終わりがもたらしたはじまり   作:ふぁんた

9 / 40
第6話「作戦会議」

「ってわけで、私たちとコウ君で勝負をすることになりました。」

コウ君が部室に来た次の日。私たちは梨子ちゃんから昨日コウ君と梨子ちゃんが話したことを聞いた。

コウ君はクラスの男の子たちにどこかへつれていかれたから、今日はいない。

 

「リリー・・・あんた、大胆なことしてくれたわね・・・」

善子ちゃんの顔が引きつっている。

私は、梨子ちゃんの大胆さにただただ驚いていた。

 

「そんな約束させるなんて、梨子ちゃんすごいずらあ・・・」

「うん、梨子ちゃんすごいよ!」

ルビィちゃんと花丸ちゃんは、ただただ、感動している様子だった。

 

「でも、コウ君、今、曲は書けないって言ってるんでしょ?本当に大丈夫なのかな」

曜ちゃんは心配していた。

 

昨日、コウ君の部屋に行ってみたらやっぱりベースを弾いていた。

何を練習していたかは知らないけど、前に部屋に行ったとき以上に真剣に練習していたので、ご飯の時以外話せなかった。

もちろん挑戦状のことだって初耳だ。

 

「確かにコウ君が曲を作ってくれるのはものすごく魅力的だけど、コウ君を感動させられるライブかあ・・・なんか、面白そう!」

率直な私の感想はそれだった。

だってなんかワクワクする。私たちが届けようとする言葉でみんなが輝けるかもしれない。

 

「私ね、勝算はなくても、やってみるべきだって思うんだ。」

「今のコウ君、ピアノから逃げてた時の私みたいで・・・。なんか、ほっとけないんだ。」

 

そっか。

梨子ちゃんだから、あの時の自分とコウ君を重ねてしまうんだ。

「リリー・・・」

 

「うん!やろう!やってみようよ!コウ君を感動させるライブ!」

私は何も考えずに言う。

だって!

私だってやってみたいもん!

 

「千歌ちゃん・・・!!」

 

「私達がまた輝くことのできるチャンスだよ!もし、コウ君が私たちに協力してくれたら、私たち、もっとかがやける!そんな気がする!」

 

「千歌ちゃんが言うなら、私は賛成だよ!」

「おらも!コウさんの曲で踊ってみたいずら!」

「私も・・・まだちょっとだけ、怖いけど、優しい人だと思うし。」

善子ちゃんは考え事をしている。

 

梨子ちゃんは嬉しそうに笑う。

「じゃあ、どうやったらコウ君を感動させられるか、考えてみましょうか!」

「「「「「おおー!!!」」」」」

 

こうして、[コウ君引き入れよう大作戦]がスタートしたのだった。

 

「うーん…」

急に冷静な声を善子ちゃんが出す。

さっきから考え込んでいた善子ちゃんが口を開く。

「リリーの気持ちはわかるけど、コウさんだけにこだわらないで、まずはほかに曲作れそうな人をさがしてみるべきじゃない?」

 

言われてみれば。コウ君が音楽に対して真摯な姿勢なのは私が見ていてもわかる。

だけど、現状では難しいなら善子ちゃんの意見も最もだ。

 

だけど、梨子ちゃんの梨子ちゃんらしくない行動は助けたいっていう、それだけじゃない気がするのも事実だ。

 

「この曲、聞いてほしいの。コウ君が作った曲なんだけど。」

梨子ちゃんが自分のスマホから曲を流しだした。

 

綺麗なピアノのソロから始まるバラードの曲。そこにすべてのパートが合流するようなイントロからその曲は始まった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

―優しい歌だ。

私が動画で見た曲はどれも激しい曲ばかりだった。

こんな曲を作っていたんだ・・・

 

「これ、梨子ちゃんがこの前ピアノで弾いてた曲・・・だよね?優しい歌・・・」

 

私はこの歌詞をコウ君が誰を思って書いたのか、すごく気になった。

 

「私ね。千歌ちゃんからコウ君の話を聞いたとき、とりあえず借りられるCD全部借りて聞いてみたんだ。どの曲も確かな力強さがあって好きだった。」

 

「でもこの曲は、本当に大切な人に向けて作ったんだなって。なんだかわからないけど感じちゃったの。そう感じたらすぐにこの曲を作った人の曲を歌いたいって思ったんだ。」

 

「これは、私のわがまま。だけど、私はコウ君の曲に込めた想いを歌ってみたい。だから・・・」

 

「もう大丈夫よ、リリー。」

善子ちゃんが納得したような顔でいう。

「私、こんな性格してるでしょ?だから、素直に誰かと自分の好きなものを分かち合うのが苦手なの。だけど、大好きなみんなが私の大好きなバンドに興味を持ってくれていて、しかも目の前に曲を作ってくれるかもしれないバンドのメンバーがいる。」

 

「私はそんな奇跡がうれしい。私も、コウさんの作った曲をみんなでうたいたい!」

 

「じゃあ改めて作戦を立てましょうか!」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「とはいったものの・・・」

私は自然と愚痴をこぼしてしまった。

「いい案・・・うかばないねえ・・・」

みんなでため息。なにかないかなあ・・・

あのあと、意見が出たりはしたものの、自分の意見含めパッとしたものは出ていなかった

 

「ねえ、よっちゃん。Seekerのエピソードみたいなのってないかな?」

「調べてみたことはあるけど、曲についてのエピソードっていうと、雑誌に載ってたりするものくらいしか知らないわ。後はwikiとか・・・。」

 

「うーん、ちょっと調べてみるね」

そのまま梨子ちゃんはスマホに張り付いてしまった。

 

「あ!はいはい!」

曜ちゃんが手を挙げる。

「Seekerのシャツ着てライブするとかは?」

「あからさまにしすぎずら・・・学校のみんなSeekerのこと知ってるんだよ?」

「そうだよねえ・・・」

 

「仕方ない!ここは堕天使の結界を発動し、暗黒魔力の導きでラグナロクを起こすしか・・・!」

「今ここでやってみてほしいずら。」

「うっ!!!」

 

「うゆ・・・ライブで飴を撒こう!!!」

「ルビィちゃん?大喜利はしてないよ?」

「そうだよね・・・」

 

「なら私はみかんを!!!」

「感動するずらか。」

「するよー!私は欲しいもん!!」

「ライブでみかん投げてほしいのは千歌ちゃんだけずら。」

 

「ていうか!大喜利はやってないずらあああ!! 大喜利だったら笑点行くずら!!」

「昇天?!」

「マルはもうツッコミつかれたずら・・・」

 

さっきからこんな調子である。完全に大喜利大会と化していた。

花丸ちゃんは完全にツッコミと化している

私はAqoursの名前を決めた時のことを思い出す。

あの時も半分大喜利みたいになっちゃったんだよね・・・

 

こんなんで来週に迫った新入生歓迎会のライブで感動させられるものなんて作れるのかな?

 

「梨子さーん!!なんかないずらか!!」

ついに梨子ちゃんに助けを求めだした。

こういってはあれだけど、困り顔の花丸ちゃん、かわいいなあ。

 

「あれ?」

梨子ちゃんが驚いた声を上げる。

「よっちゃん。Seekerって四人組のバンドよね?」

「そうよ。それがどうしたの?」

 

「これ、ファンの人の自作のサイトなんだけど・・・インディーズの時代は五人組ロックバンドって書いてある・・・。旧メンバー・・・黒野リサ・・・ピアノ、キーボード。脱退後、サポートとして活動?」

 

 




次回の更新は1月7日(日)正午ごろを予定しています。
次回からいよいよ新入生歓迎会。コウ君もただ見るだけじゃつまらないよね・・・?

[以下作者あとがき]
お正月終わりましたね。作者は明日から学校再開からの月末にはテストですよ。
とりあえず、今月分の更新のぶんはかきためなきゃなあ・・・

今回はAqoursのみんなで作戦会議という話でした。Aqoursの裏でコウ君がどんな感じになってたかについてはそのうち書く番外編にでも書こうと思ってます(未定)

前回と今回のお話で、名前しか出てこない女性を登場させました。この方については、これからも度々出てくることになると思います。そして、のちに絶対に触れることになるコウ君の過去編に絡んでまいります。

すでにありがちな展開が見え隠れしている今作ですが、「それだけではない」ということだけはいまここで書いておきたいと思います。

さて、冒頭にも書きましたが、次回の更新から新入生歓迎会が始まります。
楽しみにしていただけると作者としてはうれしいです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。