Fate/stay another world 作:レッサーパンダ
ランスロットがガレスとガヘリスを殺害したことにより国は混乱の最中にあった。
その混乱に乗じて{選定者}と妲己、そしてモルガンは次の作戦を行うために密会していた。
「ご足労感謝致します、モルガン様」
{選定者}はそう言って恭(うやうや)しく頭(こうべ)を垂れた。
モルガンは{選定者}に楽にする様に促(うなが)す。
モルガンは最初こそ{選定者}の胡散臭い雰囲気に警戒の色を露(あらわ)にしていたが、{選定者}の助言によってアルトリア(アーサー王)が窮地に追い込まれて行く様を見ることで、モルガンの{選定者}に対する態度は変わっていった。
とは言ってもモルガンは{選定者}を心から信用している訳ではなかった、使える存在なので利用しているに過ぎないのだが。
「それで次の段取りはどうなっているのだ?」
モルガンは{選定者}に尋ねた。
{選定者}はニヤリと笑うと次の行動を話し始めた。
「次がアーサー王を悲劇の運命へと導く最後の仕上げとなります」
{選定者}の言葉にモルガンは身を乗り出して話の続きを急かした。
現在の時点で既にアルトリア(アーサー王)を十分に追い詰めている状態であった、更にこれ以上アルトリアの狼狽(ろうばい)した姿を見れるのかとモルガンは喜々とした表情を浮かべた。
「モードレッドをコチラ側に引き入れます」
{選定者}の言葉にモルガンの喜々とした表情に陰りが差した。
モードレッドは元々モルガンがアルトリアを殺す為に産んだ存在であった、しかしモルガンの思いとは裏腹にモードレッドはアルトリア(アーサー王)に心酔することとなった。
その心酔した対象であるアルトリアを殺す側に引き入れるという不可能な{選定者}の言葉にモルガンは失望の色を露にした。
モルガンは不機嫌そうに{選定者}に話しかけた。
「モードレッドはアルトリアにではなく、王を殺そうとする我々に剣を向けるのは明白であろう」
モルガンは{選定者}の間の抜けた計画を馬鹿馬鹿しいと一蹴した。
しかし、{選定者}はモルガンに顔を近付けて口を開いた。
「いいえ、モードレッドは必ずアーサー王に剣を向けます。全ては{決まっている}ことなのだから」
{選定者}の言葉には確信めいた自信を窺わせていた。
モルガンはにわかには信じられなかったが、今までの{選定者}の実績を鑑(かんが)みるに何か手があるのかも知れないと考え、{選定者}に任せることにした。
「話は変わるがエクスカリバーの鞘の件は既に手を打っておいたぞ、安心するがよい」
モルガンはふと思い出したように{選定者}から頼まれていた、エクスカリバーの鞘の話をした。
モルガンはアーサー王が此度の件で動揺している隙に、エクスカリバーの鞘を偽物とすり替えていたのだ。
「その鞘って特別な物ではありませんのぅ? すり替えて気づかれないものなのかしらぁん」
妲己がモルガンの鞘のすり替えに疑問の声を上げた。
モルガンは顎を少し上げて上から見下ろすように、自信をタップリと含ませて語った。
エクスカリバーの鞘は妖精の手によって作られた特別な物であると、その鞘の力には所有者の全ての傷を癒す人知を超えた力がある。
そして自分(モルガン)が作りし偽の鞘にも持ち主の傷を癒す力を与えたのだと、しかしその力は時間と共に薄れゆく、そして偽物だと気付いた時には既に本物は何処かに売り飛ばされて行方を掴むのは不可能であると。
「一時とはいえ妖精の作りし鞘と同じ力を持ったモノを作れるなど、人間で私以外に二人と居ないであろうな」
モルガンは上から見下すように言い放った。
モルガンの言葉通りそれ程の道具を作れる魔術師など世界中探そうともそう居るものでは無かった、モルガンはまごう事無き大魔術士であることがそれからも窺えた。
しかし、それ程のモノであろうとアーサー王が平時の時であれば気付いたであろう、アーサー王の状況が此処まで酷い状態でなければ。
「選定の剣(カリバーン)を破壊したのはペリノア王だ、しかし選定の剣の破壊にも私は関わっているのだからな」
モルガンは自慢するようにかつての選定の剣(カリバーン)の破壊の話をした。
選定の剣はペリノア王の手により折られたのだが、実は選定の剣にはモルガンが呪詛を仕込んでいたのだ。
選定の剣は特別な剣であった、もしも万全な状態であればペリノア王とて破壊できたかは分からない。勿論モルガンの呪詛だけでも選定の剣を破壊することは出来なかった。
モルガンの呪詛と、ペリノア王の力によって初めて破壊を可能にしたのだ。
故にモルガンは選定の剣を排除できたのは自分の手柄でもあると語った。
「流石はモルガン様です、ではモードレッドと我々を引き合わせる段取りをお願い致します」
{選定者}はそう言い残してその場を後にした。
そして後日モルガンの手引きによってモードレッドと{選定者}たちは引き合わされた。