Fate/stay another world   作:レッサーパンダ

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4-3 抑えきれぬこの思い

 アーサー王の帰還を祝っての会食を終えるとランスロットはギネヴィアに呼ばれていたので、ギネヴィアの部屋へと訪れてた。

 ギネヴィアはアーサー王の無事の帰還を喜んだ、しかし素直に喜べない気持ちも僅かにあった。

 

 (もうランスロット様とこうした頻度で会うことは出来ないかも知れないわね)

 

 ギネヴィアはアーサー王が戻って来た以上はこれ以上ランスロットと度々二人きりで会うことは辞めなければならないと考えていた。

 最後にまた二人で他愛のない話をしてこの気持ちを胸の奥に閉まって生きよう、そうギネヴィアは決意した。

 しかし、自分自身でこの胸の中で高鳴る感情を抑える自身が無かったギネヴィアは妲己から渡された薬を飲んだ。

 

 (これで大丈夫、私の初めての恋は打ち明けること無く終わりにするのよ)

 

 そんな決意を胸にギネヴィアはランスロットを自身の部屋へと招き入れた、そして何時もと同じように他愛の無い会話を交わす。

 しかしギネヴィアは妲己から渡された薬を飲んだというのにその気持ちの昂(たかぶ)りを抑えられずにいた。

 いや、むしろその胸の昂りは今までよりも更に高鳴った。

 ギネヴィアはランスロットの顔を、目を、唇を、舐めるように見回した。ギネヴィアは駄目だと思いつつもある言葉を口にした。

 

 「目を瞑って頂けますでしょうか、ランスロット様」

 

 ギネヴィアがそう言うとランスロットは目を閉じた。

 次の瞬間に口に何か柔らかいモノが押し当てられるのをランスロットは感じた、ランスロットは目を開けると目の前にはギネヴィアの顔がアップで映し出された。

 そして自身の口に押し当てられた柔らかいモノがギネヴィアの唇であるとランスロットは分かった、しかしギネヴィアの今まで胸に秘めていた思いを知らないランスロットは、何故今の様な現状になっているのか理解出来ずにいた。

 突然の出来事にランスロットの脳はフリーズをして暫し硬直していた。

 そんな時にドアが勢いよくドンっ、と音を立てて開いた。

 

 「テメーら、噂は本当だったんだな」

 

 モードレッドは怒りを露にした声で二人に向かって吐き捨てた。

 モードレッドたちの乱入でギネヴィアはランスロットの唇から唇を離すとモードレッドに向かって言った。

 

 「無礼ですよモードレッド、突然部屋に入って来るなど」

 

 「無礼だと、このアバズレが。父上を裏切った罪をその命で贖(あがな)え」

 

 モードレッドはそう言って剣を抜きギネヴィアへと切りかかった。

 

 「ガキンっ」

 

 金属と金属がぶつかり合う音が部屋に響く。

 モードレッドの剣はギネヴィアに届く前にランスロットが防いで邪魔をした。

 

 「そうか、テメーから先に死にたいようだなランスロット」

 

 モードレッドは憎々しそうにランスロットを睨み付ける。

 父上を裏切ったギネヴィアも憎いが、父上から多大な信頼を寄せられながらも裏切ったランスロットにモードレッドは激しい怒りをぶつけずにはいられなかった。

 

 「待て、モードレッド。落ち着いて話を聞け」

 

 「話がしてえだと? あの世でたっぷりとほざいてろ」

 

 ランスロットの言葉に耳を貸さずにモードレッドは剣に魔力を込める。

 モードレッドが宝具を放とうとするのを察知して、ランスロットも自身の剣に魔力を込める。

 室内で宝具同士をぶつければどうなるかランスロットは分かっていた、しかし黙ってモードレッドが宝具を放つのを見ていれば自分だけでは無く、後ろのギネヴィアは間違いなく命を失うであろう。

 最悪の事態を招くことになると解りつつもランスロットも宝具を放つ準備をした。

 しかし、最悪の結果は回避するこことなった、アグラヴェインがこの場に居たことによって。

 

 「剣を納めろ、モードレッド」

 

 アグラヴェインが二人の間に割って入るとモードレッドを説得する。

 

 「邪魔をするならテメーも殺すぞアグラヴェイン、父上を裏切ったコイツらを許すつもりはねえ」

 

 「そうだ、アーサー王を裏切ったのならばアーサー王ご自身がこの二人を裁く。

  我々が王の許しなく勝手をしては王の名を貶めることになると言うことだぞ」

 

 アグラヴェインがアーサー王の名を出したことでモードレッドは完全には納得してはいなかったが、放とうとしていた宝具を解除した。

 モードレッドが宝具を解除するのを見るとランスロットも剣を鞘に収めた。

 アグラヴェインはギネヴィアの方を向くと険しい顔と口調で問い質した。

 

 「ギネヴィア王妃よ、貴女(アナタ)の不貞の様をこの目でしかと見たぞ、何か申し開きはあるか」

 

 「私(わたくし)は不貞を働いたつもりはありません。私がこの世でお慕いする男性はランスロット様、唯一人です」

 

 ギネヴィアは目を逸らさずに真っ直ぐとアグラヴェインを見ると力強い口調で答えた。

 そんなギネヴィアの態度にアグラヴェインは苛立ちを覚えてギネヴィアを激しく罵りたい気持ちに駆られたが、自分までも冷静さを欠いては事態が混乱するだけであると怒りを必死に押し殺した。

 しかし、アグラヴェインの心の中では不貞を働きながらも開き直った態度を取るギネヴィアを前にアグラヴェインの女性に対する侮蔑の念は更に深まるばかりであった。

 

 「ランスロットよ、貴様は何か弁明はないのか?」

 

 ランスロットはアグラヴェインの言葉に口を開いたが、スグに閉じて再度口を開くと小さく口惜しそうに答えた。

 

 「私(わたし)から弁明することは…何も無い」

 

 ランスロットは何とか誤解を解きたかったがキスをする所を見てられ、更にはギネヴィアが自分を愛していると言葉にしてしまった状態で誤解を解くなど不可能である。

 もしも自分が弁明をしたら全ての罪をギネヴィア一人に押し付けることとなるだろう、ランスロットはそんな事が出来る人間ではなかった。

 誤解を解くことは無理、弁明をすればギネヴィア一人が悪者となる、どちらも出来ぬランスロットはただ口を閉ざすしかなかった。

 ギネヴィアの思いをこの場で初めて知ったランスロットは戸惑いを見せつつも、流れに身を任せることにした。

 こうしてモードレッドとアグラヴェインはギネヴィアとランスロットをアーサー王が居る部屋へと連行した。




 本来の物語(歴史)では此処でアグラヴェインはランスロットに切り殺されます。

 しかしこの物語(アナザーワールド)では実際の物語(歴史)とは異なる展開が多々在ります、士郎がこの世界に来たことで歴史が変わったのか?はたまた別の理由があるのか?

 その答えは物語の最後で分かりますので、どうかお付き合いいただけたら幸いです。

 意図して変えてある箇所も在りますが、勘違いで間違っている箇所もあるとは思いますので細かい間違いなどはご勘弁を。
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