Fate/stay another world   作:レッサーパンダ

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7-4 立ちはだかる未来

 ~時間は少し戻りアーサー王がその身を囮にモードレッドをキャメロット城から外へと誘い出したカムランの丘へと向かう時へと戻る。

 

 

 

 キャメロット城の牢屋で鎖に繋がれた士郎は外の騒音に目を覚ます、しかし両腕だけでなく足まで鎖で繋がれた士郎はどうすることも出来なかった。

 腕を切り落としてでもセイバーの下へ向かいたい士郎であったが武器を作り出しても鎖で固定された士郎は自身の腕を切り落とし行為すら出来ない状態であった。

 

 「クソッ」

 

 士郎は必死にもがくが魔法も付与された鎖はビクともしなかった。

 そんな時に士郎の牢屋の前に誰かが近寄って来る足音が聞こえた、そしてその足音の主は士郎の牢屋の前に来ると牢屋の鍵を開けて中へと入ってきた。

 その足音の主は若く士郎と同じか少し上くらいの少年と呼ぶか青年と呼ぶか迷う若い鎧を着た男であった。

 その男は士郎に近づくと士郎が繋がれた鎖の鍵を使い士郎を鎖の呪縛から解いた。

 

 「お前は誰だ?」

 

 士郎は鎖を解いてくれた若い兵士に尋ねた。

 その兵士は自分の名前とその行動の理由を説明した、その兵士はまだ見習いのブリテンの兵士であった。

 そしてその若い兵士は2~3年前に宮廷魔術師である{マーリン}にこの牢屋と鎖の鍵を渡されたと言う。

 {マーリン}は何時かこの鍵を必要とする時がくるかも知れないと言ったそうだ。

 

 「その時は{マーリン}様が私などに話しかけてくれた事にただ感激してこの鍵は宝物として大事に取って置いたのです」

 

 若い兵士はそう言うと士郎に頭を下げて懇願した。

 

 「どうかアーサー王をお救い下さい」

 

 若い兵士は士郎がアーサー王を救った客人として迎えられたことは知っていた、しかし今更この状況を士郎がどうにか出来ると思っている訳では無かった。

 それでも少しでもアーサー王の力になってくれるならと願ったのだ。

 

 「モードレッド卿は変わられてしまいました、今のモードレッド卿を前にその言葉を聞くと恐怖で命令に従ってしまうのです。

  ですがアーサー王の為に私もモードレッド卿に従うフリをしてこの剣でどれ程の手傷を負わせられるか疑問ですがやってみようと思っています」

 

 若い兵士はそう言うと士郎の鎖を全部解くと急いでアーサー王とモードレッドの後を追いキャメロット城を後にした。

 士郎も急いでその若い兵士の後を追うが痛みで立ちくらみがして膝を地面に着ける。

 人質として最低限の治療をしたとは言え士郎の体はボロボロであった、頭を押さえて士郎は何とか立ち上がった。

 その時に士郎は自分の顔の半分側に渇いた血が大量に付いていることに気付くが気にせずに若い兵士に教えて貰った馬が繋がれた場所へと急いだ。

 キャメロット城にある程度在中したとはいえ士郎は少し迷いながら馬の場所に辿り着く、そこに若い兵士の姿は既に無く大量の馬の足跡を目印にアーサー王とモードレッドの場所へと馬を走らせた。

 

 「無事でいろよセイバー」

 

 自分の体もボロボロであるが士郎はセイバーのその身を案じた、そして大量の馬の足跡を追い掛けて士郎はカムランの丘の方へと馬を走らせていた。

 その途中で広い草原に出ると突如攻撃が士郎の馬の前に降り注いだ。

 その攻撃に馬は驚き前足を上げて暴れる、士郎は何とか振り落とされないようにしがみ付き馬を落ち着かせる。

 馬を落ち着かせると士郎は攻撃のされた方向に目を向ける、すると見覚えのある顔が士郎の目に飛び込んだ。

 

 「アーチャーなのか?」

 

 士郎の疑問を浮かべながら問い掛けた。

 それは第五次聖杯戦争で凛のサーヴァントとして呼び出されていたアーチャーがそこには立っていた。

 士郎は様々な疑問が浮かんだが今はセイバーの下へ急ごうとする気持ちが上で馬を走らせてアーチャーを置き去りにしようとした。

 しかし、アーチャーの攻撃が再び馬の前に落ちて馬は足を止める。

 

 「馬から降りろ、さもなくばその馬を射殺すぞ」

 

 アーチャーは冷静な声で警告をした。

 第五次聖杯戦争でその実力を目にしていた士郎はアーチャーが簡単に走る馬を殺す力を持っていることを知っていたので仕方なくアーチャー指示に従い馬を降りた。

 馬は自身を攻撃してきたアーチャーを恐れてか何処かへと走り出して行った。

 広い草原で馬を繋いで置く場所も無いために士郎は黙ってそれを見送った。

 

 「何のつもりだアーチャー」

 

 士郎の問いにアーチャーは手短に答えた。

 

 「聖杯戦争でやるはずだったことをやりに来ただけだ」

 

 アーチャーの答えを士郎は理解出来ずにいた。

 士郎はアーチャーのことが苦手であった、理由は様々であろうが士郎自身がアーチャーが自分を好いてはいない事は十分理解していた。

 それでも聖杯戦争でその身を犠牲にしてバーサーカー(ヘラクレス)から自分たちを逃したことに士郎は感謝をしていた、それが何故今自分の前に立ちふさがるかを士郎に分かるハズもなかった。

 

 「お前にも分かるように少し私の昔話をしてやろう」

 

 アーチャーはそう言うと士郎に自分が歩んだ人生を話始めた。

 

 「私は大災害で死にかけていたところを一人の男によって命を救われた、そしてその男に憧れてその男の様に誰かを救える人間になろうと身の程もわきまえずに戦場へと旅立った」

 

 先を急いでいた士郎であったがアーチャーの話から耳を離せずにアーチャーの話を聞いた。

 

 「戦場で体は傷つき心が砕けようとも私は傷ついた体を引きずり砕けた心を必死に拾い集めて{正義の味方}であり続けようとした。

  しかし私の力で救える人間など極僅かでしかなかった、そして私は自分の力の無さを嘆いた。

そして力を求めて死後も{正義の味方}であろうと人の領分を超えた存在へと自ら進んでなったのだ」

 

 アーチャーはそう言うと続きの言葉を歯を強く噛み締めて悔やむ様に話を続けた。

 

 「しかし、私を待っていたのは私が望んでいたハズの者から大きく離れた存在だった。

  世界の為に少数を犠牲にして大多数を救った、時には世界が必要とする人間を救う為に何の罪も無い人間も多く殺した、その中には年端もいかぬ子供も居た。

  気付けば私は{正義の味方}どころか薄汚い殺し屋風情(ふぜい)となり果てていたのさ。

  生涯と、その死後すら捧げた私に残されたのは後悔だけだった」

 

 アーチャーの話に士郎は妙な親近感を覚えた。最初の体験が自分と酷似していたからである。

 そしてアーチャーの次の話に士郎は耳を疑った。

 

 「私を災害から救った男の名は衛宮切嗣、そして私、いや俺が生前に呼ばれていた名は衛宮士郎。

  お前がこれから歩んだ先の未来(成れの果て)だ」

 

 アーチャー、いやエミヤの言葉が士郎の頭に響き渡った。

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