終わりがもたらしたはじまり   作:ふぁんた

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第24話 「サプライズ」

5月第4週目の日曜。

 

梅雨が近づいた空は若干曇っている。

 

今日は約束の日だ。

 

私たちはそれぞれの家から鞠莉ちゃんのいるホテルへテストを持って向かう。

 

部屋に着くとすでにダイヤさんと鞠莉ちゃんは待っていて、二年生のみんなも集合済みだった。

 

「いらっしゃーい♪…あら?ヨウだけ?」

 

「うん、3人の分のテストは預かってきてるよ。ちょっと準備があって、3人は来れないんだ。」

 

「…準備?」

 

ダイヤさんはいぶかしむ。まあ無理もない。

 

「後でわかるよ♪」

 

「まあいいですわ。それよりも…」

 

ダイヤさんが言い切る前に私たちの方が動く。

 

「「「「じゃーーん!!!私たちは全員テストをクリアしました!!!!」」」」

 

それぞれのテストを仕分けしたファイルからテストを取り出し、確認する。

 

6教科(現代文、古典、世界史、世界史演習、英語、英語文法)の勉強のバランスを取るのは難しかったけど、それでも最終的にはなんとかなった。

 

勉強合宿だって生きてる。

 

「…確かに取れてますね。千歌さんだけギッリギリですけど。」

 

「あはは…」

 

ダイヤさんが千歌ちゃんの世界史演習のテストを見て言う。

 

その点数は62点。後二つ間違えていたらアウトだった。

 

他は70点代と60点代って感じだ。

 

ほんとなんとかなってよかった…

 

(ちなみに梨子ちゃんは全科目80点代、私とコウくんは70点代と80点代が混ざっているという感じ。コウくんは英語と英語演習は90点代だった。)

 

「わぁ…ほんとギッリギリね…」

 

「善子ちゃんも人のこと言えないずら。」

 

花丸ちゃんはジト目で善子ちゃんを見てる。

 

「ヨハネ!!!…私もなんとかなって本当に良かったわ!!」

 

全科目66点。

 

全科目それで統一できたのは偶然か狙ってなのかな?

 

いや、にしてもすごい偶然もあるもんだな!?

 

「6は悪魔の数字なのよ!私の堕天使の力が66点を引き付けたのね!」

 

あ、これ偶然だ。

 

その後ろではルビィちゃんと花丸ちゃんがお互いに肩を抱き合い、

 

「善子ちゃん、良かったよおおお!!!」

 

「うんうん、マルたち頑張ったずら…たぶん善子ちゃんより頑張ったのはルビィちゃんズラ…」

 

と検討を称えあっている。

 

…一体二年生の勉強合宿はどんな感じだったんだろう…

 

「曜さん、他の三年生はどうしたのです?テストの点が取れているのは分かりましたが、曲も今日聞かせてもらう話になってましたが…」

 

「マルたちもそのことは三年生が秘密にしてたから知らないんだよね。どうなったの?」

 

私はニヤリと笑う。だってこれから起こることに心からワクワクしてるから!

 

「うん!それじゃあみんな、沼津に向かおう!」

 

「「「「「え???」」」」」

 

まあ、そうなるよね。

 

何があるか知らないメンバーを引き連れ、私たちは沼津へ向かう。

 

・・・・・

 

沼津駅についてから言われていた場所へ向かう。

 

昨日のうちに下見はしたし、問題ない。

 

「ねえヨウ?そろそろ何があるか教えてくれない?」

 

「うん、着いたよ!ここ!」

 

私はみんなを地下への階段が伸びるスタジオに連れてきた。

 

「ここは…音楽スタジオ?何も音響にこだわらなくてもパソコンで聞かせてくれたらいいですのに…」

 

疑問に思い続けるみんな。まあまあそう言いなさんな!

 

フロントにいるドレッドヘアのおじさんに話しかけ、奥の方に進む許可をもらう。

 

「ここだよ!果南ちゃんは来れないから、データ送っちゃったらしいけど、みんなにはちゃんと聞いて欲しかったんだ!」

 

ドアに手をかける。

 

分厚い防音構造の二重扉を開けるとそこにいたのは

 

「待ってたよ!みんな!」

 

マイクケーブルにつながったマイクを持つ千歌ちゃん。

 

2段重ねのキーボードの前に立ちながらいつでも弾ける準備をする梨子ちゃん。上段のキーボードはI patにつながれている。

 

いつも練習で使い慣れているらしいベースを持ったコウくん。足元はごっつい箱みたいな物がたくさん置かれた黒い板のようなものが広がっている。

 

そして

 

コウ君でも私達でもない。

 

まさか関わることになるとは思わなかった人たちが準備オーケーって感じでそれぞれの楽器を構える。

 

「シ、シ、シ、シ、Seeker!?!?!?嘘!え!なんで!?」

 

「Why!?なんでミツキがこんなとこにいるのよ!?」

 

善子ちゃんと鞠莉ちゃんの驚く声がスタジオに響き渡る。

 

にっしっしって感じで笑うミツキさんはいたずらに成功した子供みたいだ。

 

私の頭の中でコウくんの部屋でスマブラをしたあの日のことが浮かぶ。

 

・・・・・

 

千歌ちゃんと梨子ちゃんは美渡さんと一緒にコウくんの部屋に転がり込んできた。

 

「もしかして電話中?…失礼しました…あ、ご飯できてるから、電話落ち着いたらきなね。」

 

さっきの勢いはどこへやろ。そそそ…っと美渡さんは去って行った。

 

「Seekerのみなさん、こんにちは!Aqoursの高海千歌です!」

 

「同じくAqoursの桜内梨子です。」

 

とりあえずコウくんのスマホのカメラに映る位置にきて座る。

 

コウくんは全員が映るようにスマホの角度を調整する。

 

「コウ。お前、そっちでハーレム築いてんのか?!」

 

「そーだー!てめえバンド休止中になんてことしてんだー!!!曜ちゃんだけじゃなく、千歌ちゃんにに梨子ちゃんまで!!!」

 

「ハーレムなんて築いてないですよ!?」

 

私は必死でツッコむ。

 

別にハーレムは築いて無いと思うんだよなあ…

 

面白いことにはなってるけど。

 

千歌ちゃんも梨子ちゃんも笑顔。

 

2人が笑顔ってことはうまく話せたのかな?

後で千歌ちゃんに聞いてみよう。

 

ちょっと2人の顔が赤く見えるのは私の見間違い…かな?

 

「あんたらもいい加減にせえ!はあ…。ま、私もちょっと気にはなってたんだけどね。鞠莉からあんたの写真送られてきてびっくりしてたんだ。あの子も何してんの?イタリアに飛んだって聞いてたんだけど。」

 

ミツキさんは色々聞き出そうとしてるキリヤさんとハヤテさんに蹴りを入れて、画面の外に追い出す。

 

それでも這い上がって来ようとするあたり、ある意味2人の執念を感じた。

 

ちょっと嬉しい。私たちはプロで活躍する人たちにも知られていたんだ…。

 

「あー…とりあえず説明するからちょっと待ってくれよ。」

 

それからコウくんはこっちに来てから起きたことを話した。

 

千歌ちゃんとはいとこで今、千歌ちゃんの家の旅館の宿直室に住んでいること、梨子ちゃんや、私達との出会い、新入生歓迎会でのライブ、そしてSummer Rocksとそれに出場するためにダイヤさんに出された条件…

 

「なるほどね…じゃあ、あんたは今Aqoursの子達と一緒に曲作ってるってわけか。曜ちゃんに、千歌ちゃんに梨子ちゃんだよね?鞠莉からちょっと聞いてたよ。うちのコウが世話になってるね」

 

「そんなことないです。コウくんは私にないものたくさん持ってますし。」

 

梨子ちゃんが遠慮しがちに言うと、千歌ちゃんも手を上げて

 

「そーですよ!私なんて、いつも助けられてます!」

 

「いつもハヤテにボコボコに言われて編曲し直してたコウがねえ…」

 

ミツキさんはクスクス笑ってる。

 

なんだか、かわいいと言うよりもかっこいいが似合う女の人だ。

 

「そっかそっか!まあコウはしっかり者だしね!…ところでコウ。曲は書けたのかい?Summer Rocks、いい曲が無いと出れないんだろ?」

 

「うん。今、絶賛編曲中だよ。」

 

「…そっか。あんたが少しでも立ち直れたならよかった。こっちも少しずつだけど持ち直してるよ。安心しなね。」

 

ミツキさんの優しい声がする。

 

…本当に愛されてるんだなコウくん。

 

でもこのバンドに一体何があったって言うんだろう。

 

触れてはいけないとは思うけど、やっぱり気にはなる。

 

前に梨子ちゃんがスマホで調べてた時に出てきた「黒野リサ」って人が関わってるのかな?

 

「俺らにも弾かせろよ。お前の曲。」

 

ハヤテさんがさっきとは違う真面目な顔をしてコウくんに言う。

 

「まだお前らに聞かせられるようなもんじゃねぇよ。」

 

だいぶ砕けてるんだなあコウくん。

 

「じゃあとっとと編曲しちまえ。煮詰め過ぎてもいいもんなんかできねえしな。約束は今月末の日曜日なんだろ?」

 

「…言う通りかもな。」

 

「一個提案があるぞー!っていうか、なんでだれもコウと千歌ちゃんがいとこってのに突っ込まねーんだー!」

 

横からキリヤくんが顔を出す。

 

「その曲の発表!俺らにもかかわらせてくれよ。んで、スタジオでライブやろうぜ!」

 

「…は?」

 

何を言っているのかわからないと言うようなコウくんの顔。うわ、面白い顔してる!

 

「Aqoursの曲は鍵盤多いけど、梨子さんはピアノできるんだろ?だれかボーカル1人連れてきてもらって俺らとその2人でダイヤ様はじめ他のAqoursのメンバーびっくりさせようぜ!コピーとオリジナル一曲ずつでさ!」

 

ダイヤ様…世間から見たらそう言う見方なのかな?

 

「いや、お前急に何勝手なこと言い出してんの?!」

 

うーん、芸術家肌の人は変わってるって聞いたことはあるけど…

なんだか、キリヤさん、千歌ちゃんと似てるとこあるなあ…

 

「パソコンの音よりもその場で響く音の方が絶対に伝わるって!それは俺たちが一番よくわかってんだろ。」

 

「……」

 

真面目な顔をしてコウくんは考え出してしまう。

 

煮え切らないコウくんをみて、ハヤテさんが画面の向こうで動いた。

 

「…キリヤ、お前ナイス!俺もラブライブの大会が本格化する前にアイドルの後ろで弾くのしてみたいとは思うしな!俺は賛成!ミツキは?」

 

「あんたらがそんなこと言い出したらもう止まんないでしょうよ…あたしは別にいいよ?コウは大丈夫?それと梨子ちゃんは?」

 

なるほど…このバンドではコウくんとミツキさんが常識人タイプで、キリヤさんとハヤテさんはブッとんでるタイプか…

 

「いや、僕はいいけど梨子ちゃんや他のメンバーの子だって…」

 

「私はいいよ。」

 

梨子ちゃんはきっぱりと言い切った。

 

「プロの人たちと一緒にバンドで曲が合わせられるなんてこんな素晴らしいこと、そうそうない!やってみたい!」

 

梨子ちゃんもこうなったら譲らないだろうなあ…

 

そして千歌ちゃんまで

 

「私、歌う。コウくんと梨子ちゃんが作った新しい私たちの曲をSeekerのみんなと歌ってみたい!!!」

 

私、乗り遅れてしまったなあ…ちょっと私もやりたかったかも。

 

まあでも今回は仕方ないかな。コウくん絡みのことだし。

 

「…決まりだな。コウ、やるぞ!とっとと曲のデータ送れ!ダメだと思ったところは徹底的にダメ出しすっからな!」

 

ハヤテさんは新しい曲にワクワクしてるって感じでいう。

 

キリヤさんは目をキラッキラさせ、ミツキさんは呆れてる。

 

そうしてテストと並行して私たちのライブ計画はスタートした。

 

・・・・・

 

千歌ちゃんはマイクを握りしめて言う。

 

「今回のために初めて合わしたの昨日だったからコピーとオリジナルで一曲ずつしかできてないけど、聞いててね。」

 

「一曲目はμ'sの曲から選んだんだ!」

 

「ーーーsoldier game!!!!」

 

スタジオの中に軽快なキーボードの音が響く。

 




次回更新は3/15日(木)を予定しております。
お気軽に感想やアドバイスなど、よろしくお願いします。

[以下作者あとがき。]

昨日は夕方からバンド練でスタジオからの近くの鳥貴族で呑んだくれるって言う大学生あるある決め込みました。まだ頭痛い…こんにちは、作者です。

鳥貴族行ったことある人は分かると思うんですが、テーブルごとの境界の壁に鳥貴族の理念みたいなポエムがかかってて、そこから作曲するって言うゲームが始まったんですけど、普通に楽しかったんですよね。アイホンのGarage bandマジで強い。

本日3/11は東日本大震災から7年の日ですね。作者は中学生の時、現地の宮城県で被災しました。その影響もあって、中学校の卒業式、できなかったんですよね。

僕は諸々あって、すぐに県外に出ましたが、避難所で過ごした三日間とやけに綺麗な星空が未だに記憶の中に残ってます。
お亡くなりになった方に追悼の意を示したいとおもいます。

さて、本編はまさかのライブです!かなり強引にライブ展開に持ってきましたが、いかがでしたでしょうか?

コピーでsoldier gameを出したのは、完全に僕の好みです。
ラブライブ シリーズに足を踏み入れたの、こっからなんですよね…僕。

次回はライブ回です。このSSのためにオリジナルで書いた歌詞も次回は載せようと思っております。
ライブ描写とともに、歌詞に関してもアドバイス等いただけると嬉しいです。

いつも読んでいただきありがとうございます。次回も楽しみにしていただけると作者はうれしいです。
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