Fate/stay another world   作:レッサーパンダ

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2-14 敵側の戦力

 義経の体が小さな光の粒となって少しづつ消えていく。その光景を見たランスロットとアグラヴェインは初めて見る現象に多少の戸惑いを見せた。

 アーサー王も士郎から話を聞いてはいたが、人が光の粒となっていくのを見るのは初めてであった。

 義経はもう時間が無いことを知り矢継ぎ早に話をし始めた。

 

 「私は{選定者}によってこの世界に呼び出された、その時に呼び出されたのは私を含めて七人の人間(サーヴァント)であった」

 

 義経はアーサー王に自身が知る戦力は{選定者}を含めると八人しか居ないのだと語った。

 そして召喚されたサーヴァントたちが最初は{選定者}を疑っていたが、召喚された一人がかつて{選定者}に別の時代に呼ばれて復讐を果たした者がいたことによりその場の者たちは{選定者}を信じることにした。(皆が本当に信じた訳では無かったが復讐を果たすのに他に方法が無かったからの理由も大きいが)

 そして途中から新たに一人{選定者}に協力する者が加わったと義経は話すと、そこで口を閉じて少し考える素振りを見せた。

 

 「その途中で加わった男の名前は…」

 

 義経はそこで話を切ると士郎の方をチラリと見た。

 義経は{選定者}がその男の名前を呼んでいるのを聞いていた、その男は{選定者}から様々な呼び名で呼ばれていた。

その一つに衛宮士郎という呼び名で呼ばれていたことを思い出した。そう、義経の今目の前に居る少年と同じ名前なのだ!

 義経はあの男の顔を思い出しながら目の前の少年と比較していた。

 

 (確かに面影を感じられる、しかし…)

 

 義経は心の中で葛藤していた。そして徐(おもむろ)に途中で加わった男の名前を口にした。

 

 「抑止力、もしくはアーチャーなどと{選定者}はその男を呼んでいた」

 

 義経はその男が衛宮士郎と呼ばれていたことは伏せることにした。確かに両者には似ていると感じた部分がある、しかし両者から受ける印象はまるで違った。

 目の前の少年は人の心を動かす何か特別な熱のようなものを感じる、はたまた{選定者}に協力したあの男は何か冷めた絶望を心に抱えているようであった。

 それに何より{選定者}に協力している男が目の前の少年と同じ名前であることを伝えれば、目の前の少年にあらぬ疑いが係り、迷惑が及ぶかも知れないと義経は士郎を気遣った。

 

 「敵の数はたったのそれだけなのか?」

 

 義経の話を聞いてアグラヴェインは多少驚きを見せた。まさかアーサー王と円卓の騎士を相手にそんな戦力で戦いを挑む馬鹿がこの世にいるとは思いもしなかったのだ。

 義経は既にアーサー王が一人敵を倒していて、自分も敗北した今{選定者}側の戦力は{選定者}を含めて僅か七人だと伝えた。

 そして思い出したように{マーリン}という魔術師の動きを封じ込めたが、命までは奪えず生きていることをアーサー王に話した。

 そのことを聞くとアーサー王はホッとした表情を見せた。

 

 「何故我々に情報を寄越すのだ?」

 

 アーサー王は敵である自分たちに自軍の戦力を打ち明けた義経に質問をした。

 義経は僅か顔を上げてアーサー王の方を見ると軽く微笑み言った。

 

 「家臣たちが傷付き苦しむ姿しか記憶に残っていなかった、だがその少年(士郎)がきっかけで家臣たちとの輝かしい記憶を思い出せた。その礼がわりだ」

 

 「情報、感謝する」

 

 アーサー王は凛と感謝の弁を言葉にした。

 しかしアーサー王の礼に義経は首を横に振った。義経は{選定者}に付いての大まかな情報は教えたが召喚されたサーヴァントたちの詳しい情報を義経は教えようとしなかった。

 義経はサーヴァントたちの全員ではないが数人の真名と宝具を知ってはいたが、仲間と言える間柄では無いにしても共に行動を共にした者たちを売るようなマネはしたくないとアーサー王に謝罪した。

 今度はアーサー王が首を横に振った、義経の行動をアーサー王は別に構わぬと許容した。

 

 「最後に質問しても構わないかな? アーサー王。

  権力を手にした貴女(あなた)は私欲のために権力を行使したことはあるか?」

 

 「私欲で動く王に誰が心から従う、王とは己を捨ててでも国をより良くするためにあるのだ。少なくとも私はそう思っている」

 

 義経はアーサー王の答えを聞くと消えゆく体を何とか動かし、アーサー王に頭を下げて傅(かしず)く様な格好を取った。

 

 「次に仕えるならば貴女(あなた)のような王のために戦いたものだな、アーサー王。

  偉大なる王にご武運が在らんことを」

 

 最後に義経はそう言うと光の粒となって完全に消えてしまった。

 アーサー王は義経が居た今は何も無い場所を見てポツリと呟いた。

 

 「貴女(ソナタ)のような者なら喜んで歓迎しよう」

 

 アーサー王はマントを翻(ひるがえ)して自身の馬の背に乗った。そしてアグラヴェインに散った兵士たちを呼び戻すように伝える。

 兵士たちが全員集まるとアーサー王たちは急いで城へと帰路した。敵の勢力が把握出来た現状では城に戻り敵を殲滅するための計画を練ることにしたのだ。

 しかしキャメロット城へと戻ったアーサー王は知ることになる、こちらが倒した敵の戦力以上に多大な戦力を奪われたことに。

 アーサー王が城に戻った時に聞いたのは重要人物の訃報であった。

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