17話 「再集結!」
「昨日は本当にごめんね!」
千歌ちゃんが僕らの前で頭を深く下げる。
昼休み。
僕たちは全員屋上に千歌ちゃんから呼び出されていた。
昨日は曜ちゃんの家に泊まったらしい千歌ちゃんは嫌にスッキリした顔をしていて、昨日の元気のなさが嘘みたいだった。
昨日の夜、曜ちゃんから個人ライン来た。
千歌ちゃんが元どおり元気になったこと。自分のうちに今日は泊まるということ。
そして
「コウくんはコウくんらしくね!自分に素直に٩(๑❛ᴗ❛๑)۶」
ってラインが来ていた。
(ついでに「下着の件はデリカシーなさすぎ!」って怒られた。言わないでよ千歌ちゃん…)
とりあえずお礼のラインはしておいたけど、一体あれはどういうことなんだろう?
曜ちゃんに余計な心配をかけたのなら申し訳ないな。
「マルたちは大丈夫だよ。千歌ちゃんは大丈夫ずら?昨日ほんとに様子がおかしかったけど…」
心配そうに花丸ちゃんが言う。みんなほんとに心配していたんだからな。
「もう大丈夫!…私、色々重なって疲れちゃったんだ。それでイライラしてた。本当にごめんね。」
「…まぁラブライブ のこともあったしね。でもそれでイライラすんのはよくないわよ?」
何故だ。普段堕天使だの何だの言ってる善子ちゃんが大人に見える。
「…うん、ごめんね。」
「ま、いいわ。全員にジュースで許したげるわよ」
「うへえ…でもありがとね。」
「ルビィは不謹慎かもしれないけどちょっと安心したんだあ。」
いつもの調子のルビィちゃんが言う。
僕の前ではまだちょっとビビっているところがあるが、みんなの前ではこんな感じだった。
「え?」
「千歌ちゃん、すっごくエネルギーがあってルビィはそれについていくだけで…でも千歌ちゃんだって私と同じようにどうしたらいいかわからない時があるんだなって。ごめんね、千歌ちゃん。」
「大丈夫。それにみんながいるから私は今ここにいるんだってわかったから。」
力強く言う。ほんとに立ち直ったみたいだ。
すごいな曜ちゃん。
「もちろん、コウくんだって例外じゃないよ!私たちの仲間なんだからね!」
そのまま僕の手を掴む。そして、急にしおらしくなる。
「…昨日はあんな酷いこと言って、ごめん。」
今更僕に謝るのが恥ずかしいらしい。
すごく赤くなった顔で下を見て言う。
こっちだって恥ずかしくなる。
「気にしてないから大丈夫。誰にだってイライラすることはあるよ。」
「ありがとう…」
僕の手を離すと曜ちゃんの所に戻っていく。
「ほんっとーに心配してたんだからね!」
梨子ちゃんが食い気味に千歌ちゃんに言う。
「近いよー、梨子ちゃん…でもごめんなさい。梨子ちゃんとコウくんには特に心配かけちゃった。」
「…それじゃあ部長として、リーダーに聞くわ。Summer Rocksに千歌ちゃんは出たい?」
「うん!出たい!新しいところで新しいAqoursの輝きを見つけてみたい!」
千歌ちゃんのその言葉を待っていたように僕らは笑い合うのだった。
・・・・・・
放課後、僕らは今日の活動を無しにして、鞠莉さんの宿泊しているホテルへ向かう。
Summer Rocksの出演を伝えるつもりだ。
本当は電話でもいいんじゃないかとも思ったが、昨日はあんな感じになっちゃったし、千歌ちゃんたっての希望で直接話しに行くことになったのだ。
それにしても、だ。
梨子ちゃんからはとんでもないリゾートホテルに住んでいたって言う話を聞いてはいた。
そのホテルを経営している会社の社長令嬢という話も聞いていた。
聞いてはいたものの。
マジでハンパないなー…これ。
自分の語彙力のなさを痛感するが、そうとしか言いようがない。
少なくとも高校生が足を踏み入れるようなところではないってことは僕にもわかる。
にもかかわらず、Aqoursのみんなは僕よりは慣れた感じだ。僕が感心していると
「まぁ何度か来てるから…」
と、梨子ちゃんから斜め上の答えが返ってくるのだった。
Aqoursというグループは何か別のところで吹っ飛んだところがあるのかもしれない。
ホテルの受付の人にも顔が覚えられているようで、すぐに鞠莉さんに繋げてくれた。
「お嬢様に確認してまいります。少々お待ちください。」
と言われ、受付近くのロビーのソファーに座ってロビーを見回す。
一体何をどうすればこんなホテル作れるお金ができるんだろう?
その上しかもSummer Rocksを企画する会社のスポンサーってことは相当大きい複合企業ってことだ。
フェス遠征者に向けた宿泊サービスとかにも関係してるんだろうな。
世の中上見りゃきりねえなー…
「コウくん、来てってさ。」
ボーッとしてたら千歌ちゃんが声をかけてくる。
僕はさっきから気になっていたことを聞いてみることにする。
「千歌ちゃん、なんで今日目を合わせてくんないの?昨日のことだったら気にしてないよ?」
今日話してる時もずっとそうだ。
目を合わせて話してくれない。いつもだったらめんどくさいくらい前向いて話すのに今日はこっちを見てくれない。
途端に慌てたように言う。
「そ、そんなことないよ!ほら、鞠莉ちゃん待ってるよ!行こ!」
手を引っ張られる。
僕は千歌ちゃんに引かれるようについていく。
昨日もおかしかったけどある意味今日もおかしい。どうしたんだろう…?
・・・・・
僕たちは揃ってホテルを進む。
壁には高そうな絵がかけられていて、進むほどに圧倒される。
目的の部屋の前に着く。
中からは言い争う声が聞こえた。
「ーーーーー!ーーーでしょう!?」
「ーーーー!こんのーーー!こーーーゅう!!」
「ーーーーって!?」
なんだかものすごく不毛そうな言い合いをしているように聞こえる。
でも僕らのほかに先客?
「あわわ…鞠莉ちゃん誰かと喧嘩してるみたい……終わらないと入れないよお…」
怯えてるルビィちゃんの頭を花丸ちゃんが撫でながら言う。
「大丈夫ずらルビィちゃん…マルがいくずら。」
「は、花丸ちゃん?大丈夫?」
梨子ちゃんが心配そうに言う。
「大丈夫ずら…せーっの!鞠莉ちゃん!!ケンカはぶっぶー!!ずら!!!」
勢いよく扉を開けた花丸ちゃんに合わせて僕たちは部屋になだれ込む。
「は、花丸さん?!そのセリフは私のセリフですわよ!?」
「「「「「「ダイヤさん(ダイヤちゃん/おねいちゃん/ダイヤ)!!!!????」」」」」」
僕らがそこで見たのはとびきり清楚なルビィちゃんのお姉さん、ダイヤさんが鞠莉さんを壁ドンしている様子とパソコンのスカイプ画面に映る呆れた顔の松浦果南さんだった。
「か、壁ドン!!!」
なぜかテンションが上がっているような梨子ちゃんの声が聞こえた。
次回更新は2/16(金)を予定しています。
コメント、アドバイス等よろしければお願いいたします。
[以下作者あとがき。]
梨子ちゃんの番外編いつ書けるのか作者は不安になって来ました。完全にタイミング逃してしもた…。どうも作者です。
完全に書く書く詐欺してることになってるんですが、諸々ありまして、なかなかかけずにいます。しばしお待ち下さいm(._.)m
本編に元三年メンバー登場しました!元々のAqoursが再集結いたしました。やっとこさ三年メンバー勢揃いで出せました!まだ果南ちゃんセリフないけど。
果南ちゃん誕生日おめでとー!!!
次回はなぜダイヤさんが鞠莉ちゃんのとこにいるのかというダイヤさん回になります。ダイヤさんの大学生活のぞいてみましょう。
いつも見ていただいてありがとうございます。これからも楽しく読んでいただけると嬉しいです。