時間は前日に遡る。
「…私たち、またここに戻って来たんだね…!」
金曜1時の梅雨の東京。とても蒸し暑くて、風が私達にまとわりつく。
私はドームシティホールと書かれた会場入り口を眺めながら呟いた。
「前と会場は違うけどね。私たち、あれからもっと輝けるようになれたのかな?」
梨子ちゃんに聞こえちゃってた。
でもここは、この大会は。
ある意味私たちの原点。
0から1へ。
その想いがあったから、私たちは今もAqoursなんだ。
「変われてるよ!絶対!」
眩しい笑顔の曜ちゃん。私と梨子ちゃんの前に立つ。
この笑顔にはいつも助けられている。
後ろでは2年生のみんなが力強く微笑む。
「いこ!千歌ちゃん!」
梨子ちゃんに差し伸べられた手を握る。
私たちは私達の輝きを見つける。
私達の力で!
・・・・・
会場に入ると独特の緊張感が私達を包み込む。
今回はラブライブ 運営史上初の試みとして、バンドの生演奏による大会ということで、ステージで音出しがされていた。
「んじゃー、後半のバンドは一旦休憩取りましょう」
ステージの上からマイクを通して声が聞こえてくる。PAの指示だろう。
しばらくして、ステージからだれか降りてきた。私達の方に来る。
「おっす。お前らも早えのな。」
最近聞き慣れてきたばかりの声に気がついて、顔を上げるとハヤテさんがいた。
「ハヤテさん!今回ギター弾くんですか?」
「おー。大会の午後の部のバンドに配属されてるよ。あんま大声じゃ言えないことかも知んないが、Aqoursの曲も俺の担当だ。」
「そうなんですか!なんか嬉しいです!」
「俺も馴染みのあるやつらの曲が弾けて嬉しいよ。…そういやダイヤは?今日来るって聞いてたんだけど。」
ほえ?ダイヤさん?急にどうしたんだろ?
「ダイヤさんだったら果南ちゃん迎えに行って、今日は私達のリハーサルが終わった段階で会えたら会おうって感じです。何かあったんですか?」
「あー…いや、別にいいんだ、気にすんな。」
ハヤテさんはごまかすように笑った。
「休憩時間かぎられてっから、もう行くわ。タバコ吸いたいし。んじゃまた後でな。」
そのままハヤテさんは去って行った。
ジト目の花丸ちゃんは目でハヤテさんを追いながら呟く。
「なーんか、ハヤテさん怪しい雰囲気ずら…」
「うゆ?怪しい雰囲気?」
ルビィ ちゃんはよくわからないような感じで花丸ちゃんに反応した。
「これは…スキャンダルの匂い!!!」
今日初の堕天ポーズを決め込む善子ちゃんに私たちは苦笑いするしかなかった。
うーん、でもなんでハヤテさん、ダイヤさんの話題をごまかしたんだろう?
・・・・・
ハヤテさんと分かれてからしばらくして、運営の人に呼ばれて、出場グループ全体への説明が始まる。
…こういう時って恐ろしく眠いよね。
よく知らない偉い人っぽい人の挨拶や大会の目的みたいな話を受け流しつつ、私はボーっと話を聞いていた。
・・・・・
「久しぶりね。直接会うのはお正月ぶり?」
「「「「「「理亞ちゃん!」」」」」」
説明会が終わってリハーサルまでの休憩をしていたら理亞ちゃんが話しかけてきてくれた。
「本当久しぶりね。ルビィ 達も元気だった?」
「元気だよお!理亞ちゃんも新しいグループで頑張ってるって聞いてたから、会えるの楽しみだったんだ!」
ルビィ ちゃんと理亜ちゃんが手を合わせて再会を喜んでいる。
ほんと、初めて会った時からしたら丸くなったなあ理亞ちゃん…
「そういえば今、理亞ちゃん、新しいグループでやってるんだよね? どんな感じずら?」
「ふっ…ヨハネの眼鏡に敵う相手なのかしら?」
「あんたたちも変わらないわね…Aqoursも新しくなったって聞いたのに。」
理亞ちゃんは善子ちゃんの堕天に苦笑いしながらも、目の奥は3人に会えた事を喜んでいるように思えた。
私と梨子ちゃんと曜ちゃんは自然と目が合って、微笑んでしまう。
なんだか、2年生のみんなをみてると微笑ましくなってくる。
「理亞〜!そろそろリハの準備してって〜…あっ!Aqoursの…」
理亜ちゃんと同じ制服を着た女の子が2人やって来た。
んーと、私は見覚えない…かも?
「あ!去年ラジオ局で会った人たちずら!」
「えへへ、覚えててくれたんだ。」
髪の長い女の子が笑う。
「ちょうどいいから紹介しとくね。私たちは [gift] って名前で今回出場してるんだ。髪の長い子がユキで、ゆるふわ髪の子がサラ。」
「Aqoursの皆さんよろしくね。」
「よろしくー!」
メンバー同士で笑い合いながら理亞ちゃんはグループを紹介してくれる。
「私たち3人で、今度は勝つわ。Aqoursにも負けるつもりはない。全力で戦いましょ!」
「じゃあね。リハがあるからもう行くわ。」
そう言って理亞ちゃんたちは去っていった。
負けられないな、負けたくないな。
私たちは決意を新たにリハーサルの準備をする。
・・・・・
リハーサルはいつも通り終わる。
前までと違ったのは、出場グループの子達や色んな偉い人達が前よりも多かったことだ。
慣れたつもりでいたけど、やっぱり大会の時は緊張してしまう。
6月の中頃にはSummer Rocks出場の話が公開されたし、そういう意味でも注目されても仕方ないのかもしれない。
そして夜。
お風呂場の脱衣所。
そこには体重計が置いてある。
「さあ!約束の時だよ!2人の体重を確認しよう!」
私たち2人の事情を知っている曜ちゃんが後押ししてくれる。
「いよいよだね…」
私は緊張した面持ちで体重計に向かう。
「どっちが勝っても恨みっこなしだからね?」
梨子ちゃんがいたずらっぽく笑う。
私は下手したらリハーサルの時よりも緊張して体重計に足を乗せた。
次回の投稿は7月の末を予定しております。
[以下作者あとがき]
6月中に投稿したかったんですが、色々忙しく投稿が遅れてしまいました。楽しみにしてくれている方がいらっしゃいましたら申し訳ありません。こんにちは作者です。
5月のおわりから6月中旬まで教育実習に行っていたり弾丸で北海道に飛んだりしてまして、めっさ忙しかったです。
お陰様で教育実習では普通に生活してたら絶対知ることができないようなことをたくさん知ることができました。生徒たちともたくさんお話しして、大変だったけど楽しい時間を過ごせました
読者の方に教員を目指してる方がいるかはわかりませんが、大変だけど目指したい場所が定まったように思います。
最後には色紙とか写真とか色々思い出ができました。
中高生の読者の方、マジで実習生には優しくしてあげてください。実習期間は生徒から助けられるところ多いからホント…
そんな実習期間もやっぱり作者は音楽に助けられておりました。
生徒と触れ合いつつ、自分もこんな感じやったなあとか色々なつかしさを感じたバンドがありましたのでご紹介したいとおもいます。
DAY DREAM BEAT/ ハンブレッダーズ
https://youtu.be/BGqPFJKo7WA
さて、小説本編も少しずつ話は進んでいきます。
今回の話では理亞ちゃんを出すことや、色々考えてる伏線張ったり回収したりと文字数にしては話を進めたと思います。
理亞ちゃんのユニット名に関しましてはあるバンドに敬意を込めて[ ]をつけさせていただきました。
これだけで何のバンド意識したかわかるのしゅごい。
giftという名前は贈り物とか、才能とかそういう意味でつけました。強気な理亞ちゃんにはいい感じなのかなあとか作者は思ってます。
いつも読んでいただいてありがとうございます。
度々になってしまいますが、この物語は必ず完結させます。
作者が落ち着くまでまだ時間がかかるのですが、落ち着き次第、また前のように頻繁に更新していきたいと思っております。