終わりがもたらしたはじまり   作:ふぁんた

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第5話「叩きつけられた挑戦状」

「作曲者として、名前を出す必要はないし、出したかったら出してもいい。私たちに、力を貸してくれないかな?」

「それ、すっごくいいよ~!!!いい意味でAqoursが変わることのできるチャンスだ!!」

 

目の前で梨子ちゃんと千歌ちゃんが盛り上がる。周りの女の子たちも割と乗り気な感じだ。

あー・・・そういうことか。

 

「ごめん。その話はちょっと・・・無理だと思う。」

僕はなるべく淡々と、感情を込めずにじぶんの思っていることを述べる

 

「僕の曲をほめてくれたのは単純にうれしいよ。でも・・・」

今の僕が誰のことを考えて、曲を書けばいいというのだろう。

そもそもアイドルの曲なんて、僕にはわからない。

 

「でもコウ君、すごくベース練習してるし、曲だっていいの作るのに・・・」

「とにかく、ごめん。曲は作れないけど、居候してる身だし、手伝えることがあったら何でも手伝うよ。」

 

帰り道。一人でバス停まで歩く。

あの後、僕はその場にいることがいたたまれなくなってすぐに部室をでた。まだ止めてくれようとはしていたけど、正直やる気にはなれなかった。

他のみんなはおそらくまだミーティングをしているのだろう。

 

しかし、スクールアイドルにラブライブね・・・。しかもAqours。

活動休止ライブの後の二次会でのキリヤとハヤテを思い出した。

まさか、僕の身の回りにこんな有名人がいるとは思わなかった。

 

僕らはあまりテレビには出ていなかったし、出ていても深夜の音楽番組だ。

それに、僕はあまり詳しくはないけど、スクールアイドルが全国的に人気なのは知っている。

 

確か、去年出た春のロックフェスで自分たちの裏でスクールアイドルのグループが出ていたような気がする。

そう考えれば僕らよりも顔が売れてるんじゃないだろうか?特にAqoursはドームを経験済みなわけだし。

 

でも、あの梨子ちゃんが僕の曲をほめてくれたのはうれしかったな・・・。

純粋にそう思った。

僕は土曜日のことを思い返す。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ピアノを奏でていた少女が僕の方を見る

 

「初めまして、桜内梨子って言います。コウさんだよね?千歌ちゃんから話は聞いてるよ。プロのバンドマンの高校生でいとこって。この曲、つくったんだよね。」

 

「あ、宮木 コウです。よろしく。コウで大丈夫だよ。」

「あー!梨子ちゃんずるい!私はコウ君なのに!」

「ふふふ、じゃあ、私もコウ君かな?私は梨子でいいよ!」

 

自分の作った曲のピアノを聞いて圧倒されてしまった自分がいた。

 

あんなにきれいで澄んだピアノを聞いたのは久しぶりだ。

まるで、あいつのピアノみたいだ。

 

「学校私たちと同じなんだよね?同じクラスになれたらいいな!月曜日は三人でいこうね。」

「いいねえ、いこういこう!」

 

僕があっけにとられていたから、完全に会話はあっちのペースだった。

でもそんなことがどうでもいいと思えてしまうくらい。

 

彼女は美しかった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

このまま家に帰る気分にはなれなかった。

適当に街を見て回ろう。ここら辺知らないし。

 

沼津駅前に出ると大きなショッピングビルや、商店街などが見えた。ここだったらいろんな物がかえるかもしれない。

楽器屋さんと本屋さんは探しておこう。

 

商店街を散策していると大きめの本屋さんが見つかった。

ここなら割と何でもそろいそうだ。

 

そのあとショッピングビルに移動する。

 

ショッピングビルの中には本屋さんもあれば、無難な服屋さんもある。

全国的に有名な楽器屋さんも入っていた。

消耗品は買えるだろうし、どうしても欲しいものは注文すればいい。

 

一時間半くらいぶらついてから帰ることにして、バス停に行く。

「あ・・・!コウ君!」

「梨子ちゃん・・・みんなは?」

「千歌ちゃんと曜ちゃんは今後のことを二年生とまだ話してる。作曲のことがあるから、私は先に帰って来たんだ。転入したばっかで、音楽室も使わせてもらいにくいし。それよりも、さっきはごめんね。突然なこと言っちゃって・・・」

「いや、僕の方こそ力になれなくてごめん。」

 

さっきのことがあったから、正直今会いたいわけではなかった。

「コウ君は今帰り?」

「うんまあ。ちょっとこの周りを見て回ってた。」

「このあたりは買い物にいいかもね。」

 

そんな何気ない会話をしてたら、バスが来る。

僕たちは何も考えずに空いている二人掛けの椅子に並んで腰かける。

なんていえばいいんだろう。女の子特有のなんかいい匂いがする。

 

「私も気にはなってるから、聞くんだけど・・・気を悪くしたらごめんね。何で活動休止したの・・・?」

まあ、あんなあからさまな断り方したら気にもなるか。

 

「メンバー全員が曲を書けなくなったから・・・かな。僕も含めて。」

「書けなく・・・なった?」

「ただのスランプみたいなものだよ。だから、ある意味リフレッシュのための活動休止。」

 

実際にはもっといろいろある。でもそれは、今言うことではないし、言われたって困るだろう。

 

「ふうん・・・」

納得してない感じだ。まあ仕方ないだろうな。

「まあだから、今しかできないことをするために内浦に来たんだ。」

「なんか納得できないなあ・・・曲が書けないっていうと?」

 

「そのまんま、だよ。書けるようになれたらなって思うけど。」

そしたらなぜかわからないけど急に不機嫌な表情になる。

 

「自分の中で踏み出さなきゃ、変わるわけないって私は思う。」

 

ものすごく、自分に突き刺さる。

僕は踏み出した…はずだ。だから内浦にいる。

でもやってることは、変わらない。

 

「今から言うことは私の勝手な考えが混ざってるから間違ってたらおこってくれていいよ。」

すごく真剣な梨子ちゃんの声が聞こえる。

 

「コウ君に何があったかは私にはわからない。だから無責任なことは絶対に言えない。でも何かを変えるためには、踏み出さなきゃいけない時ってあるんだとおもう。」

梨子ちゃんは自分に言い聞かせるように言う。

 

「私ね、今から一年前に東京からこっちに来たの。」

「え!じゃあ梨子ちゃんも転校生だったんだ。」

「そうだよ。東京の音ノ木坂っていう高校からね。」

音ノ木坂か、聞いたことがある。たしか音楽に力を入れてる女子高だったはずだ。

「私ね。音ノ木坂でピアノに向き合っているのがつらくなって内浦に逃げてきちゃったんだ。」

梨子ちゃんは自分の昔のことを淡々と語る。

 

「最初は私もピアノに向き合うこと自体が嫌になって、でもそこから変われるように、うごこうとおもえたの。それは、千歌ちゃんが手を差し伸べてくれたから。」

 

「私にとっても大切な、Aqoursがあったから。いま私がピアノに向き合えているのはあの時手を伸ばした私のおかげだと思ってる。」

 

何で梨子ちゃんは僕に対してそんな話してくれるんだろう。

無理に誘い込もうって感じでもない。

「私がそんな感じだったから思うだけなんだけどね。だからコウ君は手を伸ばさなきゃいけない時なんじゃないかなってわたしはおもうんだ。そんなときに手をとってくれる誰かがいれば、救われるんじゃないかなって思うの。」

 

「だから私は手を伸ばしたい。コウ君が手を伸ばしたら届くように。」

 

手を伸ばさなきゃいけない時・・・。

「そうだったんだ・・・。ありがとう話してくれて。」

 

でも。

でも、もう僕には。

いや僕らにとっては。

 

手を取りあえてた仲間はもういないんだよ。

 

もうリサさんには・・・会えないんだ。

 

「ねえ。私たちと勝負しない?」

「勝負?」

「うん。来週、新入生歓迎会で私達、ライブをやることになってるよね?それに見に来てよ。」

「それで?」

「ただ見に来てくれるだけでいい。私たちのライブに感動出来たらその時は・・・」

 

梨子ちゃんは僕の顔を見つめる。

 

「私たちに協力して。」

 

僕はその真剣な梨子ちゃんの目を見る。

大きな瞳。真剣な表情。

 

決して同情や興味本位から出る言葉じゃない真剣さを感じてしまって。

うなずくしかなかった。

「うん。わかったよ。その勝負、受ける。」

 

とんでもない挑戦状を僕は叩きつけられてしまったらしい。

 

 




次回の更新は1月4日(木)の夕方ごろを予定しています。
次回は千歌ちゃんパートでAqoursのみんなでわちゃわちゃする話になります。

[以下作者のあとがき。]

あけましておめでとうございます!2018年初更新でございます。

おかげさまでUAのびてます。お気に入りの数も伸びてます。
ありがとうございます。

ラブライブ!サンシャイン!!もついにアニメ二期が終わっちゃいました。
毎週リアタイで楽しませてもらっていたので終わっちゃうとなんか喪失感ありますね。

そして、映画化決定!うすうす予測はしてましたが公式の発表があるとやっぱりうれしいです。

ところで、作者は毎年、年末は幕張メッセで行われるCDJという年末フェスに行っているのですが、2017年はいろいろありいけませんでした。

なのでその分二次創作にぶつけた感じですね。
ホルモンのライブ一回生で見てみたい。
紅白のWANIMAもカッコよかったです。

ここらで、この物語について少し書いておこうと思います。

こうした青春物の物語自体の構想はだいぶ前からありまして、書いてみたいと思っていた青春ものを僕の大好きな作品と掛け合わせてみたらどうなるんだろう?というところから始まっています。

僕自身は趣味でベースやギターを弾いたり、歌ったりというだけのただの学生ですが、僕の周りで本気でプロになろうとしている人もいたりします。
そんな人から聞いた話なんかも参考にこの物語を作っております。

作者自身結構な見切り発車で物語を始めてしまったところはありますが、そこそこ順調に物語自体の書きためはできていると思います。

最後までこの作品をよんでいただけると作者はうれしいです。

そして、この物語のを読んでみなさんが音楽やバンドというものについて、知っていただけるきっかけになれば、いいなって思ったりしてます。
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