Fate/stay another world   作:レッサーパンダ

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第一章 1-1 運命待つ異世界

 士郎が学校から家へと帰って来たのは既に日が完全に沈んだ後であった。頼まれた面倒ごとに思ったよりも時間を取られたためである。

士郎は食事を済ませると何時ものようにお蔵に行くと魔術の鍛錬を始めた。

 

 (ここに来るとセイバーのことをどうしても思い出しちまうな)

 

 士郎は心の中でぼやいた。

 第五次聖杯戦争で共に戦った自分のサーヴァントであるセイバー、歴史に名を刻む大英雄、アーサー王その人であった。

 士郎はセイバーと別れた後にアーサー王の伝説を軽くではあるが調べた。士郎はその伝説を調べたことを後悔した、アーサー王の悲しい生涯を見て心が締め付けられた。

 

 (俺と別れる時のセイバーの顔は晴れやかだったよな?)

 

 士郎はセイバーと別れた時のことを思い出した。そして自分はセイバーに安らぎの様なモノを与えられたのだろうかと自問自答した。

 士郎は聖杯戦争の後も魔術の鍛錬を前以上に励んでいた、それは万が一にでもまたセイバーと会うことがあるならば今度はもっと力になりたい、セイバーを守ってあげられるぐらいに成りたいと思っての気持ちがあった。

 モチロン、どれだけ鍛錬しようとも自分が英雄たちと肩を並べることなど出来ないと心の中で士郎は分かってはいたが。

 

 「っと、もうこんな時間か」

 

 士郎は時計に目をやると何時もより大分長く鍛錬していたことに気付いた。流石に寝なくては明日に差し支えると士郎は立ち上がろうとした。

 その時立ち上がろうとした足が体を支えられずにその場に士郎は倒れ込んだ。

 魔術の鍛錬をやり過ぎたのであろうか? 士郎は急激な眠気に襲われた。

 こんな所で寝たら大変だ、せめて布団まで行かなくてはと士郎は睡魔と戦ったが睡魔は手強く士郎はその場で深い眠りに落ちた。

 

 「しまった、もう朝か」

 

 士郎は顔に吹き付ける風と瞼(まぶた)に差し込む光で朝であることを感じて声に出した。しかし士郎は疑問を感じた、お蔵の中にいるのに瞼を閉じた状態で何故日の光を感じるのかと。

 士郎の疑問は目を開けて辺りを見回すとスグに解けた、何故なら自分は外にいたのである。それも見渡す限り草が生い茂る草原だ。

 

 (何処だここは? 寝てる間に何があったんだ?)

 

 士郎は自分の置かれた状況を理解出来ずに混乱した。そんな混乱した中で鉄と鉄がぶつかり合う音が少し離れた場所から聞こえてきた。

 士郎はその音の方へと向かうと自分の目を疑った、音のする音は武器と武器がぶつかり合う音、そして武器を操る片方は金髪の幼い綺麗な顔立ち、第五次聖杯戦争で共に戦ったセイバーであったのだ。

 

 「どう言うことだ、俺は夢でも見ているのか?」

 

 士郎は信じられない状況を目の前にして自分に問い掛けた。

 しかし呆けている場合では無いことに士郎は気付く、セイバーが押されているのだ。セイバーほどの者が押されているなど士郎には信じられなかった。

 しかし良く見るとセイバーが押されている理由は単純なモノであった、セイバーの後ろには小さい男の子、そしてその母親であろうか?親子を庇いながら戦っているからである。

 後ろの親子を庇っているためにセイバーは攻撃できずに敵の攻撃に防戦一方になっていた。

 

 「トレース オン」

 

 士郎は魔術で武器を生成した、創り出した弓の弦に武器を置き引き絞る。そして士郎の手元から弓矢、いや剣がセイバーと対峙する敵へと一直線に飛んで行った。

 敵は直前で自身に飛んでくる剣に気付きヒラリと躱すと武器の発射された方向に目を向けた。武器を放った士郎を敵は睨み付けた。

 士郎は敵に睨み付けられた瞬間に冷や汗が流れた、自分が攻撃を仕掛けた敵が自分では敵わない化物であると瞬時に理解した。まるで第五次聖杯戦争のサーヴァントのような歴史に名を刻む英雄と同じ超越した存在だと。

 しかし敵が士郎を攻撃することはなかった、一瞬の注意が逸れた瞬間にセイバーの剣で一刀両断されたのだ。

 

 「我が…復讐が…」

 

 セイバーと対峙していた敵はそう言うと地面に転がり物言わぬ骸となった。

 敵を倒して佇(たたず)むセイバーに士郎は駆け寄った。セイバーと再び出会えた喜びに士郎は胸が踊った。しかし、セイバーから予想外の言葉を士郎は聞いた。

 

 「どなたか存じぬが助かった、助力に感謝する」

 

 「セイバー?」

 

 セイバーの言葉を聞いた士郎はセイバーの名前を口にした。

 しかしセイバーはキョトンとした顔をしている。

 

 「どなたかと勘違いしているようだが私の名はアルトリア、いや、アーサー・ペンドラゴン。人々は私をアーサー王と呼ぶ」

 

 士郎はセイバーが自分を覚えていないことに愕然とした。

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