Fate/stay another world 作:レッサーパンダ
全ての元凶である{裸の王様}を追い詰めたアーサー王と士郎の前にモードレッドが立ちふさがった。
アーサー王は士郎に後ろに下がるように指示をした、士郎ではモードレッドに歯が立たないからである。
士郎自身も万全の状態でもまるで敵わないモードレッド相手に今のボロボロの自分が役に立つとは思えなかった。
しかし、士郎は後ろに下がろうとはしなかった。
士郎はセイバー(アーサー王)が自分と同じ、いやそれ以上にボロボロの状態であることに気付いていたからである。
「邪魔だガキ、俺と父上、いやアーサー王の戦いにテメーごときが割って入れるなんて勘違いしてんじゃねぞ」
モードレッドは自分とアーサー王の戦いに参加をしようとしている士郎をまるで虫けらでも見るような侮蔑の目を向けると、何処へでも消えろと手で追い払う素振りを見せた。
「何をしている、二人纏めて殺せモードレッド」
{裸の王様}はモードレッドが士郎を歯牙にもかけずにこの場から消えろと言って焦った、{裸の王様}にとって王であるアーサー王よりも、むしろ士郎は自分を殺すだけの力を持っている邪魔な存在だからだ。
しかし{裸の王様}の言葉にウザそうにモードレッドは口を開いた。
「そこのガキもテメーも消えろ、俺様とアーサー王の戦いにテメーらごときが口を挟むんじゃねえ」
{裸の王様}は困惑した、モードレッドにとってアーサー王以外はどうでもいいと言う言葉に。
しかし士郎は決してその場から引かずにモードレッドを睨み付けた。
モードレッドの怒りは傍目に見ても分かる程の怒りを顕(あら)わにしていた。
「俺が一瞬でも隙を作る、セイバーはその一瞬の隙でモードレッドを何とかしてくれ」
士郎の言葉にアーサー王は反論をしたが士郎はガンとして聞かなかった、士郎はアーサー王に自分がこの時代で命を落としても元の時代に戻るだけだと簡潔に説明をした。
エミヤが言っていた言葉が本当かどうか士郎に取って確かめようなどなかった、仮に本当に命を落とすことになろうとも士郎は同じ選択をしたであろう。
士郎がこの時代でセイバーを悲劇の結末から救いたかった、しかし士郎に出来たことなど、何かを変えれたことなど何一つとしてなかったと士郎は悔やんでいる。
第五次聖杯戦争から鍛錬を限界までやってきた、それでも聖杯戦争と同じで無力な自分に士郎は歯痒さを感じ続けていた。
もしもこの場に居るのが未来の自分なら、エミヤならばセイバーの助けになれたであろうにと。
「そうだ、そうだ二人纏めて殺せモードレッド。
{運命}を変えようなどと身の程知らずなガキも、{運命}に抗おうとする無能で家臣に裏切られたバカなアーサー王も殺……」
{裸の王様}が言葉を最後まで喋ることはなかった、言葉を言い終える前に{裸の王様}の首が胴体から離れて宙を舞ったからだ。
「言ったハズだ、俺様とアーサー王の会話にテメー如きが口を挟むんじゃねえとな、三下野郎」
モードレッドの鞘から抜かれた剣は後ろで興奮してが鳴り声を上げていた{裸の王様}の首を一瞬にして刎(は)ねた。
{裸の王様}は一瞬の出来事に脳の処理が追いつかず、ただ空中で回る頭は激しく回る景色だけが目に映った。
{裸の王様}はその最後の瞬間に走馬灯であろうか? 自身が初めて目覚めた時のことを思い出していた。
それは荒廃した町で崩れた家やビルが多くの人を飲み込み、火災で辺りは火の海となった地獄の様な光景であった。
「此処は何処だ…?」
{裸の王様}は衣服すら身に着けていない状態で泥のような中から這い出した。
自分が何者で何を目的としているかは分かった、しかしこの場所が何処か、そして何故自分がこんな場所に居るのかは不明であった。
{裸の王様}は火と瓦礫の荒廃した街を後に時空を渡り自分の目的である歴史に名を残した偉大な王たちを殺す旅に出た。
{裸の王様}は知らない、自身が最初に目覚めた地が極東の小さな島国に日本であったことを。
{裸の王様}は知らない、自身が目覚めた地こそ聖杯戦争が行われていた冬木市であったことを。
宙に舞っていた{裸の王様}の首が地面に落ちると目の前が暗くなり{裸の王様}の意識は二度と目覚めることのない深い暗い闇の底へと消えた。
{裸の王様}の最後は自身が召喚した英霊によってその命を絶たれるといったマヌケな最後でその生涯の幕を閉じた。