Fate/stay another world   作:レッサーパンダ

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6-6 ケイvsモルガン

 モルガンが率いる二千近くいる敵の大部分はモルガンが雇入れした傭兵たちによって構成されていた。

 実際にモルガンの部下となるのは五十人程の魔術士たちだけであった、モルガンが雇入れした傭兵たちの頭目と思しき男がモルガンに近づいて来ると報告を始めた。

 

 「敵さんは百にも満たない騎兵のみだそうだ」

 

 傭兵の頭目はバカにするように笑いながらモルガンに敵の数を報告した。

 自分が率いる部下の数に対して余りに少ない数で戦いに挑んできたケイを傭兵の頭目はバカにしていたのだ。

 

 「舐めてかかるな、アレも一応は円卓という化物たちの一人に名を連ねる者だ」

 

 モルガンはケイを舐めてかかる傭兵の頭目に注意を促した、しかし傭兵の頭目はモルガンの忠告をまともには聞いていなかった。

 そんな中でケイがモルガンたちに先に攻撃を仕掛けた。数で圧倒的に劣るケイは受けに回れば瞬く間に敗北すると考えたからだ。

 

 「どうやら敵さんが攻めて来るようだな」

 

 斥候に出していた傭兵の一人が旗を掲げてケイが攻めて来るのを頭目へと伝えた。

 傭兵の頭目は動かなくて済むから楽だなどと言ってニヤつきながらケイを迎え撃とうと陣形を組んだ。

 ケイの攻撃は騎馬を活かしたヒット&アウェイの戦法でモルガンたちを攻撃した、攻撃を加えるとスグに馬で距離を取り反撃の隙を与えなかった。

 ケイの攻撃が二~三度と続いた、その時には傭兵の頭目からはニヤついた笑いは消えていた。

 

 「依頼主様の言う通り、どうやら化物じみた強さのようですな」

 

 ケイたちの攻撃は一度で自分たちと同じ数である五十人程を葬った。

そんな攻撃を三度も食らい百五十人程の傭兵たちを殺したのに対して、ケイが率いる騎馬隊の損害はゼロであった。

傭兵たちがケイの存在に恐怖を感じ始めた時にモルガンがポツリと呟いた。

 

 「あれでも円卓の中ならば秀でた武力を持つ方では無いがな」

 

 モルガンの言葉を聞いた傭兵の頭目は声を出して笑った。噂に聞く円卓の騎士とやらの評判が尾ひれの付いた噂話でなかったことに、傭兵の頭目は笑わずにはいられなかった。

 

 「そいじゃあこちらもお仕事を始めますか。

  このまま一方的にやられたなんて噂が広まれば今後おまんまの食い上げなんでね」

 

 ケイの力を目の当たりにした傭兵の頭目であったがどこかまだ余裕を持っているようであった。

 最初と違って数の少ないケイたちを侮る気持ちは無くなっているが、それでも自分たちが勝つという自信が頭目にはあったのだ。

 傭兵と言えば野盗に毛が生えた程度のイメージであるがモルガンの雇った傭兵たちは戦場でそこそこ名の知れた男であった。

 戦で飯を食う傭兵たちは国に仕える騎士たちとは異なるが、ある意味でそれ以上の戦いのプロであることをこの後ケイは知るハメになる。

 

 「ケイ様、奴らが動き出しました」

 

 

ケイと傭兵たちの距離はそれ程離れていなかった、ケイはわざと手が届く距離で傭兵たちが自分たちを追ってくるようにする為に距離を取り過ぎない様に気を付けていたのだ。  

てっきりケイは自分たちを叩こうと動いたと思ったが傭兵たちは全く別の方向に進軍していく。

 傭兵たちが進む方向に何があるかケイは瞬時に悟った。

 

 「チッ」

 

 ケイは舌打ちをするとスグに部下たちを連れて傭兵の後を追い掛けた。

 傭兵たちの進む方向にはアーサー王、つまり本陣へ攻撃をしようとしていたのだ。

 アーサー王が既にモードレッドの軍と戦っていたら後ろから強襲される形となる、ケイは馬を走らせて傭兵たちに攻撃を仕掛けようと試みた。

 ケイが傭兵たちを攻撃しようと近づくと傭兵の頭目が指笛を吹く、すると傭兵たちは急に向きを変えるとケイたちに襲いかかって来た。

 傭兵たちがアーサー王への攻撃は見せたのはケイをつり出す為の罠であった、ケイもその可能性を十分に知っていたが行くしかなかった。

 ケイが傭兵たちに攻撃を仕掛けなければ傭兵たちは本当に本陣に攻撃を仕掛けただろう、そうなれば本陣は不意の後ろからの攻撃で多大な損害を出すことになったであろう。

 本陣への被害は防いだが代償は大きかった。

 

 「どれだけ兵を失った?」

 

 ケイは傭兵たちの攻撃から何とか距離を取ると先ほどの自分たちの損害を部下に報告させた。

 部下は重そうに口を開くと二十三人の兵を失ったと報告した。

 こちらから仕掛けた攻撃では敵を百五十人以上葬って損害はゼロだったのに対して、敵が待ち構えた攻撃ではたった一度の戦闘でおよそ半数近くの損害を受けたのだ。

 ケイは苦虫を嚙み潰したような表情をする。

 敵はまた同じようにアーサー王の居る本陣を攻撃しようとするだろう、そうしたらそれを止めに自分たちはまた傭兵たちの待ち構える所に攻撃を仕掛けなくてはならないのだ。

 ケイは思い詰めたような表情で口を開いた。

 

 「悪いなお前たち、柄じゃないが泥臭く血塗れになる戦いをすることになる。

  死にたくない奴は去れ、万が一にも生き残れる可能性は無い」

 

 ケイは部下たちにそう言うと部下たちは頷いて口を開く。

 

 「ここで逃げたら後で死ぬよりも恐ろしい罵詈雑言を浴びせられるでしょ」

 

 「ケイ様の場合、死んでも枕元で一生悪口を囁きそうだしな」

 

 部下たちは明るく冗談めいた口調で話した。皆が普段から不満があるのか色々と口にする、しかし死を前にしてもその場を去ろうとする者は居なかった。

 ケイは普段聞かない部下たちの自分の悪口を聞くとニヤっと笑った。

 

 「俺は円卓の中で腕っぷしはある方じゃない。

俺が円卓の中で一番と言えるのは弁舌くらいだろうな。

ただ、部下の精強さなら円卓の中でも随一だと言うことをモルガンに見せつけるぞオメーラ」

  

 ケイはそう言うと剣を引き抜き馬を走らせた。部下たちもケイの後を追って傭兵たちが居る場所へと突っ込んで行く。

 ケイは自分たちの命と引き換えにモルガンと傭兵の頭目の命を絶とうと二十倍以上の敵陣へと攻撃を仕掛けた。

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