Fate/stay another world   作:レッサーパンダ

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6-11 戦いを手段とする者、目的とする者

 ベディヴィエールは何度も突破を試みるがその全てを白起によって阻まれた。

 しかしその何度か挑戦を続けるなかでベディヴィエールはある一つの事に気付く、ベディヴィエールは隊を四つに分けると四ケ所から白起の突破を試みた。

 ベディヴィエール本人は白起から遠い位置の隊に組み込む、白起も死霊兵たちを扇の様に広く広げてベディヴィエールたちの突破を邪魔しようとしたがアッサリと包囲を突破した。

 四ケ所に分けた一つだけは白起が目の前に出現させた大きな穴の為に突破を断念したが。

 

 「裏を取られたか」

 

 白起は後ろを振り向くとベディヴィエールは突破した三つの隊を纏めてそのまま白起を置き去りに走り続けた。

 四つに分けた一つの隊は置き去りにする形となったがベディヴィエールは白起を突破した。

 

 「私の作る穴の特性に気付いていたか」

 

 白起はそう言うと急いでベディヴィエールたちの後を追い掛けた。

 白起が作る大穴には白起自身の近くにしか出来なかった、ベディヴィエールはそれに気付くと死霊兵たちを突破できるギリギリの兵力を保ち、なるべく多くの隊を作ったのだ。

 目的である足止めを失敗した白起はベディヴィエールの後を追うしかなかった。

 

 「反転しろ」

 

 ベディヴィエールはそう言うと隊を反転して自分たちを追って来る白起に襲い掛かった。

 始めからベディヴィエールはそのままアーサー王の下へ行くつもりは無かった、白起がこのままベディヴィエールたちを追い別の戦場に連れて行けばアーサー王に迷惑をかけかねない。

 ベディヴィエールは此処で白起を完全に討伐して憂いを断ってからアーサー王の下へ行くつもりであった。

 突然の攻撃に白起を討てないまでも追い込めるとベディヴィエールは考えていた。

 しかし、ベディヴィエールの虚を突いた攻撃を前に白起は余裕の笑みを見せた。

 

 「優れた指揮官なればこそ次の行動の予測も容易である」

 

 白起はベディヴィエールを全力で追うフリをしてベディヴィエールを欺(あざむ)いた、実際は余力を残していた白起はベディヴィエールの突然の反転からの攻撃に待ち構えて逆にベディヴィエールを懐に呼び込み策に絡めとる。

 結果としてベディヴィエールの攻撃は白起を打ち取るどころかベディヴィエールたちの兵力をさらに削る結果となった。

 

 「まるでこちらの心を見透かされているようだな」

 

 ベディヴィエールは歯痒そうに白起の戦の上手さを褒めた。そしてベディヴィエールは腹を決めてこの場で白起を完全に討つことを決めた。

 アーサー王が戦っているであろう場所は人数も多い、兵の数が多い戦場で白起という人物は危険だとベディヴィエールは判断した。

 ベディヴィエールの戦が変わると白起も苦戦を強いられた、ベディヴィエールは白起の戦力を堅実に削ることにした。

 白起が様々な誘いをするがベディヴィエールは実直な戦い方を貫き通した。

 

 「兵の質の差は如何ともしがたいか」

 

 白起優勢であった戦況は次第に拮抗状態へとなっていた、戦いがこのまま行けば次第に戦況はベディヴィエールの方に傾くであろうことは白起も分かってはいたが誘いに乗って来ない相手に下手に策を弄すれば危険が高まるだけだと白起は手をこまねいた。

 そんな中で白起はベディヴィエールの戦いを注意深く観察する中でベディヴィエールについて策を思いついた。

 すると白起はベディヴィエールが居る場所へと死霊兵を連れて攻め行った。

 こちらに向かって来る白起にベディヴィエールも討ち取る好機と剣を構えて突撃をした。

 ベディヴィエールと白起は互いの得物で相手を切りつける、互いの攻撃は徐々に皮膚を切り裂き急所近くへと攻撃の精度を増していく。

 

 「ここだ」

 

 ベディヴィエールはそう言うと剣を振るう、そしてその一撃が白起の片腕を切り飛ばした。

 ベディヴィエールとその部下、そして白起とその死霊兵たちが入り乱れる乱戦の中でベディヴィエールの力は頭一つ抜け出ていた。

 白起は片腕を切り飛ばされたが残った片方でベディヴィエールに反撃を試みた、しかしその攻撃はベディヴィエールの横を通り過ぎる。

 ベディヴィエールは自身が避ける必要すら無い攻撃の先に視線を移す、白起の攻撃の先にはベディヴィエールの部下の一人がそこに居た。

 ベディヴィエールは咄嗟(とっさ)に剣を振って部下へと迫る白起の攻撃を弾く、しかし無理をした体勢を取った攻撃の為にベディヴィエールは大きくバランスを崩した。

 

 「私は相手の力や技だけではなく、その人物がどういう性格かすらも織り込んで戦うのだよ。貴殿が部下を庇うために多少の無理をすることも分かっていた、優秀だが優しすぎる指揮官とね」

 

 白起はそう言いながら得物をバランスの崩したベディヴィエール目掛けて突き出した、部下の為に無理をしたベディヴィエールの隙は白起の攻撃を躱すことも防ぐことも出来ない状態であった。

 ベディヴィエールは敵の攻撃をどうすることも出来ないと瞬時に判断すると、白起の攻撃が自身を貫いた瞬間に相打ちでせめて白起の命も奪おうと覚悟を決めた。

 しかし、白起の攻撃がベディヴィエールに届くことはなかった。

 

 「生前でもこれ程優れた敵はまれであった、故に喜び相手に集中をし過ぎたようだ」

 

 そう言った白起の背中には槍が突き刺さっていた。

 白起に槍を突き刺したのは白起自身が召喚したハズの死霊兵であった、他の死霊兵たちも次から次へと白起目掛けて槍を突き刺す。白起の体には何本もの槍が貫通してまるでハリネズミの様な体へとなった。

 ベディヴィエールはその状況を飲み込めずに困惑な表情を浮かべているだけであった。

 

 「私が召喚した兵たちは生前に私が生き埋めにして殺した敵兵たちだ、故にコントロールを怠ると奴らは私を殺そうとするんだよ。実に皮肉な宝具を背負わされたものだ」

 

 白起は愉快そうに笑った。

 ベディヴィエールは白起の心境を理解出来ずに問い質した。

 

 「生前の最後に比べれば遥かにマシである。信じた主に疑われ、戦場とは遠く離れた場所で命を終えた。

  どのような形であれ戦場で終わりを迎えるのであれば十分だ、戦場で生まれ戦場に生き、そして戦場で死ぬ。それこそが武人であろう」

 

 ベディヴィエールには白起の心境が理解出来なかった。

 ベディヴィエールにとって戦いとはあくまでも目的を達成する為の最終手段であるという考えである。むしろ争いが好きでないベディヴィエールにとって戦わずに済むならばそれが一番だ。

 しかし白起にとっては戦いこそが目的であった、戦場でその命を燃やすことにこそ意味を持っていた。

 戦乱が当たり前の時代に生まれた白起にとって戦争は、そして殺し合いは当然のものであった。その時代に生まれた者全てがそうであるかはその時代の者にしか分からぬことであったが。

 

 「どうやら貴方とは分かり合えることはなさそうですね」

 

 ベディヴィエールそう言うとスグに馬に跨り先を急ごうとした。

 すると突如大きな穴が生まれてその場に居る全ての者を飲み込んだ。

 

 「っ!?」

 

 突如生まれた大きな穴は数百メートルの大きさ、そして深さも数十メートルもの巨大な穴でベディヴィエールとその部下たち、そして白起と死霊兵全てが穴に落ちると一瞬で土が埋まり生き埋め状態となった。

 

 「貴殿はこれしきでは死なぬであろう、しかし我が命が尽きるまでは何人もこの穴からは出られはせぬ。

  与えられた命(めい)もこなせぬでは我が名折れ故に悪いが我が命尽きるまで足止めさせてもらうとしようか」

 

 白起の最後の悪あがきにベディヴィエールはその場に封印をされるような形となった。

 最後の力で白起はその場に居る全ての者を生き埋めとした。

 ベディヴィエールは辛うじて生きてはいた、しかしベディヴィエールの部下たちは生き埋めとなった状態で生きれる程は強くは無かった、部下たちは次第にその命が消えて行く。

 戦いに勝利したベディヴィエールであったがアーサー王の下へ行くという目的は白起によって阻まれたのであった。

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