Fate/stay another world   作:レッサーパンダ

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最後の更新が遅くなってスイマセンm(__)m


ラスト・エピローグ 正義の味方

 士郎が高校を卒業して数年の時が流れた。

 そして現在、士郎はあるアジアの紛争地域のテントの中で貧相な調理器具しかない中で工夫を凝らして料理を作っている最中であった。

 

 「よし、皆ご飯が出来たぞー」

 

 士郎がそう声を上げると十人程の幼い少年少女たち士郎が作った料理を囲んでテーブルに座る。

 皆が座り手を合わせると子供たちはようやく士郎のご飯が食べられると食事を胃袋へと搔き込んだ。

 

 「よく噛んで食べろよ、それと他の子の分のご飯まで取るなよ」

 

 士郎の注意で子供たちはご飯をよく噛んで食べたが、士郎の注意などどこ吹く風と構わずに口一杯に頬張って食べる子供も居た。

 そんな光景を士郎は優しく見つめていた、この場に居る子供たちのほとんどが戦争で家族を失った孤児たちであった。

 士郎が助けた時にはそのショックで言葉を上手く喋れない子もいた程である、それでも士郎が世話をする中で家族を失った子供たちの目に光が戻っていった。

 

 「食事が済んだら勉強だからな」

 

 「えー、勉強なんか意味ないじゃん修業しようぜ。俺も何時か士郎みたいに誰かを助けれる正義の味方になるんだ」

 

士郎に抗議の声を上げたのは十一歳程度と思われる少年であった。その少年はノルと言って今居る子供たちの中のリーダー各で元気を持て余して士郎の手を焼かせる問題児である。

 士郎はそれぞれの子供たちに無理のない範囲で体を鍛えさせていた、何かあった時に少しでも生き延びる確率を上げようと。

 それと同時に子供たちに勉強も教えていた、生き抜いた後の人生が少しでも良いモノになるようにと。

 一部で不満の声が上がる中で勉強が始められて暫く経つと少女が手を上げた、士郎は勉強で何か分からないことがあるのかと少女に近づくと少女は震える声で士郎に尋ねた。

 

 「私なんかでも士郎みたいに困ってる誰かを助けられる正義の味方になれるかな?」

 

 そんな質問を士郎にしたのは八歳程度の内気な少女で名前はアンという、先ほどノルといった少年が口にした言葉を聞いて士郎に尋ねたかったが勇気が出ずに大分時間が経ってからの質問となったようだ。

 

 「お前じゃ無理だろ、女でその上アンは泣き虫だしなー」

 

 ノルという少年がチャチャを入れるとアンは目に大粒の涙を浮かべてそれが今にも零れ落ちそうであった。

 そんな少女に士郎は優しく手を頭に置くと口を開いた。

 

 「成れるさ、女性だから何て関係ない、俺が知っている女の子で俺なんて足元にも及ばない強い女の子を知っているよ。

  強くて気高く、そして自分の為ではなく民の為にと剣を振るった優しい女の子をね」

 

 そう言うと士郎は目を軽く目を瞑るとセイバーの姿を思い浮かべた、もう何処にも存在しない誰よりも大切な女性を。

 士郎はアンの頭を優しく撫でると言葉を続けた。

 

 「アンが泣き虫なのは誰かの痛みを悲しんであげられる優しさがあるからさ、辛くてもそれでも困った誰かに手を差し伸べられるなら俺なんかよりずっとマシな正義の味方になれるさ」

 

 士郎の言葉を聞いた少女は笑みを浮かべると嬉しそうに勉強の続きを再開した。

 勉強が一段落着くと体を動かそうと士郎は子供たちを集めて外に出ようとした時、慌てた様子で銃を持った兵士がテントの中へと駆け込んできた。

 

 「西の方の地区が襲われている、至急助けに行くんで手を貸してくれ」

 

 兵士の言葉を聞いた士郎は急いで銃を背負うと呼びに来た兵士と共に襲われている場所へと向かおうとした。

 テントから出て行こうとする士郎の服の裾(すそ)を小さな子供たちは掴んだ、この子達にとって親しい者の死はすぐ近くにある、すでに家族を無くした子供たちに取って士郎を失うことを恐れた。

自分たちを助けてくれた士郎が死ぬかもしれない場所に行くのを必死に止めようとしていた子供たちに年長者(それでも十歳を過ぎたばかり)のノルが小さな子供たちをなだめた。

 

 「士郎が助けてくれなかったら俺たちは皆絶望の中で死んでた、その俺たちが士郎を足止めして俺たちと同じ境遇の奴らを見捨てるつもりか?

  士郎に助けられた俺たちだからこそそんなことしちゃ駄目だろ、それに俺の、俺たちの正義の味方がこんな所で死ぬわけないだろ!絶対に帰って来いよ士郎」

 

 「当たり前だ、俺は本物の英雄たちと戦っても生き延びた男だぞ」

 

 士郎はそう言って笑うと子供たちはその笑顔に安心感を覚えた。

 そして士郎は片膝を付いて視線を子供たちと同じ目線にすると拳を固めて胸を軽く叩いた。

 

 「仮に俺が戻らなかったとしても俺の想いは此処に残ってる、切嗣が、俺を救ってくれた人の想いが俺の中で消えないように」

 

 士郎はそう言い残すと風で砂が舞う中を子供たちを残して歩いて行く、子供たちは士郎の背中をずっと見つめ続けた、自分たちを救ってくれた英雄の姿を目に焼き付けるように。

 士郎の姿が見えなくなった後も士郎が歩いて行った方向を子供たちは見つめ続けた、何時か自分たちも同じようになりたいと願いを込めて。

 

 

 

 ~それから数年が経ち、数十年が経ち、そして百年余りの時間が経った。

 

 風で砂が舞う中を一人の少年が何かから逃げるように走っていた。

 少年は傷だらけで足取りもおぼつかない中で必死に助けを求めていた。

 

 「助けて、…誰か、…神様、…誰でもいいから、村の皆を…」

 

 傷だらけの少年はカラカラになる口を開いて必死に助けを求めた、傷だらけの体で必死に自分が住んで居る村を助けてくれる誰かを求めて。

 しかし少年の体は既に激しく消耗していた、足がふらつき何も無い場所で転ぶと恐怖に引きつった顔で後方を見た、少年は追われていたのだ、自分の村を襲った奴らの内の一人の男に。

 

 「神様なんて居ねえよガキ、それに自分の利益にならねえ他人を助けてくれる奴もこんな世の中にはなー」

 

 傷だらけの少年を追っていた三十代程度と思われる男はそう言うと邪悪な笑みで笑って自身が持つ木の棒を振り上げると少年をそれで嬲(なぶ)ろうと振り下ろそうとした、その瞬間に男の顔に蹴りがめり込み男は後ろに吹き飛んだ。

 

 「この世界に神様が居るかは知らねえが、困ってる人間を救ってくれる奴は居るぜ。

  俺もそんなお人好しにガキの頃救られた一人なんでな」

 

 少年を襲おうとしていた男に蹴り倒して少年を救った男はそう口にした。

 少年を救った男の年齢はまだ二十歳前と思われる、日に焼けた浅黒い肌に短髪、そして鍛えられた筋肉質な男であった。

 

 「テメー何者だ、俺はキーンファミリーの一員だぞ。お前も、そしてお前の家族も生かしちゃおかねえから覚悟しろ」

 

 少年を襲おうとしていた男は自分の所属する組織の名前を口にした、そしてその名前を聞いた自分の顔を蹴り飛ばした男の絶望する顔を見れると思ったが、自分を蹴り飛ばした浅黒い肌の青年は恐怖とは無縁の表情で笑った。

 

 「お前の様なクズ野郎に名乗る名前はねえよ、しいて言うなら通りすがりの正義の味方って奴さ」

 

 浅黒い肌の青年はドヤ顔でそう言うと傷だらけの助けた少年の方を見た。その青年が人を助けた時に言う決めゼリフを少年が聞いて感動しているだろうと期待して。

 傷だらけの少年はどう反応すればよいのか困惑したが、自分を助けてくれた青年に感謝の言葉を伝えようと口を開いた。

 

 「ありがとうござ…」

 

 傷だらけの少年はその時に自分を襲った男が銃を撃とうと銃を手に取るのが見え、助けてくれた青年に伝えようとした。

 浅黒い肌の青年は少年の反応を見て咄嗟に後方に危険が迫っていると判断すると振り向き様に自分が身に着けているモノを銃を構えたクズ野郎に投げつけた。

 それが命中してクズ野郎が一瞬怯むとその瞬間に距離を詰めるとクズ野郎が銃を持っていた手の腕を躊躇なく折った。

 腕を折られた痛みで男はその場を転げ回る。

 

 「油断しちまったぜ、師匠に見られてたらまた長い小言を聞かされるところだったな」

 

 浅黒い肌の青年はそう言って自分の師匠がこの場に居ないことに安堵した。

 その一瞬の常人離れした動きを見た少年は自身を助けてくれた青年に自分の村も襲われているので助けてくれないかと願い出た。

 少年は疲れと口の渇きからたどたどしく言葉を口にした、それに気付いた浅黒い肌の青年は自分が持つ水を少年に差し出すとアッサリと快諾した。

 

 「任せときな、ただこっちに来たばかりで情報を仕入れるから少し待っとけ」

 

 浅黒い肌の青年はそう言うと先ほど腕を折った男の方に向かった、先ほど腕を折られた男は腕の痛みに耐えながら早くこの場から逃げようと、ほふく前進のような姿勢で少しづづ距離を取っていたが浅黒い肌の青年はその男を踏みつけて動けなくすると村を襲っている仲間の情報を聞き出そうとした。

 

 「ふざけんな、誰が喋るかよ」

 

 腕を折られた痛みに耐えながら男は抵抗した、仲間のことを喋ればその後どうなるか容易に想像がつく、自分の腕を折った青年に仲間が駆けつけたら酷い目に遭わされるけど自分が口を聞いてやるから自分を見逃せと浅黒い肌の青年に話を持ち掛けた。

 男は実際には仲間の下に戻ったら自身の腕を折った目の前の青年を殺すつもりでいた、それも自分が受けた痛みの何倍もの拷問をして。

 

 「そう言えばさっき俺の家族もただじゃ済まさねえとか言ってたな、安心しろ。

  俺の家族は十年以上前にテメーのようなクソ野郎共に殺されたからな、俺も殺される寸前だったが師匠が救ってくれてな」

 

 浅黒い肌の青年は先ほどまでと打って変わって冷たく話すと男の折っていない方の腕を抑えつけると手の小指を有り得ない方向に折り曲げた。

 男は腕を折られてから数分と経たずに今度は小指を折られて痛みのあまり声にならない悲鳴を上げた。

 

 「後四本か、折った腕の方も入れれば九本もあるな。

  口を割るなら早い方がいいぞ、自分で飯も食えなくなる前にな」

 

 浅黒い肌の青年は男を見下ろして冷たく言い放った。

 男はその青年の目を見て恐怖した、目の前のコイツは躊躇なく残りの指も折る、それでも喋らなければそれ以上のこともするだろうと。

 浅黒い肌の青年が男の折った小指の隣の薬指を掴んで力を加えようとした時。

 

 「わ、分かった、何でも話す。こ、これ以上暴力は、痛いのは勘弁してください」

 

 男は自身が知ってる情報を洗いざらい口にした、何か嘘や怪しい素振りを見せたら青年は自分の薬指を握っている手に力が加わり恐怖によって喋らされたのだ。

 男が知ってると思われる情報を全て聞き出すと浅黒い肌の青年はその男の頭を強く叩きつけて意識を奪った。

 

 「待たせたな少年、俺の名前はシノ・フランク。今からお前の村に居る悪者を退治しに行くから道案内頼むぞ少年」

 

 浅黒い肌の青年は自己紹介をした。シノと名乗った青年は先ほどまでの腕を躊躇(ためら)いもなく折った近寄りがたい雰囲気とは一転して愛想の良さそうな気さくな男のように少年の目には映った。

 そして少年の案内で村に着くとシノは村を襲っていた武器を持つ男たちをアッサリと退治した。

 案内をした少年の目にはシノは何も持たぬのに手から光が生まれると遠くの敵を倒す様を見てまるで絵本に出て来る魔法使いのように見えた。

 村を襲った男たちを倒すとシノはその場を立ち去ろうとしたが少年が呼び止める。

 

 「僕の名前はフィーア、僕もアナタみたいに村の皆を、困った誰かを救える正義の味方になりたい」

 

 村に案内した少年はフィーアと名乗るとシノに自分も旅に同行させてくれと頼んだ。

 シノはフィーアに両親のことを聞くと既に自分を村から逃す時に殺されたと悲しそうに言った。

 シノは自分が救った村の人間に話をしてフィーアと名乗った少年を連れて行くことを決めた、両親を亡くしたフィーアには他に身寄りは無く引き留める者もいなかった。

 フィーアはシノに次の目的地聞いたがシノは決めていないと答えた、困ってる人が居れば何処にでも行くのだとシノの得意顔で答えた。何故なら正義の味方だからと。

 

 「シノはどうして正義の味方になったの?」

 

 フィーアが尋ねるとシノは少し嬉しそうに笑った。

 

 「俺も昔お前みたいに救われたのさ、その救ってくれた人も正義の味方を名乗ってた。

  その人を師匠と呼んで俺は色々と鍛えてもらったんだ、そしてその師匠もまた正義の味方を名乗る誰かに救って貰ったんだと師匠に聞いた」

 

 そうやって次の誰かを救っていき正義の味方と名乗る人間が世界には今や数人、数十人は居るとシノは語った。

 そしてその正義の味方を名乗った最初の男は白い髪に黒い肌そして銃を持っていたとも双剣だったとも言われていると。しかしその男の名前は今はもう分からない、何処かの国のありふれた名前だったらしいとの噂だとシノは笑った。

 

 「その正義の味方を名乗った最初の男が居たから俺の師匠も救われた、そして俺が救われて、フィーアが救われた。そして今度はフィーア、お前が別の誰かを救うんだ。

  これから俺がお前をビシビシ鍛えるから覚悟しとけよ」

 

 シノの言葉にフィーアは力強く頷いた。

 

 「俺が師匠から教わった正義の味方に必要な事は二つだ。一つは困った誰かを助けたいという想いと力、それともう一つ重要なことは美味い飯を作れるってことだ」

 

 そう言ったシノがその晩に作った調理はお世辞にも美味いとは言えるモノではなかった。

 シノも自分の料理の腕前を知っているので料理の方はまだ修業中でその内にもっと美味いモノを食わせてやるとフィーアに言った。

 しかしフィーアにはシノが作った料理は美味しいものでなかったが、生涯忘れることのない心の温まる料理であったことをフィーアは自分の中の宝物として記憶に残した。

 そうしてシノとフィーア、二人の困ってる誰かを救う正義の味方の旅はこうして始まった。

  

 

 

 

 

 今でもある地域では語り継がれている英雄が居る、その英雄は歴史の書物には乗らないちっぽけな英雄だ。

 それでもその地域では永遠(ずっと)語られる、正しく生きていれば困った時に助けに現れる白い髪に黒い肌の英雄が。

 そのちっぽけな英雄は小さな地域の小さな人数を救っただけのちっぽけな英雄だ、だからその英雄の名前は残っていない。

 だけどそのちっぽけな英雄が残した想いはずっと紡いでく、救われた誰かが次の誰かを救う正義の味方となって続いてく。

 その想いが世界の終りまで続いて行くならばそのちっぽけな英雄は、歴史に名前を残したどんな偉大な英雄たちよりも多くの人を救った英雄と言えるかも知れない。

 

唯一つ揺るぎないことがあるとするならば、窮地を救われた人々の目には、そのちっぽけな英雄はまるで絵本の物語から出てきた{正義の味方}の様に映ったということだけだろう。




最後までお読みいただきありがとうございます。

この物語の中での士郎は助けた子供たちの世話をするために同じ場所にある程度長く留まり、子供たちの成長を見届けてまた別の紛争地域へと人を助けに行くので広範囲で人助けをしてた訳では無いため、未来の歴史に大きく名前を残していません。

それとこの物語の士郎は普通に死んでるので抑止力となって死後も戦い続けてはいません。
ついでに士郎は結婚はせずにずっとセイバー(アルトリア)を思い続けていますので、セイバーとセックスをしてないのであれば士郎は童貞を貫いてます。
あくまで士郎はセイバー唯一人を思い続けて戦い続けていた一途なイメージでお願いします。

最後になろう小説でも同じ名前でオリジナル書いています、暇で、ヒマで、ひまでどうしようもない人だけ読んでいただければ幸いです。
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