかったのかも。」

 

「あー、それはあるかもねえ。」

 

梨子ちゃんは納得しようとする。

 

私は正直、私達らしくいれたら、どっちでもいいかなって思う。

 

ていうわけで、この問題に関しては私は楽観的だ。

 

「でも、まさか、こんなことになるとは・・・。こうなったら意地でも結果出すわよ!」

 

「やるずらあ!」

 

部長と副部長はやる気がある。よきかな。よきかな。

 

その時、部室にタオルを取りに行っていた善子ちゃんとルビィちゃんが帰ってきた。

 

「あれ?コウさん来てないの?」

 

「え、コウ君今日は家で作曲してるって言ってたけど。」

 

「ルビィ達さっき部室の窓からコウさんみかけたよ!」

 

突然の報告。

 

おかしいなー、話が噛み合わない。

 

「まさか!!」

 

・・・・・

 

「ごめんみんな、僕は軽音楽部に行くことにするよ・・・」

 

・・・・・

 

「ぶっぶーーーーー!!!ずら!!!」

 

ダイヤさんのセリフが継承されている・・・

 

このままだとコウ君があまりにかわいそうなことになりかねないので、一応フォローする。

 

「落ち着いてよみんな!さすがにそんなことはないって。約束破ったりするような人じゃないよ。」

 

「・・・まあ、それもそうね。」

 

「とりあえず、練習しよう!」

 

部員問題はこの二人の中では根深いものになりそうだ。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

夕方ごろ、練習に一区切りついて帰宅の時間。私たちが部室に行くとコウ君がいた。

 

ノートパソコンに向かってむずかしい顔をしている。手元にはギター。耳元は練習でいつも使ってるヘッドフォン。

 

それとパソコンとはべつに大きな箱みたいな道具が置かれていて、パソコンと接続されている。

 

「ずううらああ・・・!」

 

ヘッドフォンをそっと外し、花丸ちゃんが後ろから脅かす。

 

「うわ!・・・みんなおかえり・・・」

 

一瞬驚いてから、落ち着きを取り戻したようなそぶりを見せる。

 

私がしょっちゅうやってるので、そろそろ耐性付いたのかな?

 

うーん、でもこの手のいたずらは私の特権だと思ってた。

 

「何でここにいるの?今日家にいるって言ってたじゃん。」

 

なんでか分からないけどモヤモヤして少しいらついた声で聞いてしまう。

 

「アキラに軽音部に呼ばれて行ってたんだ。軽音部入れよーって最近よく言われる。」

 

話しながらも手は止めない。この辺りはさすがだ。

 

「やっぱり軽音楽部はいっちゃうずらか!?・・・マルたちに止める権利はないけど・・・」

 

コウ君は笑いながら言う。

 

「いや、保留にしてるよ。たまに練習見るだけでいいからっていわれててさ。まあそんくらいならいいかって。」

 

「入ったわけじゃないずらか・・・」

 

花丸ちゃんの安堵のため息。

 

「曲できそう?」

 

梨子ちゃんが問いかける。どこか不安げだ。

 

「基本的なメロディはできてるよ。ただ、何となくしっくりこなくてさ。仮で作った歌詞もあるんだけどそれも何となくしっくりこない。」

 

「ちょっと聞かせて」

 

ヘッドフォンを耳に着ける。

 

「なんていうか、悪くはないんだけど、インパクトに欠けるって印象・・・」

 

「今は基本的なリズムとメロディだけってのもあるかもしんないけど、こっからどういじろうか悩んでるって感じかな。」

 

梨子ちゃんは少し考え込む。

 

「ねえコウ君、この後時間ある?音楽室借りて編曲してみない?」

 

「いいよ。実際に作ってる子から聞いた方が作業も進みそうだ。」

 

「じゃあ、着替えるから、先に鍵借りて待ってて。」

 

コウ君は機材やパソコンを片付けると、ローラ付きの荷台みたいなやつに縛り付けて部室を出ていった。

 

「じゃあ、私は音楽室行くわね」

 

そういって梨子ちゃんは音楽室に向かおうとする。

 

「じゃーねー。コウ君に遅くなるようだったら連絡するよう伝えて!」

 

「わかったわ。」

 

二人が音楽に向き合ってるのはものすごく伝わるし、わかっていることだ。

 

だけど。

 

だけど。

 

ものすごくモヤモヤする。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「とりあえずメロディはこれでいくとして、あとは乗りやすいビートとベースラインね。メロディをなんの楽器で弾くかとかも考えなきゃいけないなあ。」

 

「アイドルの楽曲だし、バッキングのギターとピアノかなあ。ベースラインに関してはもう好き勝手に暴れまわろうと思ってるけど。」

 

「ロックバンドとアイドルだとみられるポイントが変わってくるよね。うーん、なやみどころだなあ」

 

音楽室でピアノとにらめっこしながら、パソコンから流した音を聞く。

部室にベースとギターも持ってきたかったがまあ仕方ない。ここら辺は梨子ちゃんと要相談だ。

 

「なんか、歌詞もパッとしないんだよね。僕なりにAqoursのイメージで作ろうかなって思って書いては見たんだけど」

 

「確かにありきたりって言われたらそうだよね。いつもはどんな感じで書いてるの?」

 

「変わってるかもしんないけど僕は先に歌詞を書いちゃうんだ。」

 

「歌詞を?」

 

「よく変わってるって言われるんだけどね。」

 

梨子ちゃんは驚いたようにこっちを見る。

 

「最初は思ったこととか、書きたいと思ったことを歌詞にして書いてみるんだ。そしたら、何となくだけど曲のイメージが浮かんでくる。それを歌ってみて録音したらそれをもとに曲作りを進める感じ。」

 

多分僕が曲を書けないのはそもそもの歌詞を書けなくなってるのもあるんだと思う。

 

一体何を書けっていうんだ。何を伝えろっていうんだ。今の僕なんかに。

 

「確かに少し変わってるかも。私はある程度ピアノで作ったのをみんなに聞いてもらってから、千歌ちゃんが書いてくれた歌詞を入れて編曲したりとかってかんじかな。」

 

作る人によってぜんぜん違う。だから音楽は面白いし、苦しいんだろうな。

 

どこにもない答えを暗闇の中で探さなくちゃならない。

 

今の僕には苦しい。

 

「じゃあ、歌詞を練り直してみましょうか?」

 

「うーん。それが早いかも。」

 

すると梨子ちゃんはにっこりわらってこっちを見る。

 

「ゴールデンウィークの最終日、一緒にでかけよう?まだこっちのことよくわかってないでしょ?」

 

「それに私、見たい映画あるんだ。」

 

「うん、いいよ」

 

その言葉に僕は反射的にうなづいてしまった。

 

 

 

 




次回投稿は24日水曜日の昼頃を予定しております。

感想、アドバイス等ありましたら、コメントお願いいたします。
お気に入り、しおり等もよろしければお願いします。

作者個人の都合となってしまいますが、二月は更新頻度が下がるかもしれません。楽しみにしてくださってる方がいらっしゃいましたら申し訳ないです。

[以下作者あとがき]

今月末までテストなんですが、ほんとに大変ですね。
学部専攻でもねえ奴が専門外の講義なんざとるんじゃなかった()

とか言いつつ作者はWANIMAの新しいアルバムかって最近ほぼ毎日聞いてます。個人的にはサブマリンとシグナルがお気に入りですね!なんか聞いてると元気出てくる。
単位ワンチャン!!!!!!

今回は本編更新ということで、次回につながる話を書きました。
ノリ的にラブライブを連想するようなノリをぶち込んだつもりなんですが表現できてたでしょうか?

作中にバンドマンはこういうやつだみたいなのを引用的に書いてしまいましたが、こういう見方があるのも事実でして、僕自身はバンドマンでもなんでもないですが、展開上、そうした意見を書かせていただきました。(ゲス不倫以降こういう見方強まってる気がします。)気分を害された方がいらっしゃいましたら申し訳ありません。僕個人は、言い訳でもなんでもなく、バンドマンはそういう悪い面も含めてカッコいい人たちと思っております。

名称はあげませんが、割とそういうことを赤裸々に書いているコラムサイトがありまして、僕は割と楽しくよんでおります。

作中出てきた作曲の方法については僕がよくやる方法を選びました。割と限界が来るときは来る方法なんですが、言葉の響きを大事にした曲やインパクトのすごい曲が好きなので僕が曲を作るときはこの方法が多いと思います。

正直書いてると御都合主義っぽくなっちゃうところがたくさんあるんですが、あり得る範囲で現実に沿いながらかけたらなって思ってます。

次回からはデート回になります。作者の想像以上に話が膨らみかけてて、編集が結構大変ですが、展開じたいはできておりますので、ご安心ください。
少しでも多くの方にこの物語を楽しんでいただけましたら、作者としてもうれしく思います。
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