Fate/stay another world 作:レッサーパンダ
アーサー王は士郎の呟きが僅かに耳に届いていた、アーサー王は士郎が何か知っているのではと士郎に詰め寄った。
士郎はアーサー王に自分が知っていることを全て話した、第五次聖杯戦争で自分がアーサー王を召喚して他の英雄たちと戦った経緯を。そして自分の名前と何故セイバーと呼ぶのかを。
「そんな話を信じろと?」
士郎の話を聞いたアーサー王は士郎に辛辣な言葉を返した。
アーサー王は士郎に対する印象を自分を助けた人物から、頭のオカシイ妄言を吐く人物と変わっていた。
アーサー王が不審な目で自分のことを見ていることに気付いた士郎は何とか信用して貰おうとしたが手段がなかった。
「信じてくれセイバー、俺は嘘なんて言ってないんだ」
「私の名はセイバーなどではない、妄言も大概にせよ」
士郎の訴えはアーサー王に届くことはなかった。それでも士郎は必死に食い下がりセイバーと戦ったこと、一緒に暮らした記憶を喋り続けた。
士郎の頑張りが徒労に終わるかと思われた、しかし士郎の口からでた{キーワード}にアーサー王は顔色を変え、急いで士郎の口に手を当て塞いだ。
アーサー王はキョロキョロと周りを見渡した、アグラヴェインと数名の部下たちは賊の行方を追ってこの場には居なく、少し離れた所にアーサー王が助けた親子が居るだけだ。
アーサー王は士郎に顔を近付けると小声で喋った。
「何故私が女である秘密を君は知っているんだ」
アーサー王の慌てぶりに士郎は困惑した。実はアーサー王が女性であることはアーサー王の側近ともいえる円卓の騎士たちでさえその事実を知るのは極一部であるほどの秘密であった。
士郎はアーサー王からその事実を口止めされた、そしてアーサー王は自分の秘密を知る士郎という人物の先ほどの眉唾話を全てではないが多少は信じようかと考えた。そんな時、
「アーサー王、申し訳ございませんが賊を取り逃がしました」
探索が空振りに終わったアグラヴェインとその部下がアーサー王の元へと戻って来た。
アーサー王は賊の探索を打ち切ることをアグラヴェインたちに告げると自身の城のあるキャメロットへと戻ることを言い渡した。そして助けた親子を自宅まで無事に送ることと、自身を助けた士郎を城を招くことを伝え。
それを聞いたアグラヴェインは士郎をジロリと睨みつけた。
士郎は自分があからさまに歓迎されてないことが分かった、しかし気付かぬフリをしてアーサー王の城への招待を承諾した。
「陛下、信用の置けぬ者を身近に置くなど危険です。どうかご再考を」
「王として、いや、人として恩を受けた相手にはそれ相応の待遇をするべきだ。
違うか? アグラヴェイン」
自身の進言を聞いては貰えぬと悟ったアグラヴェインは士郎が客人として城に来ることを承諾した。
士郎は城があるキャメロットへと辿り着くまで終始アグラヴェインの厳しい監視の目を受け、生きた心地のしないまま何とかキャメロットへと辿り着いた。
士郎は城に着くとそのままアーサー王が自分の後を付いて来るように命じた。
「陛下、その者を円卓の会議の場に同席させるのですか?」
アグラヴェインはアーサー王の言葉を聞いて口を挟んだが、アーサー王は士郎を連れて行くことを曲げなかった。
アーサー王が扉を開けると部屋には丸いテーブルと椅子が用意されていた。
そこには既に数人が座っており、扉から入ってくるアーサー王とアグラヴェイン、そして士郎に視線を注いだ。
士郎は既に椅子に腰掛けている者たちを見てゴクリと唾を飲み込んだ。その場に居る者たちが第五次聖杯戦争の英雄たちと同等か、それ以上であることを士郎は直感で感じた。
こうして士郎は伝説のアーサー王と円卓の騎士たちの会議に同席することとなった。