Fate/stay another world   作:レッサーパンダ

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第六章 6-1 前進か後退か

 モードレッドの反逆によってキャメロット城が陥落した現状況でアーサー王は二つの選択を迫られた。

 一つはキャメロット城を取り戻す為に自国へと戻りモードレッドを討伐すること、もう一つは現在交戦しているフランスを攻め滅ぼして国を奪い取る道。

 どちらにせよ帰る場所を失ったブリテン兵には足場となる場所が必要であった。

 

 「それで、どうするんだ我らがアーサー王?」

 

 ケイは今後の展開をアーサー王に若干皮肉って尋ねた。

 この場にはアーサー王、ケイ、ガウェイン、ベディヴィエールの四人が居た、円卓の騎士の三人はアーサー王の決断を静かに待った。

 普通であれば自国であるキャメロット城の奪還に向かうべきである、しかし、キャメロット城へ戻ろうとすると背後のフランスはここぞとばかりに追撃を掛けるであろう。

 アーサー王は窮地へと立たされていた。

 

 「明日、全力でフランスを攻め入る」

 

 「お待ちくださいアーサー王、自国を奪われたままにするなど…」

 

 アーサー王の決断にベディヴィエールが異論を唱えようとした、しかしアーサー王は鋭い目でベディヴィエールがそれ以上喋るのを遮った。

 アーサー王の話をまだ終わりではなかった。

 

 「フランスを攻めた後、夜に闇に紛れてキャメロット城へと反転する」

 

 アーサー王は明日に全力でフランスを攻める、そしてフランスにアーサー王はフランスを奪い取る道を選んだと思わせる必要があった。

 そしてフランスが防衛に力を入れたところでキャメロット城へ進路を変えるのだ、勿論フランス軍に悟られぬようにアーサー王はそれなりの兵を残してフランスに気付かれない様に戦は続けることもしなければならなかった。

 それに明日の全力の攻撃で兵の数は更に減るであろう、その上フランス軍に備えて兵を残していくことを考えるとキャメロット城のモードレッドを倒すのは大分勝ち目の薄い戦いと言わざるを得なかった。

 

 「やれやれ、忙しくなりそうだな」

 

 ケイは天幕の天井を見上げてぼやいた。

 ガウェインはアーサー王の決断を聞くとそのまま黙って天幕を出て行った、今回のフランスとの戦いはガウェインが一番望んでいたことであった、妹と弟を殺したランスロットを討つために。

 ケイとベディヴィエールはガウェインの苛立ちを感じ取ったが、この状況では仕方ないとガウェインには諦めてもらう他は無いと考えた。

 そして日も沈みかけ皆が明日の総攻撃にかけて準備をする中、ガウェインは一人戦場の地から少し離れた場所へと馬を走らせた。

 

 「どうやら騎士としての最低限の誇りはまだ残っていたか、ちゃんと一人でこの場に来るとはな」

 

 ガウェインは自分の目の前に現れた男に皮肉を言った。

 

 「私を呼び出した要件を聞こうか、ガウェイン」

 

 そう口にしたのはランスロットであった。

 ガウェインはモードレッドの反逆のためにランスロットを討つ機会を失った、キャメロット城へと引き返せばもうランスロットを討つ機会は二度と訪れないかも知れない。

 そう考えたガウェインはランスロットを呼び出して、一対一で決着を付けようとしたのだった。

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