Fate/stay another world   作:レッサーパンダ

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第三章 3-1 円卓会議2

 アーサー王と円卓の騎士たちは緊急会議を開いていた。

 アーサー王は義経を討った後にキャメロット城へと凱旋して待っていたのは思いもよらぬ一報であった。それはペリノア王の死の報告であった。

 その報告を受けたアーサー王はすぐに詳しい状況を調べさせると、円卓の騎士たちを急遽収集することにした。

 

 「さて、この問題をどうすべきか」

 

 アーサー王は他の者たちに意見を求めた。

 

 「待ってくれアーサー王、私は断じてそんなことをしていない」

 

 ガウェインは声を大にして広まっている噂について否定した。その噂とはペリノア王を殺害したのは他ならぬガウェインであるという噂であった。

 

 「やるなら上手くやれよなガウェイン、何なら手伝ってやったのによ」

 

 「場をわきまえよ、冗談が過ぎるぞ、ケイ」

 

 ケイが冗談でガウェインを茶化すとアーサー王は怒りの声を上げた。ケイは場を和ませる冗談だろ、と言って悪びれる様子はまるで無い。

 ケイの発言で場の空気が和むどころか更に悪くなったが、他の騎士たちはケイの言動にに馴れっこのため誰も気にする者はいなかった。

 アーサー王は改まって話を元に戻した。

 

 「無論、私もこの場に居る全員もそんなデタラメを信じている者などいない。しかし、その噂を信じる者が居ることが問題なのだ」

 

 事の発端はペリノア王の家臣が一通の手紙を見つけたことからこの噂が広まった、ペリノア王の殺害の後すぐにペリノア王の家臣たちは犯人捜しを始めた。そしてペリノア王を呼び出したと思わしき手紙が発見される、その差し出し人の名がガウェインなのであった。

 証拠というにはあまりにもお粗末なものである、しかし、ガウェインには父親であるロット王を殺されたという動機があるのが問題であった。

 ガウェインのことを知っている者であればガウェインがその様なことをするハズは無い、そう断言出来るが、ガウェインのことをよく知らぬ者ならば信じる者も出てくるのも仕方なかった。

 ペリノア王の家臣たちの大半もガウェイン卿に罪を着せる策略と見る者が大半であった、しかし少なからずガウェインに猜疑心(さいぎしん)を抱く者も居るのは事実であった。

 

 「正直無実を証明するのは難しいでしょうね、我々がガウェイン卿のアリバイを証言しようと口裏合わせだと勘繰る者は居るでしょうから」

 

 ベディヴィエールは悲しそうに話した。

 ペリノア王の死は深刻な問題を生み出していた、それはペリノア王という強大な力を持つ協力者を失ったことで近辺諸国が動き出す隙を与えかねないことである。

 ペリノア王が死んだとはいえアーサー王と円卓の騎士が居るので普通なら周辺の国は動くことは無かったであろう、問題は身内の者がペリノア王を殺したかも? ということである。

 アーサー王が率いる化物じみた力を持つ集団であろうと、内輪揉めをしているならばアーサー王討つ好機(チャンス)と考え動き出す国が出て来てもオカシクはないことが問題であった

 

 「他の国に対する防衛の兵力を暫くは強化して様子を見た方がいいかと」

 

 アグラヴェインが進言をするとアーサー王も同意してすぐに伝令を送り、各所に警備の強化を促した。

 どこか一国が仮に攻めて来たとしてもアーサー王たちならば難無く打ち払うであろう、アーサー王が危惧していたのは複数の国が同時に進軍してきた場合であった。

 流石のアーサー王と円卓の騎士たちとはいえ、複数の国を同時に相手にするのは容易では無い。そしてもう一つ気掛かりがあった。

 

 「ペリノア王を殺した人物に誰か心当たりは思い当たらぬか」

 

 アーサー王は円卓の騎士たちに質問をした。

ペリノア王を殺すことが出来る程の者など皆簡単には思い浮かばないようであった、仮にそれ程の力を持つ者ならばペリノア王を打ち取ったのにその功績を自身の名前で触れ回らずにいることも妙であった。

 ガウェインの名を騙って殺した理由があるとすればやはり自分たちの内輪揉めを装って他国が攻める機会を作りだそうとしていると考えるのが妥当であろうと話し合いで結論付けられた。

 そしてアーサー王は自身の考えを他の者に伝えた。

 

 「今回の件について私は{選定者}とやらが関わっていると睨んでいる、敵は少数だが他の国が動く時に一緒に動かれては面倒だ。

  それゆえにまず、{選定者}とやらたちを叩き潰す」

 

 アーサー王は他の者たちに高らかに宣言した。しかし問題は{選定者}率いる敵の足取りが掴めていないことである。

 敵の一人である宋江を追跡したが逃したベディヴィエールは申し訳なさそうにアーサー王に謝罪する、アーサー王はベディヴィエールに落ち度は無いと攻めることはなかった。

 現状では打開策の無い状態であるがアーサー王には何か考えがあるようであった、皆はアーサー王がその案を口にするのを神妙にして待った。

 

 「{選定者}の居所が分からぬなら誘い出すまでだ、狙いが私の首なら方法は簡単だ。私自身を囮として{選定者}を誘き出せば良い」

 

 アーサー王は自身を囮とする案を口にする、それを聞いた円卓の騎士全員がアーサー王に考え直すように話したがアーサー王は考えを変えなかった。

 アーサー王は女たちを引き連れて王の道楽で漫遊(まんゆう)しているように見せ、敵を誘い出すことにしようとしていた。

アーサー王は更に敵を誘き出し易くするために円卓の騎士たちの一切の同行を禁止した。

 

 「いくら何でもそれは危険過ぎます王よ、どうかお考え直し下さい」

 

 ベディヴィエールはアーサー王の危険な賭けに猛反対した。

 今回ばかりは円卓の騎士の全員がアーサー王の考えに反対した、円卓の騎士を一人も連れずに、しかも戦闘の出来ない女たちを連れて僅かの兵士を連れて旅をするなど無茶苦茶である。

 ペリノア王を殺したのが本当に{選定者}たちであれば、アーサー王は護衛も付けずに{選定者}側の残り七人の敵と一人戦うことになりかねないのである。

 

 「父上、俺も連れてってくれ。女たちを多く連れてあるくなら俺が紛れこんでも敵も気付かねえだろ」

 

 モードレッドは王が道楽で連れ歩く女たちの一人に潜り込んで護衛をすると言ったのだ。

 アーサー王は少し考えると、モードレッドの提案を受け入れた。ただし顔を隠して鎧などは着込まずに剣の帯刀も禁じた。

 円卓の騎士の中で女であるモードレッドが同行を許されたことにアグラヴェインはすぐさま伝令役の兵士を呼び付けると、命令を下した。

 

 「現在任務に就いているガレスに至急キャメロットまで戻るように伝えろ」

 

 円卓の騎士たちの中でモードレッドを除けばもう一人だけ女性の騎士が居た(アーサー王を女性と知る者は極僅かのため含まない)、それがガレスであった。

 アグラヴェインはガレスがキャメロットに戻って来るまで出発を遅らせるように懇願したが、アーサー王は受け入れず準備が整いしだい出立することをこの場に居る者たちに伝えた。

 アグラヴェインは何とか準備を先延ばしにして時間を稼ごうとするが、長くても二~三日が精一杯であろう。それに引き換え伝令がガレスに伝わりガレスがキャメロットにすぐに向かったとして、少なくとも十日以上はかかる距離である。

 ガレスがアーサー王の出立に間に合う可能性は皆無であった。

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