「じゃあ、コウくん!私たちいくからね!」
「東京で待ってるね。」
「いってらっしゃい。明日、僕も間に合うように行くよ。」
6月最終週の金曜日。
朝早くから重そうなスーツケースを引っ張って千歌ちゃんと梨子ちゃんは東京に向かった。
部活動の正式な大会ということで、Aqoursのみんなは学校が公欠となっている。
明日の夕方から、スクールアイドルワールドが開催される。
今日の午後から会場での打ち合わせがあって、そこからリハなんだそうだ。
今回はラブライブの運営と同じ運営元が行う前哨戦ということで、僕に出番はない。
だから、自分の部屋でネットの中継を見ようと思っていたんだけど、それを千歌ちゃんに言ったところ、ものすごくむくれられた上に
「コウくんも、スクールアイドル部じゃん!!」
と怒られた。
ちなみに梨子ちゃんにも同じように怒られた。あとはミツキにも怒られた。
僕としては区切りがつくまでは東京に戻るつもりはなかったんだけど、まぁこればっかは仕方ない。
しかも美渡さんは美渡さんで
「コウも東京いくっしょー?」
となぜかニヤニヤした顔で電車賃が入った封筒を僕に渡してくれた。
Seekerの連中もみんな揃って行くらしいし、ハヤテに関してはバックバンドだ。
旧3年生のみんなも現地で集合することになっている。これに合わせて果南さんも東京入りするんだそうだ。
ここまで人が揃っているとしたら、流石に行かないわけにもいかず、僕も東京に向かうことにした。
まさか、こんなにもすぐに東京に向かうことになるなんて微塵も思わなかった。
・・・・・
土曜日。11時の東京。
大会の開始は13時からだからだいぶ余裕はある。
御茶ノ水に着く。
ラブライブ決勝が行われるのはドームらしいが、今回の大会はドームとは別に併設されたホールで行われることになっている。
御茶ノ水からは比較的に近い。
Seekerが所属している事務所がある場所は秋葉原だけどここから歩いてすぐだ。
活動休止以降、御茶ノ水や秋葉原にほとんどきてないけど、少し緊張するな…
御茶ノ水で楽器屋さんを冷やかしながらそんなことを思った。
適当に歩き回っていると、神田明神の前に着く。
「…あの人は元気にしてるのかな。」
せっかくだから参拝していくことにした。
千歌ちゃんから聞いて知ったけど、この神社はスクールアイドルブームの火付け役にもなったμ'sが練習していた場所だそうで、ファンからしたら聖地なんだそうだ。
15円を賽銭箱に放り込んで祈願する。
Aqoursが輝けますように。そして…
Seekerに明るい未来が訪れますように。
・・・・・
そこから少し見回してみるけどあの人は見当たらない。
名前も把握してないけど、あの時僕にアドバイスをくれたのはあの人だったから、お礼と今の僕のことくらい伝えたかったのにな…
まぁ今いないのなら仕方がない。非番なんだろう。
それに、僕のことを覚えているかどうかさえも疑わしい限りだ。
気づけば待ち合わせの時間まで、ちょうどいい時間帯になっていた。
そろそろ向かおう。
「あの…すいません…」
突然サイドテールに髪をまとめた女の人に話しかけられる。
「ん?なんでしょうか?」
「アキバドームホールってどちらに行けばいいかわかりますか?私、この辺りは疎くて…」
「僕もこれから向かいますよ。よければ一緒に向かいますか?」
「本当ですか!助かります!あ、自己紹介が遅れました。」
「私、鹿角聖良と申します。」
多分、僕よりも年上だろう聖良さんはものすごく丁寧に僕に頭を下げるのだった。
「あ、宮木コウと言います。」
慌てて僕も名前を言うのだった。
・・・・・
僕と聖良さんは二人で水道橋方面に歩く。
「へえ、妹さんがスクールアイドルなんですか…」
「ええ。去年までは私もスクールアイドルだったんですよ。今は家業を手伝いながら、地元の函館の大学に通っているんですがね。」
聖良さんは笑いながらそう言う。妹の応援のためにわざわざ北海道から飛んでくるなんて、仲のいい姉妹らしい。
「宮木さんはどちらからいらしたんですか?」
「僕は内浦から。僕が曲を書いたスクールアイドルが今回の大会に出るんです。」
「内浦?!」
聖良さんがびっくりして言う。僕までびっくりしてしまう。
「どこかで名前を聞いた気がしてました…高海さんのいとこでSeekerのベーシストの宮木さんですよね?」
「え、なんで知ってるんです?」
それから聖良さんは、AqoursとSaint Snowの話をしてくれた。
去年のスクールアイドルワールド、ラブライブ、函館での合同ライブ…
正直びっくりした。
「じゃあ千歌ちゃんから僕のことは聞いてたんですね。びっくりした。」
「私もです。まさか、偶然道を聞いた人が噂の宮木さんだったなんて。」
「噂って…大したことはないですよ。」
僕は少しバンドや音楽に詳しいだけのただの高校生だし、そんなに大したことはない。
「いえ、あなたの作った曲…千歌さんに聞かせてもらいましたが、私、とても好きでしたよ。だけど。」
聖良さんがそこで一息いれる。
話しながら歩いていたら、アキバドームホールに着いた。
待ち合わせ場所を見ると、キリヤがスマホをいじりながら、音楽を聴いている。
「…私の妹は、理亞は、負けません。必ず、勝ちます。あの子達は、とても強いですよ。」
「それではまた。なんだか、また必ずどこかで会う気がしますし。」
聖良さんはそう言うと微笑んでホールの入り口に向かって行った。
次回更新は6月中に一話、更新できたらしたいと思っております。
[以下作者あとがき]
ついに実習が始まってしまった。こんにちは、作者です。
大学四年、そして実習ということで何してるか悟ってくださる方は少なからずいらっしゃると思います。
とりあえず準備とか諸々の対応とかに追われてめっさ眠かったりします。
おかげさまで創作に割ける時間がありませんでした。5月これしか更新できない…orz
本当はもっと書きこみたいところや書きたい話なんかもあるんですが、落ち着くまでまだまだ時間がかかりそうです。
ぼやいても仕方ないので、前向きにいこうと思います。
今月は何よりロックファンには見逃せないビックニュースがありましたね!
ELLE GARDENの復活でございます!!
僕自身本当に大好きなバンドだし、好きになった頃には活動を休止していたので本当に嬉しいです。
ライブ当たるといいなあ…
さて、本SSですが、意地でも最後まで書きます。
また以前のように三日に一回は更新できるペースに持っていくのにはもう少し時間がかかると思いますが、秋口には更新ペースを元に戻していきたいなあと思っております。
本SSを、少しでも楽しんでいただけましたら、作者としては嬉しい限りでございます。