Fate/stay another world 作:レッサーパンダ
アーサー王たちは敵のアジトと思わしき場所に訪れたがその場に敵の姿はなかった。
しかし敵のアジトの一つと思われる屋敷の壁には其処らかしこに紙が貼り付けられていた、その紙に書かれていたのはアーサー王についてや円卓の騎士たち、そしてアーサー王に味方している人間や敵対国について、更には一般の兵士やその配偶者や家族の事までこと細かに詳細が紙には書かれていた。
敵は自分たちが思っていたよりも予想以上にこちら側のことを詳細に調べていたのである
「ふざけた真似を」
アグラヴェインは険しい顔を更に険しく、眉間にシワを寄せて自分たちの詳細が書かれている紙を睨み付けた。
敵がこちら側のことを調べていることは分かったが敵側の情報については対して残されてはいなかった。そんな時に一人の兵士がある部屋で食べかけの食事を発見した、その残されていた食事はまだ温かく先ほどまで誰かが居たことを物語っている。まるでこちらにわざと見せつけるように。
敵がまだ近くにいる可能性が高いと判断したアーサー王は敵の屋敷と思われる建物から外に出る、ついで騎馬隊を先に行かせて道を封鎖するように指示した。
歩兵の兵士たちには辺りに敵が潜んでいないか調べるように指示をする、兵士は辺りの捜索に散らばった。
アグラヴェインとランスロットも敵の探索に乗り出そうとしたが、一人はアーサー王の護衛に残る必要があった。ランスロットはアグラヴェインをチラリと見るとアグラヴェインは士郎を睨んでいる。
アグラヴェインは士郎がアーサー王の近くにいる限りアーサー王から離れるつもりは無いだろう、ランスロットは敵の捜索に行こうとその場から離れようとした。その時。
「誰だっ」
ランスロットは言葉を言うよりも早く自身の剣を鞘から抜いた、剣を持つ腕に衝撃が走る。敵のアーサー王を狙った攻撃をランスロットが紙一重で防いだ。
「今の一撃を防ぐとは、流石に名高き円卓の騎士と言ったところか。だが、我が目的の為にアーサー王の首を頂戴させていただく」
切りかかってきた敵はそう声高に叫んだ。敵の体格は小柄で色白、ツリ目でその鋭い目には力強い意志を感じさせた。女性モノの衣服を着ていれば美女と見間違えるであろうその敵は源義経であった。
義経はキャメロット付近でランスロットたちと戦っていた時とは格好が少し違った。履物(ゲタ)は始めから履いておらず素足、鎧は外して武具は最低限の身軽な格好である。
義経は再度アーサー王を目掛けて襲いかかった。ランスロットが再び義経の前に立ちはだかる、義経はランスロットを大きく迂回してアーサー王の背後へと回った。そのスピードはランスロットを上回りランスロットは後手に回った。義経の刀がアーサー王に振り下ろされる。
「ガァキィィィン」
金属と金属がぶつかる音と共に義経が大きく後ろに吹っ飛ばされる。
アーサー王は義経の刀が届くより早く自身の剣を抜き放ち身を守った。
アーサー王が鞘から抜いた剣は刀身が無かった。しかし、士郎と円卓の騎士である二人は知っていた、無いのではなく不可視の魔法が掛けられていて刀身が見えぬのであると。
アーサー王程の技量を持つ者は僅かである、そして仮に同じ技量を持つ者同士の戦いになれば戦いにおいて間合いの重要度極めて高い、今のアーサー王相手に五分で戦える者などこの世で数人程度であろう。
しかし、ランスロットとアグラヴェインは王の前に立ち敵の前に立ちはだかった。如何にアーサー王が強くとも王を前線に立たせる訳にはいかなかった。
「二人は下がっていろ、敵は一人だ。私も一人で相手をするのが礼儀であろう」
アーサー王と義経は剣を交えた瞬間に互いに相手に自分に似たものを感じた。
ランスロットはアーサー王の言葉に素直に従ったがアグラヴェインは拒んだ。アーサー王が負けることなど万に一つも無いであろう、それどころかアーサー王がエクスカリバーの鞘を所持している以上は傷一つ付けることすら不可能であろう。
ランスロットでなくとも他の円卓の騎士であれば素直にアーサー王の命を聞いたであろう、アグラヴェインもアーサー王の力を信じていない訳ではない。しかし、アーサー王に何かあれば全てが終わるのである、他の者が代わりに戦えるのであるならば他の者に戦わせるべきだとアグラヴェインは考えていた。
「もう一度は言わぬぞ、下がれ」
アーサー王は言うとアグラヴェインは仕方なく下がり戦いを傍観する立場となった。
アグラヴェインはランスロットを憎々しげに睨んだ、ランスロットが自分に加担したところでアーサー王は意見を変える可能性は低いであろう、しかしランスロットが言えば王も意見を聞き入れるかも知れなかったのだ。
ランスロットはアグラヴェインの怒りのこもった視線に気付いていたが無視をしてアーサー王の戦いの行方に集中した。
「何故私の首を狙うのだ?」
アーサー王は義経に自分を狙う理由を尋ねた。
「礼には礼を持って答えるべきであろう。貴女(あなた)の質問に答えるには少々私の昔話に付き合ってもらう必要があるな」
義経は自分についての昔話をその場に居る者に聞かせた。