Fate/stay another world   作:レッサーパンダ

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2=2 最も愚かな王

 ペリノア王のもとに一通の書状が届いた。そこには「会って話がしたい」、そう短く書いてあるのと、時間と落ち合う場所が書いてあるだけであった。

 ペリノア王はその書状の差し出し人がガウェインでなければ気にも留めずに破り捨てたであろう、しかしガウェインが本当に差し出したのであれば無視をする訳にも行くまいとペリノア王は一人出掛ける準備をした。

 

 「王よ、このような夜更けに何処へ行かれるのですか?」

 

 ペリノア王が出掛けるのを目撃した兵がペリノア王を止めようとした、しかしペリノア王は目的を語らずに兵を払いのける。兵はせめて護衛をお付けするように嘆願したが、ペリノア王は無用であるといい残すと馬に乗り一人で書状に書かれた場所へと向かった。

 馬で2~3時間駆けるとペリノア王は目的の場所へと着いた。ペリノア王は慎重に辺りの様子を窺う、約束の場所は開けた場所で伏兵などを隠すのは難しそうであることをペリノア王は確認をした。そして周りに人が潜んで居る気配も無かった。

 ペリノア王は暗闇の中に一人佇(たたず)む者が居る場所へと近づく、しかし月明かりがその者の顔を照らすとペリノア王は足を止めた。

 

 「いい度胸だ、ガウェイン卿の名を騙り私を呼び付けるとは覚悟はできているのだろうな」

 

 ペリノア王は怒りの籠った声で語り掛けた。

 月明かりが照らした男の顔はガウェインではなかった、それどころかペリノア王が見たことも無い人物であった。

 

 「初めましてペリノア王、私は{選定者}。いや、これから死ぬ貴方(あなた)には我が真名を告げるのが礼儀かな。

  我が名は……。この世で最も愚かな王様さ」

 

 {選定者}と名乗った男は自身の真名をペリノア王に告げたが、ペリノア王は初めて聞くその名にピンときてはいない様であった。

 ペリノア王にとっては相手に対した興味など無かった、ただガウェインの名を騙った愚か者に死の鉄槌を下そうと剣を引き抜いた。

 互いの剣と剣がぶつかり合う、その時ペリノア王は自身の体に妙な違和感覚えた。

 

 

 一方、{選定者}とペリノア王が戦っている場所から少し離れた位置(戦いを肉眼で見ることが出来ない程度)にモーガンと妲己と白起が居た。

 白起とは{選定者}が召喚した七騎の内の一人である。白起はかつて紀元前三百年頃の中国に居た昭襄王(しょうじょうおう)に仕えていた武人であった。

 

 「残念ですゎん、せっかく{選定者}様の戦う勇姿を拝めるチャンスですのにぃ」

 

 妲己は残念だとばかりに体を軽くくねらせて白起の方を見た。妲己は実際に{選定者}が戦うなどと信じてはいなかった、{選定者}は裏で計画を練り自身が前に出るタイプでは無いし、前線で戦う力があるとは妲己には思えなかった。

 なので妲己は{選定者}がペリノア王を討つのに隠しているであろう戦力が知りたかった、{選定者}が召喚した者たちの居場所を妲己は把握しているのでこの場に自分たち以外のサーヴァントがいないことは確認済みだ、ならば{選定者}が隠している戦力をこの機会に把握しておきたかったのだ。

 

 「ならん、{選定者}の奴が自身の戦いを見られることを嫌っているからな」

 

 白起は妲己の提案をピシャリと拒絶した。

 妲己は白起が{選定者}に絶対の忠誠を誓っているとは思えなかった、なので白起を自分側に取り込めないかと探りを入れる。

 しかし、白起は{選定者}の言うことを決して破らずに従う意思を表した。

 

 「奴に従っていれば我を自害に追い込んだ王に復讐が出来る、そして何より再び戦場を提供した{選定者}に従わぬ道理がないわ」

 

 白起は戦いの場を用意した{選定者}に不満を持ってはいなかった。妲己は自身の反旗を悟られることを嫌って、白起を自分の側に引き入れるのを断念した。

 そんな話をしている中に{選定者}が血塗れでこの場に戻ってきた。

 {選定者}は血塗れであったが自身の傷ではなく全て返り血であった、その様子を見てモーガンは{選定者}に声を掛けた。

 

 「本当にあのペリノア王を殺したのか?」

 

 「ええ、モーガン様。死体は向こうの方に転がっていますので好きに確認をしてください」

 

 {選定者}の答えにモーガンは驚きを表にした。{選定者}は血塗れだが大した傷を負っているようには見えない、ペリノア王を相手に大した傷も負わずに勝つなど円卓の騎士はおろか、アーサー王とて不可能であろう。

 モーガンは{選定者}に対して評価を改めることにした、そしてモーガンは{選定者}に手を差し出す、協力関係を了承した合図だ。

 {選定者}は片膝を着き差し出したモーガンの手に口付けをした。

 

 「モーガン様には色々と細かな協力をして貰いますが、何よりもまずアーサー王が持つエクスカリバーの鞘を排除して頂きたい」

 

 {選定者}の言葉を聞いたモーガンはエクスカリバーの鞘が邪魔なことはモチロン理解していた、だがアーサー王が目を離すことなど無いであろう。モーガンは難しいだろう、と答えたが{選定者}は首を横に振る。

 

 「これよりアーサー王の周りで大事件が起こるでしょう。その機に乗じてエクスカリバーの鞘を偽物にすり替えてください。

  何も心配はありません、全ては{決まっている}ことなのですから」

 

 {選定者}そう言い残すと次の作戦の準備のためとその場を後にした。妲己と白起もその後に続く。

 モーガンはペリノア王の死を確認するために戦いの後地へと移動した、其処には確かに血の海に横たわるペリノア王の死体が転がっていた。

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