Fate/stay another world 作:レッサーパンダ
モルガンの襲撃をケイが部下と共に少数で防ぐ間にアーサー王はモードレッドが待つキャメロット城へと辿り着いた。
キャメロット城に到着したアーサー王であったがスグに開戦することは出来なかった。
長距離の行軍で兵が疲れていたこともあるが何よりも、この場でスグに開戦をすれば国の民たちまで巻き込まれることをアーサー王は懸念していた。
アーサー王はどうにか戦場を国民の被害の及ばぬ場所に移そうと必死に考えているのだった。
「何とかモードレッドを引きずり出す他はないか」
アーサー王には時間が無かった、これまで様々な問題が続き更にはモードレッドによる反乱によってブリテンの国力は明らかに低迷していた。
既に内外にブリテンという国が危機的状況であることは知れ渡っていた、モードレッドの反乱を早急に鎮(しず)めて民を安心させ、隣国にブリテンの力を見せつける必要があった。
侮られた国が亡びる末路をアーサー王は嫌と言うほど見て来たのだ、それ故にアーサー王は早急に片を付けるべく危険な賭けに打って出た。
「お止め下さいアーサー王、余りに危険過ぎます」
アーサー王の作戦に兵士たちは異議を唱えたがアーサー王は頑として聞き入れなかった。
その作戦とはアーサー王自身を囮として敵をキャメロット城から外へと誘い出し作戦であった、万が一にでもアーサー王が討たれればその時点で全てが終わりを意味していた。
しかし一度決めたことをアーサー王が覆すことは無いと兵士たちも分かってはいた。
「円卓の騎士さえいれば」
一人の兵士がポツリと呟いた。
呟いた兵士もたとえ円卓の騎士であろうとアーサー王が決めたことを覆すことは難しいと分かっていた、それでも兵士である自分たちが異を唱えるよりも円卓の騎士が声を上げた方がアーサー王も耳を貸すだろうと兵士たちは考えていた。
それにいざ作戦を始めたとしても円卓の騎士がアーサー王の近くで護衛をすれば兵士たちの安心感も雲泥の差である。
アーサー王を除く円卓の騎士はバラバラとなりこの場にはもはや一人も居ないのだ。いや一人だけ存在した、最悪なことに現在敵としてアーサー王を殺そうとしているモードレッドが。
「皆の者、敵が外に出てこようと交戦は避け、敵をこの地から離すことを優先せよ」
アーサー王はそう言うと作戦を実行に移すべく一人でキャメロット城付近まで馬で近づいた。
アーサー王自身今回の作戦がどれ程危険であるかは承知していた。何よりアーサー王は自身が持つエクスカリバーの鞘が既に偽物にすり替えられていることを知っているのだから。
アーサー王がそれに気づいたのはフランスへと行軍するためにキャメロット城を出発する時であった、鞘の偽物は大変精巧な作りで持ち主であるアーサー王自身もすぐには気付かない程であった。
その精巧さゆえに偽物を作った人物をアーサー王はすぐに察知した、そしてモルガンならば既に本物の鞘は二度と手に届かないであろう海の彼方へと廃棄したであろうこともアーサー王は理解した。
「アーサー王が一人でこちらに近づいて来ます」
キャメロット城の見張り役の兵士はモードレッドにそう伝えた。
モードレッドはキャメロット城からアーサー王の姿が確認出来る場所まで移動する、アーサー王はモードレッドを目視で確認をするとモードレッドを罵った。
今のモードレッドにその言葉が届いているかは定かではなかったが、アーサー王の憎しみに支配された今のモードレッドにはアーサー王の姿を見るだけでこの手で殺さなければという思いですぐに城中の兵士にアーサー王を殺すように全軍に出撃の命令を下した。
「出て来たか」
アーサー王は敵が場外に出て来たのを確認すると馬を走らせてその場を離脱した。
逃げるアーサー王を追う様にモードレッドを先頭としてキャメロット城に居た兵士たちはアーサー王を追撃した。
本来ならあからさまな罠であるがモードレッドたちは構わずアーサー王を追ってキャメロット城を出た。たとえ罠であろうとアーサー王が目の前に現れて討てるチャンスを見逃すのは難しいであろう、王を囮にするなど危険すぎる行為だがその行動のおかげでモードレッドを場外に出すことに成功した。
「王を何としても守るんだ」
モードレッドたちを外に出すことに成功はしたが敵の剣はアーサー王に届く程の距離に迫っていた。
兵士たちはその身を文字通り盾にして敵の攻撃をアーサー王に当たる前に何とか防いでいた。
数で劣るアーサー王たちはそのせいで更に数を減らしていく、その高い代償と引き換えに民たちが巻き込まれない場所まで行くとアーサー王たちは足を止めて剣を抜きモードレッドたちに切りかかった。
アーサー王とモードレッドの決着を付ける戦いは人々がカムランと呼ばれる地で開始された。