Fate/stay another world   作:レッサーパンダ

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4-8 ガレスとガヘリス

 アーサー王が士郎の提案を受け入れた同日の昼頃にランスロットとギネヴィアの偽の処刑の計画のためにギネヴィアを別の場所に移すことにした。

 その理由は魔術でランスロットとギネヴィアの偽物を作り民衆の前で処刑するためであった。

 ランスロットは牢に入れられ、ギネヴィアはある部屋の一室で軟禁状態である。まずはギネヴィアを先に移送することにアーサー王は決めた。

 そしてギネヴィアの移送に同行する者としてアーサー王は円卓の騎士を二人付けることにした。

 

 「お久しぶりです、ギネヴィア様。今回の護衛役として私ガレスちゃんが同行させて頂きます。」

 

 ガレスはなるべく明るい口調でギネヴィアに話掛けた。

 ギネヴィアの移送する円卓の騎士の二人とはガレスとガヘリスであった。

 ガヘリスは任務から帰還していた、ガヘリスがキャメロットへと戻ってきたのはほんの少し前で、丁度トリスタンがキャメロットを出て行った時に入れ違いの形となった。

 

 「では参りましょうギネヴィア様」

 

 ガヘリスはそう言うと恭(うやうや)しく頭を下げて丁重にギネヴィアをエスコートした。

 ガレスとガヘリスに連れられてギネヴィアは歩き出した。

 するとギネヴィアは二人の格好に違和感を覚えてガレスに質問をした。

 

 「お二人は何故鎧も着ずに剣も帯刀していないの?」

 

 ギネヴィアの質問は最もであった。ガレスとガヘリスは何処かに散歩に行く様な格好で剣さえも帯刀してないのは明らかに以上であった。

 

 「鎧や剣があったらまるで罪人の移送じゃないですか。私たちはあくまでそんなつもりはないですから」

 

 ガレスたちはギネヴィアの移送の際に民衆の目に罪人を連行する様に映らないように気を使ったのである。

 そしてそれはアーサー王に対するランスロットとギネヴィアの処刑に反対する無言の抗議でもあった。

 この時まだガレスたちはアーサー王からランスロットたちを救出する計画を知らされてはいなかった。

 アーサー王はガレスに伝えればギネヴィアにも伝わる、そしてギネヴィアの言動が変化すればそれに違和感を持つ者が現れないとは言い切れない、その為に偽の処刑の計画はなるべくギリギリに伝えようとアーサー王は考えていた。

 

 「ありがとう、貴女は優しいのね」

 

 ギネヴィアはガレスの気遣いに感謝の言葉を述べた。

 するとガレスは今回の案はガヘリスが考え付いた案なのだと説明した。ギネヴィアはガヘリスにも感謝の言葉を送った。

 

 「私は自分が正しいと思ったことをしているだけです、王妃が臣下に礼など無用です」

 

 ガヘリスはギネヴィアに素っ気ない対応であった。

 ガレスは未だに暗い表情のギネヴィアに何か楽しい話でもしようと懸命に頭を捻った。

 そしてガレスはガヘリスがキャメロットに戻って来た時の話をギネヴィアにすることにした。

 ガヘリスはキャメロットに戻るとすぐに円卓会議に出席させられた、話を聞くとランスロットとギネヴィアを処刑するという耳を疑う状況であった。

 その上トリスタンまでもがこの国を離れたと言う話を会議で突然聞かされたガヘリスは話を頭に入れるだけで一杯であった。

 結局ガヘリスは会議中に一言も話すことなく終わった。

 そして次の日にガレスはガヘリスと共に王妃であるギネヴィアのもとに向かう途中でモードレッドに会うと、モードレッドはガヘリスに言った。

 

 「あれ、何時の間に戻ってたんだよガヘリス。久し振りに顔(ツラ)を見たぜ」

 

 ガレスは笑いながらその話をギネヴィアにした。

 ギネヴィアはガヘリスの手前、笑っていいのか微妙な顔をしてガレスの話を聞いていた。

 

 「本当に笑っちゃうよねー、会議の時にモードレッドの隣にガヘリスは座ってたっていうのにさ」

 

 ガレスは余程ツボにハマったのか笑いが止まらない様であった。

 そんな様子にガヘリスは、はた目には分かりづらいが眉間にシワを寄せて青筋を立てていた。

 ガヘリスはモードレッドの発言に若干だが傷付いていた。しかし、それよりもガレスに対しての不満があった。

 

 (そもそもガレスの奴が任務を押し付けなければこんな事態の最中にキャメロットに戻ってくることもなかったぞ)

 

 ガヘリスは自分の不幸を心の中で愚痴った。グッと口に出掛かるがそれを口にするのは恥と思い心の中で留めた。

 実際ガレスと共に任務に付いていればガヘリスはもっと早くにキャメロットに戻ってこれていたのは事実であろうが。

 ガヘリスに多少の不満はありつつも一行は和やかな雰囲気で目的地へと向かっていた。

 

 

 

 ~~~同時刻、ランスロット~~~

 

 ランスロットは牢に鎖で繋がれている。その鎖には多くの魔術師たちが魔術によって人間では壊せない程の力があった。

 しかしランスロットは元々牢から逃げ出そうなどと微塵も考えてはいなかった。

 ランスロットは別れ際にギネヴィアに耳元で囁かれた言葉を頭の中で半数していた。

 

 「私(わたくし)が愛しているのはランスロット様だけです、何故ならアーサー王は女性なのですから」

 

 ギネヴィアはランスロットそう告げた、ランスロットは未だにその事実を真実と受け入れることは難しかった。

 あのアーサー王が女性であったなどと、しかしギネヴィアの目には噓偽りが在るようにランスロットには見えなかった。

 ランスロットはアーサー王が女性であろうともその忠義心は決して揺らぐことなど無い、しかし今まで多くの民を、そして国という重きを女性に全て背負わせていたことにランスロットは激しい後悔の念に駆られた。

 そんな葛藤に苦しむランスロットに誰かが近づいて来た。それはランスロットの部下の一人であった。

 

 「ランスロット様、スグにここからお逃げください」

 

 部下であった兵士はそう言うと鍵で牢を開けるとランスロットを繋いでいる鎖の鍵を取り出した。

 ランスロットは牢から出るつもりなど無かった、しかし次の兵士の言葉でランスロットの考えを覆すこととなる。

 

 「ギネヴィア様が今日、処刑されます」

 

 部下であった兵士の言葉にランスロットは凍りついた。

 兵士は自分にその事を伝えに来たという女性もこの場に居るといって言うと、奥から一人の女が近づいて来た。

 

 「大変ですわぁんランスロット様、私の仕えるギネヴィア様がもうじき殺されてしまいますのよぉ」

 

 緊迫した声とは程遠い口調で一人の女が近づいて来る、それは妲己であった。

 ランスロットは妲己のことをギネヴィアに仕える侍女としか知らなかった、妲己が{選定者}の仲間であるなどと知る由も無い。

 

 

妲己の言葉によってランスロット自身がこの後に起こす事態がキャメロットを崩壊させる最大の要因になるなどと、ランスロットはこの時夢にも思わなかった。

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