Fate/stay another world   作:レッサーパンダ

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第裏二章 2=1 各々の思惑

 時間は戻りアーサー王が士郎、ランスロット、アグラヴェインたちを引き連れてキャメロット城から出立した日の夜のことである。

{選定者}はアーサー王の王妃であるグィネヴィアの従者として潜り込んでいた妲己の手引きでキャメロット城のある一室に訪れた、そこである人物と会うために。

 {選定者}はとある一室で女が座る対面へと座ると口を開いた。

 

 「お会い出来て光栄です。偉大なる女王であられるモーガン様」

 

 {選定者}が妲己に指示して会う段取りをした人物とはモーガンであった。

 モーガンとはアーサー王の姉であるが、同時にアーサー王を憎みその王の地位から追い落とそうとしている人物であった。

 {選定者}はアーサー王を殺す条件でモーガンへと近づき協力関係を申し込んできた。

 

 「貴様が{選定者}か。私と手を組むに値するとは到底思えないのだがな」

 

 モーガンは何処の馬の骨とも分からぬ{選定者}をまるで信用していない態度であった。

 それでもモーガンが{選定者}と会うことを了承したのは、{マーリン}をアーサー王から引き離すことに成功したという話を耳にしたからである。

 無論モーガンはその話を信じた訳ではなかった、あの{マーリン}をどうこう出来る者がこの世にそう居るとは思えなかったからだ。しかし、現在の時点で{マーリン}がアーサー王の近くから消えたことは事実である。ゆえに無駄とは思いつつもモーガンは{選定者}と会うことに決めたのだ。

 

 「{マーリン}を排除したのは貴様らしいな? ならば証拠に{マーリン}の首を持ってまいれ。そうすれば貴様の話を聞いてやろう」

 

 「申し訳ないモーガン様、{マーリン}の動きの封じ込めには成功しましたがそれが限界でして、殺すのは難しいかと」

 

 モーガンの申し入れを{選定者}はやんわりと無理であると伝えた。

 モーガンは目の前の男に失望は感じなかった、元々期待などしていなかったからだ。やはり{マーリン}が現状アーサー王のもとを離れているのは目の前の男とは関係が無いのかと、モーガンは{選定者}に興味を失いかけた。しかし、次の{選定者}の言葉にモーガンは興味を示すことになる。

 

 「{マーリン}の首を差し出すことは出来ませんが、代わりにそれに代わる者の首をモーガン様に差し出しましょう。ペリノア王の首は如何(いか)がでしょうか?」

 

 「ほー、あのペリノア王を貴様が殺すと言うのか?」

 

 {選定者}の言葉にモーガンは口の端を少し上げてニヤリと妖艶に笑った。その笑みは艶めかしく、普通の男性であればモーガンの言いなりとなっても可笑しくない程に魅力的であった。

 魔術を使った魅了(チャーム)を使用しているのではないかと疑うほどだ。もしくは元々備わっている美貌ゆえなのか? モーガンが巷の陰で魔女などと言われる原因の一つなのは間違いないことだろう。

 

 「質問でーす。ペリノア王って誰ですかしらぁん?」

 

 ここで初めて妲己が話へと加わってきた。ペリノア王という人物について知らない妲己はその凄さが全く伝わらなかった。

 

 「他国がアーサー王を脅威と捉えるのはアーサー王自身が率いる円卓の騎士という存在、そしてアーサー王を支える両翼である{マーリン}とペリノア王の二人よ」

 

 モーガンは何とはなしに妲己に説明をした。そしてついでにペリノア王が如何に邪魔な存在であるかについて話した。

 ペリノア王は円卓の騎士の顧問監督官という立ち位置であり、ペリノア王自身が一国を治める王ゆえにアーサー王とは対等な立場のように見えるが実際はアーサー王に従う者だ。

 かつてペリノア王はアーサー王と敵対関係にあり剣を交えた間柄であった、その武は凄まじく円卓の騎士たちですら容易に勝てる相手では無かったのだ。

 そしてついにペリノア王はアーサー王と直接剣を交えた結果、アーサー王が勝利を収めてペリノア王はアーサー王に下る形となったのだ。

 

 「あらぁん、結局はアーサー王に負けた相手ですのねぇん」

 

 モーガンの説明受けた妲己はペリノア王の評価はただの敗北者としか聞こえなかった。

 

 「確かにペリノア王は負けたわ、しかしアーサー王もそれ相応の代償を払うこととなったのよ」

 

 モーガンの話ではアーサー王を最強とたらしめている大きな要因は三つ武器(宝具)を有していることが大きいと語った。

 一つはエクスカリバー、そしてもう一つがロンゴミニアド、そして最後の一つが選定の剣(カリバーン)であると。

 アーサー王はペリノア王との戦いでその一つであるカリバーンを破壊されたのであった。(カリバーンは折られて武器としては使えなくなったが、未だにアーサー王の成長を止めている力は失われてはいない)

そのことからペリノア王の武の力は伺い知れた、円卓の騎士たちと同等かそれ以上であるとさえ言う者すら居た。

モーガンにとってはアーサー王に加担する邪魔者の一人であったのだ。

 

 「他の者が居ると厄介なのでペリノア王一人を呼び出して頂きたい」

 

 モーガンが妲己にペリノア王についての説明が終わると{選定者}はモーガンにペリノア王を誘き出すことを願い出た。

 

 「簡単に言ってくれるな、一国の王を単身で誘い出せとわ」

 

 「ガウェインの名を出せばそう難しいことも無いでしょう?」

 

 {選定者}の言葉にモーガンは目を細めた。

 {選定者}の言う通りガウェインの名を騙(かた)った書状を送ればペリノア王は単身でも出向いて来るであろう。何故ならばペリノア王はガウェインに対して負い目があった。

 その負い目とはガウェインの父であるロット王を殺したためである、ロット王はアーサー王と敵対したためにペリノア王は打ち取ったのだ。

 ガウェインたちは仕方のないことだと、そのことでペリノア王に対して何の恨みも抱いてはいなかったがペリノア王自身はロット王の子たちに負い目を感じていたのである。

 モーガンは{選定者}がそのことを知っていることに多少は驚いたが{選定者}の言う通りに事を進めることにした。

 

 「それではこれにて失礼させて頂きます。モーガン様」

 

 そう言って{選定者}は部屋を後にした。

 {選定者}が部屋から出て行くのを見計らって妲己はモーガンへと近寄った、そして小声でモーガンに囁いた。

 

 「では改めて聞きますが妾(わらわ)の計画に乗って下さるかしらぁん?」

 

 「いいだろう、但し貴様が{選定者}よりも使えるのであればだ。それならば貴様はアーサー王殺すために私に協力し、私は{選定者}を殺すために貴様に協力をしようではないか」

 

 妲己は{選定者}が訪れる前にモーガンにある提案を持ちかけたのだ。そう、妲己は自身を召喚した{選定者}を裏切る計画を内々に画策していたのだった。




 アーサー王(セイバー)はエクスカリバー、カリバーン、ロンゴミニアド以外にも宝具級の道具(防具など)があったみたいですがここではアーサー王が持つ宝具(武器)は有名な三つの武器のみで話を進めさせて頂きます。

 Fate版のアーサー王伝説ではカリバーン(選定の剣)が失われた理由が明確でないため、普通のアーサー王伝説のペリノア王との戦いでカリバーンが壊れたていで物語を進めて行きます。
 違和感などがある場合はご了承ください。

 ※ちなみにカリバーンが壊れた理由はアーサー王が私欲で剣を振るった為、とアーサー王伝説ではありますが、私欲でアーサー王(セイバー)が剣を振るうのは違和感が出るのでペリノア王の武力によって剣を破壊したこととなります。
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