Fate/stay another world   作:レッサーパンダ

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2-2 襲撃

 円卓会議から二日の時が過ぎた、円卓の騎士の一人であるトリスタンはこの日キャメロット周辺の警備を担当していた。

 {マーリン}が襲撃された疑いがあった日からログレスの都と外を隔てる大きな高い門の中に入国する者は厳重の検査を受けることとなっていた。

 そんな高い門の外を警備していたトリスタンのもとに部下の兵士が慌てた様子で駆けてきた。

 

 「大変ですトリスタン様、賊と思わしき男が向こう側の門の方に攻め行ってきました」

 

 部下の兵士の報告を受けたトリスタンは急いでその場に向かった。現場に向かう最中に部下の話を聞くと襲撃してきた敵は一人のみとのことであった。

 トリスタンは陽動であることを懸念したが部下の兵士たちはその一人に苦戦をしいられているとのことで、トリスタンは仕方なくその場に向かった。

 

 「円卓の騎士が来たか、ならば出し惜しみしている場合ではないようだな」

 

 トリスタンがこちらに向かって来たことを確認した賊、{選定者}の仲間の一人である宋江はそう呟いた。

 

 「我が宝具を見よ、|百八人の豪傑<<梁山泊>>」

 

 宋江の周りに突然百七人の人間が現れた。その一人一人が腕の立つ男たちでトリスタンの部下の兵士たちは押されていた。

 トリスタンのもとへ四人の男が襲いかかった、しかしトリスタンが弓の弦を指で一瞬引いた瞬間にトリスタンに襲いかかった四人の男の首が飛んだ。

 

 「私は悲しい、偉大な王に未だに歯向かう愚か者が居ることが」

 

 「梁山泊の豪傑を一瞬で四人も屠るか、思った以上に厄介な集団のようだな」

 

 トリスタンはアーサー王に盾突く者が未だに居ることを嘆き、宋江は驚愕した。

 宋江はトリスタンの桁違いの実力に{選定者}が言った言葉を思い出した。円卓の騎士たちとは一対一で戦うなと、数ある英雄の中でも彼らは別格の存在だと言う言葉を。

 宋江は今まで{選定者}が大袈裟に言っていると思っていたがあながち嘘ではないとこの瞬間に理解した。

 トリスタンの実力を目の当たりにした宋江であったが更に梁山泊のメンバーをトリスタンにけしかけた。今度は六人の男たちがトリスタンに襲いかかった。

 トリスタンが先ほどと同じように弓の弦を引く、すると梁山泊の豪傑たちの四人の首が再び飛んだ。しかしトリスタンの攻撃を掻い潜り攻撃を仕掛けた梁山泊の者が二人居た。

 トリスタンは一人の攻撃を躱(かわ)し、もう一人の攻撃を自身の弓で防御をした。

 

 「やれやれ、危ない所でした」

 

 トリスタンは攻撃を仕掛けてきた二人から距離を取った、二人のうち一人は棍棒を武器にしていてもう一人は顔に痣(あざ)が在り剣を武器にしている。梁山泊の中でもその二人の実力は抜きん出ていた。

 

 「林冲(りんちゅう)と楊志(ようし)を同時に相手して命があるとは流石円卓の騎士と言ったところか」

 

 宋江は梁山泊の中でもトップクラスの実力を持つ二人を相手に凌いだトリスタンに賞賛の言葉を送った。

そして宋江は二人に再び攻撃の命令を下した。宋江の命令で再び林冲と楊志がトリスタンに襲いかかった。流石のトリスタンも二人の攻撃に手を焼き防戦に回された。

 トリスタンの部下たちも他の梁山泊の者たちに押されていた、それを見たトリスタンは二人を相手にしつつ部下たちの負担を減らすべく他の梁山泊の者の首を一つ、二つと飛ばした。

 

 「目の前の奴が化物なのか、はたまた円卓の騎士とやらは全員目の前の化物と同じなのか?」

 

 宋江は林冲と楊志を相手に防戦しつつ他の梁山泊の者を討つトリスタンに対して戦慄を覚えた。円卓の騎士とやらが全員同じような実力を要するなら自分たちがアーサー王とやらを殺すのは絶望的ではないかと宋江は考えた。

 宋江は{選定者}の自信のあるような素振りはハッタリではないかと{選定者}の言う通りに動いていいものか{選定者}に疑問を抱き始めた。

 その時宋江の横を誰かが通り過ぎた、速すぎて宋江にはただ風が吹いただけかと思ったが次の瞬間にトリスタンの首筋から血が流れた。

 

 「流石ですね、今の攻撃を弓で防ぎ首の皮一枚で凌(しの)ぐとは正直驚きです」

 

 トリスタンに傷を与えた者はこの戦場では一番背が低く、顔は白く小さい、まるで戦場に場違いな人物が紛れ込んだようであった。

 トリスタンに傷を負わせたのは{選定者}の仲間の一人である源義経であった。

 義経(よしつね)の剣から先ほどトリスタンの首の皮一枚を切り付いた血が剣先から地面へポタリと落ちた。

 

 「やれやれ、厄介な敵がもう一人増えてしまいましたか」

 

 状況的には窮地に追いやられているハズのトリスタンは自分の首の血を軽く手で触れると首を左右に振りヤレヤレと言った表情で、軽い困り事があるような態度を取るだけであった。自身が命の危機にあるというのに取るに足らない小事であるように。

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