Fate/stay another world   作:レッサーパンダ

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第二章 2-1 円卓会議

 士郎はアーサー王の生きた時代に訪れてから丸一日の時間が過ぎていた。士郎は豪華なベッドの上で目を覚ました、モードレッドと戦いその治療を受けた後個室を与えられて朝まで泥のように士郎は深く眠っていた。

 士郎は余程疲れていたのかまだ眠っていたかったが、扉をノックする音で仕方なく起きることにした。

 扉を開けると鎧を着込んだ兵士が士郎の前に立っていた、士郎はその兵士に急かされるようにある部屋へと案内をされた。その部屋は昨日も訪れた円卓の騎士たちの話し合いがされた場所であった。

 士郎の前を歩く兵士が部屋の扉を開けると士郎は部屋へと入室をした、そこには昨日と同じ顔触れが円卓のテーブルに腰を掛けて座っている。

 

 「士郎、昨日は良く眠れたか?」

 

 アーサー王が士郎に声を掛けた、士郎はお陰で良く眠れたよとアーサー王に返事をする。

 士郎の言動にアグラヴェインは声を荒げて王に対して非礼であると激怒した、士郎は冬木の地でセイバーに接するような言葉づかいを慌ててテレビドラマで見かけたことのあるような王様に対する、見よう見まねでたどたどしい対応でアーサー王に改めて返事をした。

 

 「良い、士郎。

其方は客人だ、話しやすいように話せばよい」

 

 アーサー王の言葉にアグラヴェインは抗議の声を上げようとしたが、アーサー王が手を上げひと睨みするとアグラヴェイは出掛かった言葉を飲み込んだ。アグラヴェインは眉間のシワをますます険しくしている。

 士郎を見る円卓の騎士たちは様々であった、士郎を嫌悪する者、敵のスパイではないかと疑う者、全く興味がなさそうな者、唯一好意的に接してくれるのは人当たりの良さそうな隻腕の騎士、くらいである。

 

 「では昨日の会議の続きを始める、{マーリン}の行方についてだ」

 

 アーサー王がそう言うと、引き続きの進行はアグラヴェインが取り仕切った。

 士郎はケイから治療の時に聞いた話を思い出していた、昨日の会議の続きに何故自分も同席(円卓の騎士たちが座るテーブルから少し離れた椅子に座っているが)をしているか士郎はよく分からなかったが黙って会議に耳を傾けた。

 

 「だから怪しい奴を片っ端から拷問にかけりゃいいだろうが」

 

 モードレッド大声で過激な発言をする。

 士郎は円卓の騎士たちの話し合いを聞いていると、モードレッドが感情を優先させる騎士であることが窺(うかが)えた。

 会議に参加している円卓の騎士たちはアーサー王を除くと全部で七人である、会議の進行をするアグラヴェイン、アーサー王の義兄であるケイ、そしてモードレッドとガウェイン、そして会議の話を聞いていると隻腕の騎士の名前はベディヴィエールと呼ばれていた。

 そして髪の長い騎士はトリスタン、短い髪を立てている少し釣り目の騎士はランスロットと呼ばれていた。

 

 「{マーリン}はこの国になくてはならない人物だ、何としてでも行方を掴むのだ」

 

 アーサー王は他の騎士たちに告げた。

 

 「しかしあの{マーリン}が敵に殺されたり捕まったなど俄(にわ)かには信じられないがな」

 

 ガウェインは未だに信じられないといった口調である、ガウェインだけに限らず他の騎士たちもあの{マーリン}を殺すこと出来る人物がいるなど俄かに信じられずにいた。

 

 「敵はそれほどに危険な存在の可能性があると言うことですね、生きているならば{マーリン}殿を何としてでも救い出さなくては、この国の平和の為に」

 

 ベディヴィエールは深刻そう言った。

 

 「まあ平和の時に居ると平和を乱しかねない奴だけどな」

 

 ケイは笑いながら冗談を言う、アーサー王はケイを睨むとケイは軽い冗談だろと首をかるく横に振った。

 他の騎士たちも{マーリン}が実力を兼ね備えた偉大な魔術師であることは周知の事実であったが、性格の方に若干の難があることは重々承知していた。自由奔放な性格は度々厄介事を発生させることもある、しかしアーサー王の信頼も厚く円卓の騎士という地位に居る彼らとて{マーリン}のことを口に出して悪く言える者などいなかった、ケイを除いてだが。

({マーリン}のことを厄介に思っても嫌いと思う者は騎士の中には居なかったが)

 

 「{マーリン}の捜索は最大限の力を持ってあたれ、但し水面下でだ」

 

 アグラヴェインは他の騎士たちに{マーリン}の捜索を命じた、敵対国にキャメロットの宮廷魔術師が襲われたなどと知れれば自国の防衛能力を侮り攻撃を仕掛けてくる敵を懸念(けねん)しての動きであった。

 捜索の協力要請は円卓の外部顧問監査官でもあるペリノア王にも通達することが円卓会議で決定した。

 

 (どうしても思い出せないんだよな)

 

 円卓会議が進む最中に士郎は全く別のことを考えていた。

 アーサー王の生涯を綴(つづ)ったアーサー王伝説、その本をざっとではあるが読んだハズの士郎はアーサー王にこの先何が起こるのかうろ覚えであった。

 モードレッドがアーサー王に反旗を翻(ひるがえ)したことでアーサー王は命を落とす、しかしその前に何か円卓の騎士を崩壊させるような出来事が起こったような気がした。

 士郎はそのことがどうしても思い出せずにいた。元々覚えていなかったのか?それともこの世界に召喚された際に記憶の一部が飛んでしまったのかは定かではなかったが。

 

 「これにて会議は終了する、捜索に割り当てられた者は速やかに兵士を連れて{マーリン}の捜索に迎え」

 

 アーサー王の号令で会議は終わり騎士たちは各々の与えられた役割に動き出した。

 そんな慌ただしい中で士郎は必死に記憶の糸を辿ったが思い出せずにいた、士郎が必死に思い出そうとしている円卓の騎士崩壊の最大の原因が着々と現実に近づいていることなどこの場の誰も知る由はなかったが。

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