Fate/stay another world 作:レッサーパンダ
トリスタンは義経たちの攻撃を何とかしのいでいた。しかし防戦一方で身を守るハズのトリスタンに焦りは見当たらなかった、逆にいつまでもトリスタンを討てぬことに敵である宋江が苛立っている。
「一人を相手に何を手間取っているんだ」
宋江はそう怒鳴ると自身も攻撃に加わるようにトリスタンに近づこうとした、しかし梁山泊の一人でトリスタンと交戦をしている林冲が武器である棍棒を突き出し首を横に振る、宋江がトリスタンに近づくのを拒んだ。
宋江自身の戦闘力は決して高くはなかった、林冲は宋江が戦い加わりトリスタンを討つ可能性よりも宋江がトリスタンに殺される可能性が高いと判断し宋江を止めた。事実トリスタンに宋江が近づいていたらトリスタンは攻撃を食らう覚悟で宋江を射殺していたであろう。
宋江はトリスタンと距離を置き義経たちがトリスタンを討つのを指をくわえて見ている他なかった。
「やれやれ、多勢に無勢なのであまり気が乗らなかったがどうやらそのようなことを言っては言られないか。本気で御相手しよう」
義経はそう言うと自身が履いていた下駄(げた)を脱ぐと素足になり剣を一度鞘に収めると構えた。
トリスタンは義経から先ほどまでより危険な何かを感じ取り警戒を強めた、義経がトリスタンに切りかかろうとした直前にトリスタンの部下たちと梁山泊たちが交戦をしている後方で大きな爆発が起こった。
その爆発に巻き込まれ梁山泊の多くが打ち取られた。
「珍しいなトリスタン、君が手こずる姿を久しぶりに見た気がする」
トリスタンはそう喋り掛けてきたのは円卓の騎士の一人であるガウェインであった。
ガウェインは梁山泊の猛者共を一撃で十数人近くを葬った、ガウェインの部下たちも戦いに加わり劣勢であった状況は円卓の騎士側が有利な状況へと変わった。
トリスタンが防戦一方になっていたのはあえて危険を冒して敵を討つよりも、キャメロットの近くでの戦いなので仲間の増援がすぐに駆けつけるであろうと見込んでいたからであった。トリスタンの冷静な判断により敵を生かして捕らえる可能性はグッと上がった。
「さて、それでは貴方たちには他の仲間かもしくは裏で糸を引く者のことを聞かせて頂きましょう。そして{マーリン}殿のことについてもね」
トリスタンはそう言うと宋江たちの方に詰め寄る、しかしトリスタンは慎重であった。ガウェインが加勢に来たことで自分たちが優位に立ったとはいえ相手は腕の立つ連中である。油断をすればこちらが命を落としかねないとトリスタンはじっくりと戦おうと考えていた。
そんな時に新たな声が戦場に響き渡った。
「そんな連中に何を手こずってんだよテメーら、円卓の騎士ともあろう者が二人も雁(がん)首揃えてよ。俺様がまとめて殺してやるよ」
新たに現れたのは円卓の騎士のモードレッドであった、モードレッドは有無を言わさず宝具を使い敵を一掃しようとする。
ガウェインはモードレッドを止めようと声を掛け静止させようとしたが無駄であった、トリスタンは急いで周りに居る部下たちに退避を命じた。
爆音とともに辺りは爆発に包まれる、モードレッドの宝具によって梁山泊の半数近くの者が命を落とした。幸いなことにトリスタンたちの部下たちは巻き込まれずに済んだ。
「仲間まで殺す気か、何を考えてるんだモードレッド」
「ギャーギャーうるせえな、戦いに犠牲は付きもんだろうが。何甘ったれたこと言ってんだ」
ガウェインはモードレッドに詰め寄ったがモードレッドはどこ吹く風であった。
トリスタンはやれやれという感じで二人のやり取りを眺めていた。しかしモードレッドの実力を知るトリスタンはモードレッドが(性格には問題があるが)戦闘に加わったことで敵との戦力差は決定的なものとなったことを確信した。
しかし次の瞬間に円卓の騎士の三人に向かって矢のようなモノが向かってきた。その攻撃に逸(いち)早く気付いたのはトリスタンであった、トリスタンは自分たちに向かってくる矢に向かって自身も弓で矢を放った。
矢と矢は空中でぶつかるとその威力をものがたるように空中で大きな爆発を起こした。
「チッ、敵にも増援が現れたのか?」
ガウェインは先ほど自分たちに向けられた攻撃を義経たちの仲間によるものだと判断した。
トリスタンは攻撃をしてきた方向に目を凝らすと人影が辛うじて見て取れた。そしてトリスタンは自分たちを遠くから狙撃してきた者のもとへと走り出した。
「申し訳ないガウェイン卿、この場は任せました」
トリスタンはそう言い残すと人影の方向に走り出しながら弓で矢を放つ、遠くに居る人影も矢を放ち再び空中で爆発が起こる。
トリスタンは先ほどまで戦っていた義経たちよりも、はるか遠くから自分たちに致命傷を与えかねない攻撃を放った人影を脅威を捉えて人影の排除を優先した。
「やれやれ、円卓の騎士とまともに正面から戦って100%勝てると思える程に私は自信家ではないんでね。この場は引かせてもらうとしようか」
そう言ってトリスタンたちに攻撃を放った人影の人物はその場を後にした。
その人物は浅黒い肌に白い髪、赤いジャケットを羽織った人物、抑止力であるエミヤに他ならなかった。
エミヤがその場から逃げるのをトリスタンは感じた、この距離で自分が追っている人物を捕らえることは難しいであろうことはトリスタンも理解はしていた。しかしあれ程の距離からあれ程危険な攻撃を出来る人物を見過ごせるハズはなかった。
今この場で始末しなくては円卓の騎士だけではなくアーサー王の命を危険に晒す可能性すら有り得るとトリスタンは危惧した。
こうしてトリスタンとエミヤの追走劇が始まった。