Fate/stay another world   作:レッサーパンダ

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2-4 伏兵

 「私は悲しい、まんまと敵の思惑通りことを運ばれてしまいましたか」

 

 トリスタンはエミヤの後を追ったが結局エミヤに追いつけなかった。トリスタンはエミヤの逃走ルートから敵の本拠地の位置を掴めないかとも考えた、しかしエミヤは様々なデタラメな方角に度々変えていたことから敵の居所を捜しだすのは無理であると諦めた。

 もともと敵であるエミヤが自分たち(円卓の騎士)の戦力を分断させることが目的であることをトリスタンは考慮していた、それでも目の前の敵である義経たちよりもエミヤの存在の方が脅威に映ったトリスタンはエミヤを追うしか選択肢はなかった。

 

 「やれやれ、既に戦闘は終わっているとは思いますがガウェイン卿たちが居る場所に戻るとしますか」

 

トリスタンは自身が最初に戦っていた場所、今はガウェインとモードレッドたちが戦っているであろう場所へと戻っていった。

 

 

 ガウェインとモードレッドは突然の別の敵からの攻撃とトリスタンの行動に多少の困惑の表情を見せたがすぐに事態の状況を理解すると、目の前の敵の義経と宋江に集中することにした。

 ガウェインは義経と剣を交え、モードレッドは宋江と梁山泊の連中と戦いを繰り広げた。

 状況はガウェインたち円卓の騎士が優勢で義経たちは押され気味である。

 

 「もう役目を果たしたから引きたいところだが、どうやら逃げるのも難しそうだな」

 

 宋江は義経に語りかけたが義経は悠長に会話をしている程の余裕は無かった。宋江も自身の宝具である梁山泊≪108人の豪傑≫の数を確実に削られていく。

 義経と宋江はこの場から離脱するために多少危険な賭けに出る必要があった、二人は自身の復讐を果たすまで死ぬつもりは無く相手を囮にしてでも生き残ろうとお互いに考えていた。義経と宋江を含む{選定者}が召喚した英霊たちは仲間であって仲間ではない関係で成り立っている。

 

 「さて、そろそろこの戦いを終わりにしようか」

 

 ガウェインはそう言って戦いを終わらせようとした、義経と宋江もこの場を離脱するために仕方なく命掛けで戦う覚悟を決める。

 しかし、その瞬間に別に存在が戦いに介入した。

 

 「長平の大虐殺≪40万人の死霊≫」

 

 何処からか宝具を使う声が響くとガウェインたちの前に何万、いや何十万の生気なき兵士が辺りを埋め尽くした。

 ガウェインとモードレッドは突如現れた死霊の兵と刀を交えた、死霊の兵の一人一人の実力はたいしたことは無く問題ではなかった。しかし辺りを埋め尽くした死霊の兵で敵の中枢メンバーと思われる義経と宋江の姿を視認出来なくなっていた。

 

 「クソっ」

 

 ガウェインは突如現れた死霊の兵のせいで義経たちを取り逃がす可能性が高まったことに苛立ちをつい口にした。

 ガウェインは視認出来なくなった義経と宋江の位置を現状ではまだ把握していたが、時間が経てば義経たちが何処に居るのか把握できなくなることは明白であった。そんなことを考えていたガウェインは突如近くで急激な力の高まりを感じその方向に目を向ける。そこには宝具を放とうとしていたモードレッドがいた。

 

 「雑魚どもが、ウザってえんだよー」

 

 「待て、モードレッド」

 

 ガウェインの静止を聞かずにモードレッドが宝具の一撃で死霊の兵を数千人、いや一万人以上も葬り去った。しかしまだ死霊の兵の数は巨万(ごまん)と残っていた。

 モードレッドは再び宝具で辺りの敵を一掃する、モードレッドの宝具で数十万は居た敵の数が半数近くまで減っていた。それだけにとどまらずモードレッドの攻撃は周辺の地形を変える程の威力であった。

 敵の数が半数近く減ったその時に突如死霊の兵たちの姿が消えた、介入してきた敵がモードレッドの猛攻で宝具を維持できなくなったのか、はたまた目的を遂げたので敵が自ら宝具を止めたのかは定かではなかったが。

 義経と宋江の姿は既に見当たらず荒れた地形だけがガウェインとモードレッドの前にあるだけであった。

 

 「何故攻撃を辞めなかったモードレッド、敵を逃がしてしまったぞ」

 

 ガウェインはモードレッドに詰め寄った、モードレッドの攻撃で敵の数は確かに減ったがその代償に敵の中枢メンバーと思われる義経と宋江の位置をガウェインは見失ってしまった。そしてその隙に義経と宋江はこの場から離脱をしたのだ。

 

 「じゃあテメエはあの状態で敵を捕らえらたってのかよ?」

 

 モードレッドの反論にガウェインは言葉を詰まらせる。モードレッドの言う通りあの状態を打破するには宝具を使った攻撃で敵の数を大幅に減らす以外になかったかも知れない、しかしもっと慎重にことを進め、的確な時に宝具を使えば敵を捕らえて情報を聞き出す可能性は十分にあったとガウェインは考えた。

 モードレッドが自分の言葉に耳を傾けていれば少しは状況は変わったかも知れない、今までの自分勝手な振る舞いのモードレッドにガウェインは苛立ちを多少募(つの)らせていた。そして今回のことでその苛立ちは限界を迎えた。

 

 「この際どっちが上かハッキリとさせようじゃねえか」

 

 「いい機会だ、少しお灸を据えてやろうモードレッド」

 

 モードレッドがガウェインに剣を突き付ける、普段のガウェインなら相手にはしなかったかも知れないが今回はモードレッドの挑発に乗ってガウェインも剣を抜いた。

 ガウェインとモードレッドの部下の兵士もその場に居た、しかし円卓の騎士であるガウェインとモードレッド、その二人が本気でぶつかり合うのを止められる者など存在するハズはなかった。

 アーサー王の敵を屠る剣であるハズの円卓の騎士、その二人の剣は敵ではなく同じ円卓の騎士同士に向けられぶつかり合い火花を散らした。

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