東方緑妖想   作:和菓子屋蜜柑

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遅くなりました。今回、前編と後編に分けなかったので、すごいボリュームになってしまいました
あれ?前作の一番多いのでも4000だったはずなのに・・・orz
今回は5000文字オーバーです。それでは、ゆっくりしていってください!
1回、後書きの方をご覧ください


狼と月兎 ☆

「うう。今日は寒いな。もう秋も終りかぁ」

 

 

布団から出たくなくなってきた時期。

そんな時期に事件は起きた

 

 

「うう、げほげほ・・・喉も痛いし頭がぐらぐらするぅ」

 

 

「だ、大丈夫か?」

 

 

 

「うう、面目ないです・・・」

 

 

 

簡単に説明すると、妖夢が風邪をひいた

 

 

「あ、なんか半霊も少し赤いな。ちょっと、妖夢ごめん」

 

 

僕は額に手を乗せた

 

 

「ふぁあ。爽歩さんの手、冷たくて気持ちいいでうー」

 

 

なんか妖夢はいつも違って呂律が回っていない

・・・なんか可愛いかも

 

 

「幽々様には僕が言っておくからさ、今日は安静にしててよ」

 

 

「そーほさん、ありがとうございます・・ゴホ」

 

 

「大丈夫よ。爽歩、妖夢」

 

 

妖夢の部屋の襖が開かれ、僕たちの主の姿がいた

 

 

「ゆゆこ・・さま?」「幽々様」

 

 

「話は聞いていたわ。まったく妖夢は・・・。自分の体調管理もできていないの?」

 

 

「うう・・・すいません・・・」

 

 

「そんな子は今日は一日養生なさい。早く治しなさい?」

 

 

「幽々様。あまり、風邪っぴきの妖夢に近づいては駄目です」

 

 

「大丈夫よ、爽歩。だって私は完全なる霊だもの。半分人間のあなたたちと違ってね・・?」

 

 

「・・・そういう問題ではないんです・・・すいません幽々子様。あまり幽々子様の前では弱った姿を見せたくないのです・・・ゴホッ」

 

 

「むぅ。そういうものなのかしら。妖忌も昔病気にかかったときに私のお見舞い拒否したのはそういうことだったのかしら」

 

 

「・・・まぁ、とりあえず、幽々様。ゆっくりと妖夢が寝られないと思うので、僕たちは退散しましょう」

 

 

「うう、爽歩がいじめる。そんな爽歩には今日一日休みを与えます」

 

 

「へっ!?」

 

 

「私は今から紫の所に遊びに行くから」

 

 

「だったらお供します」

 

 

「駄目」

 

 

「え?」

 

 

「全く。鈍いわね。まぁ、とりあえず、今日は一日何もしなくていいから。晩ご飯も食べてくるから大丈夫よ。お風呂は沸かしておいて欲しいけど」

 

 

「・・・わかりました」

 

 

多分、幽々様は僕に妖夢の看病をしろっていうことだろう。

そういうと、すぐに幽々様は飛んでいってしまった

見送りだけして、すぐに僕は井戸まで走る

桶に水をくんできて、手ぬぐいを水のなかに突っ込む

その桶を妖夢の部屋に持ってくと、すでに妖夢はうっつらと意識が眠気に襲われているようで、僕が入って来たことに気がついていなかった

手ぬぐいを適度に絞り、妖夢の額に乗せる

次に、動脈が走っている場所に手ぬぐいを当てる。師匠が僕が風邪を引いたときにやってくれた。確か、動脈が走っている場所から冷やすことで身体は冷えやすいらしい

 

 

「あ・・・薬・・・」

 

 

薬箱を見ると、中には傷薬ならなにやらが入っていた

しかし、目当てのものが見あたらない

 

 

「複合薬がない・・・」

 

 

半人半霊の僕と妖夢は妖怪用と人間用の微妙なバランスの薬が必要になってくる。

人間用だと効果が出にくいし、妖怪用だと効き過ぎてしまう。だから永淋先生に頼らざるを得ない

永遠亭まで、多分取りに行かないといかないだろう

僕は急いで狼化し里まで駆けた。目指す場所は慧音先生の家

 

 

妹紅姉(もこねぇ)!」

 

 

ちょうど、外に出ていたみたいですぐに妹紅姉を見つけることが出来た

 

 

「狼!?」

 

 

わ、忘れてた!狼化しっぱなしだった!

 

 

「妹紅姉待って!僕だよ!爽歩!爽歩!」

 

 

人の姿に戻ると安心した様子の妹紅だった

 

 

「どうしたんだ?そんなに焦って」

 

 

「妹紅姉、永遠亭に連れてってもらえないかな」

 

 

「永遠亭?まぁ、いいけど。どうしたんだ?

 

 

「妖夢が風邪引いて倒れたんだ」

 

 

「ん。わかった。それじゃ、今は仕事もないし、すぐ行くか」

 

 

「ありがとう妹紅姉。急ぎたいから、背中に乗ってもらって良い?」

 

 

「いいのか!?あのもふもふに乗っても良いのか!?」

 

 

「うん。だから、道案内よろしく」

 

 

急がないと

急がないと、妖夢が苦しんでいる

僕は妹紅姉に竹林の道を教えてもらい、永遠亭に到着した

 

 

「私はここで待ってるから」

 

 

「ありがと妹紅姉!」

 

 

走りながら人化し、永遠亭に入った

 

 

「すいません!永淋先生はいらっしゃいますか!?」

 

 

「んあ?どうしたうさ?」

 

 

「てゐさん!実は・・・」

 

 

「わかったうさ。でも、永淋は今、○○里の救急患者の元に行ってていないうさよ」

 

 

「薬だけでもっ!」

 

 

てゐさんの肩を持ち、揺さぶる

 

 

「あばばばば、揺さぶらないでほしいうさ・・・だから、鈴仙が・・・」

 

 

「鈴仙・・・?」

 

 

「と、とりあえず、落ち着いて。そして、付いてくるうさ」

 

 

 

付いていくと、永淋先生の診察室ではない場所につれていかれた

 

 

「鈴仙。入るうさよ」

 

 

「てゐ?」

 

 

中から、女性の声がする

ちょっと高め張りがある声

入ると、薄紫色の長髪が見えた。その頭から見えるのは兎の耳。てゐさんとかの耳と違って長い

 

 

「どうしたのって・・・あ、患者さん?」

 

 

「すいません、僕は白玉楼で務めている者でして・・・」

 

 

「あ、はい。とりあえず、お座りください。あなたが夢魂爽歩さんですね?」

 

 

鈴仙さんに僕が白玉楼で務めている事を話したら、すぐに、僕が夢魂爽歩だということがわかったらしい。妖夢が前から話していたそうだ

 

 

「妖夢が言っていた通りの人ね。それでどうしたの?」

 

 

「妖夢が熱で倒れました」

 

 

「!?」

 

 

「薬だけでも・・・って思い来たのですが・・・」

 

 

「・・・わかったわ。すぐに準備するわ。ちょっと待ってて」

 

 

鈴仙さんはそういうとすぐに箱を持った

重たそうな箱

中にいろいろな器具を詰めていく。その中には、薬草と思うようなものもあった

 

 

「それじゃいきましょ」

 

 

「あ、少し待ってください!」

 

 

妹紅姉が待ってる。

門をすぐに出ると、妹紅がいた。

 

 

「ん?今から行くのか?気にしなくていいぞ。ほら、行ってこい」

 

 

すぐに事情を察ししてくれた妹紅姉がひらひらと手を振り、竹林に歩いて行った

・・・また何かお礼に持って行こう

 

 

「鈴仙さん!お待たせしました」

 

 

「それじゃ急ぎましょう」

 

 

鈴仙さんは飛ぶのは速かったけど・・・遅い。

僕は最初こそ人の状態で飛んでいたが、すぐに狼化した

 

 

「鈴仙さん。僕の背中に乗って」

 

 

「・・・わかったわ」

 

 

「かなり急ぐので、しっかり捕まっててください」

 

 

脚に高圧電流を纏わせる。雷の威力にまでそれは届くように纏わせる。

パリパリと電気が爆ぜるような音がし始め。それを合図に僕は空を思い切り駆けた

 

 

「行きますっ」「わ、わわあああああああああああああああああああ!?」

 

 

急がないと。いそがないと。ようむが

 

 

門から入らずに僕は庭に直接降りた

そのまま妖夢の部屋の前まで走る

鈴仙さんは、髪こそ風圧で乱れているこそ、しっかりとした足取りで妖夢の部屋に入っていった

 

(あのスピードで駆けた後なのに、すごいな。妖夢に1回やったことあるけど、離しはしなかったものの、目を回していっけ)

 

 

とりあえず、永遠亭から出るときに言われたことを思い出した。鈴仙さんは妖夢の診察に入り、その間、僕は部屋の外で待っていて欲しいと

しばらくすると、鈴仙さんが部屋から出てきた

 

 

「妖夢は風邪ね・・・。本当はここにいて看病してあげたいけど、私は師匠の代わりに永遠亭にいないといけないから。それに、妖夢にはきちんと素敵な王子様がついてるみたいだから、私の出番は今日はないわよ」

 

 

「王子様?」

 

 

 

「まぁ、そこは気にしないで。はいこれ。妖夢の風邪薬。師匠の薬だから効果はバツグンよ」

 

 

「ありがとうございます!あ、あの送っていったほうがいいですか?」

 

 

「いいのいいの。君が行きを早く来てくれたおかげでそんなに帰りに時間がかからなくて良さそうだから」

 

 

 

「また、お礼しにいきます。本当にありがとうございました!」

 

 

思い切り頭を下げた。

僕の動作に合わせ、ちりんと鈴が鳴る

 

 

「真面目なところはそっくりね。あれ?その鈴・・・」

 

 

「あ、これですか?この前妖夢にもらったんです」

 

 

「ふふふ、そっかぁ。やっぱりかぁ。妖夢がコレを君に・・・。その鈴、大切にね?」

 

 

「もちろんです」

 

 

鈴仙さんを門まで送っていって、姿が見えなくなるまで見ていた

その後、僕はとりあえず、台所に行き、一人用の土鍋を出した

いつも、鍋をやるときは、大きい土鍋を使うのだが、ここにはきちんと一人用の小さな土鍋もあった

昨日の米(珍しく余った)のを土鍋に入れ、水を入れる

、米、、卵、すり下ろしたしょうが、ネギ、飲み込みやすいように小さく刻んだ人参、鰹節でとった出汁を少々、水を入れ、煮込む

蓋を開け、確認すると良い感じに卵粥が出来た

 

取り皿とスプーン。鍋敷きを盆に載せ、鍋敷きの上に完成した卵粥の土鍋をのせ、妖夢の部屋に再び戻る

 

 

「妖夢入るよ」

 

 

うーん、うーんとうなされている妖夢をみた

額の上の手ぬぐいと寝巻きは変えられているようだった。

 

 

(ああ、鈴仙さんが変えていってくれたんだな)

 

正直、妖夢の寝巻きを変えていってくれたのは助かった。流石に男の僕では女の子の着替えはまずいだろうと思って板ところだった

まぁ、ちょっと、残念な気もするが・・・そこは、お年頃な時期である

あの、綺麗なすみれ色の兎。なんで僕を見て生暖かいような目で見ていたんだろう

 

 

「妖夢、妖夢。起きれる?」

 

 

呼びかけるとぼんやりと妖夢は起きた

 

 

「そーほさん?」

 

 

「うん。僕だよ。妖夢、少しでも良いから、ご飯食べれる?お粥作ってきたんだけど・・・」

 

 

「すこしなら・・・」

 

 

妖夢の返事を聞き、僕は土鍋の蓋をあけ、いつも妖夢が使っている緑色の茶碗にお粥をよそう。

木製の匙を一緒に渡す

 

 

「起き上がれる?」

 

 

「うう、はい」

 

 

「・・・ちょっと失礼するよ」

 

 

身体が動かしづらそうだったので、背中に手を回しゆっくり起き上がるのを補助する

自然と身体が密着するかたちとなってしまい、妖夢の香りが鼻孔をくすぐる

甘い香りと汗ばんだ香りが混じって、なんとも・・・

 

 

「そーほさん、ありがとうございますぅ」

 

 

「熱いから、ゆっくり食べてね」

 

 

先ほどの茶碗を妖夢に渡す

ゆっくりとした動作で、匙を口に運んでいく

 

 

「あ・・・おいし・・・。」

 

 

味がお気に召したのか、ゆっくりだけど、妖夢はちまちまと食べ始めた

茶碗一杯をなんとか完食したところで流石に身体がつらくなったのか、食べるのを辞めた

 

 

「ごちそう・・・さまです」

 

 

「お粗末様です。妖夢、コレ飲んで?」

 

 

鈴仙さんにもらった薬を1包妖夢に渡す

飲みやすい温度の白湯を妖夢に渡し、きちんと飲んだのを確認した

 

 

茶碗を片付け妖夢を布団に戻し、額の手ぬぐいを濡らすなどのことを座ったままやっていたら、いつのまにか妖夢は眠っていた

立ち上がろうとすると、僕のシャツの端をぎゅっと握って眠っていた。

手を放させようとするが、とれない。ついでに、なんとなく、半霊をみたら、僕の半霊が丸くなっており、その丸くなっている狼の腹の部分に妖夢の半霊が乗っかっており寝ていた

 

 

「風邪を引くと人恋しくなるか・・・。妖夢もそうなのかもしれないな」

 

 

いつも、水仕事も庭の整備も料理もやってくれる妖夢

水仕事は僕が来てからからり僕の方にまわすようにはしてるけど、ソレを除いても妖夢は頑張り屋で常に全力で当たっている

彼女は何故この白玉楼で働いているんだろう。正直、働く条件としてはあまりよくないのに

むしろ、悪条件ともいえるだろう

でも、幽々様と一緒に居るときの彼女の顔はとても楽しそうで、嬉しそうだ

もやもやする。なんだか、少し胸が痛くなった

 

 

(・・・?なんで痛くなる?怪我なんてしてないのに)

 

 

楽しそうに笑う妖夢。なんでそんなに楽しそうに笑えるんだろう。

 

 

「みょん・・・」

 

 

考えを巡らせていると薬が効いてきたのか、表情がだいぶ楽になって、安らかに眠っている妖夢の姿があった。

 

 

「ははは、なんだか考えるのも馬鹿らしくなってきた」

 

 

いつもは見れない妖夢の表情(かお)

安らかに眠る彼女を見るとだんだん、僕まで眠くなってきた

 

 

秋も終りになり、そろそろ雪が降る季節。

そんな中でも、部屋の中は温かく、十分に眠気を誘った

 

 

「半霊も・・・寝てるし・・・いいよね・・・?」

 

抗いがたい眠気に負けた

最後にもう一度だけ妖夢の額のてぬぐいを水に浸して絞り、額に戻してからあぐらを組んで目をつむった

 

 

ーーーーーーーー

幽々子視点

 

「ただいまー」

 

 

帰ると何も返ってこなかった

いつもなら、必ず妖夢か爽歩が出迎えてくれる

でも、それは今日はなかった。休みとはいえども、それは必ずあることだった

 

 

「どうしたのかしら。妖夢は寝てるとして、爽歩が来ないのはおかしいわね」

 

 

主人として、家族として心配になった

もしかして、爽歩も倒れてるのではないか・・・と

爽歩の部屋に行くが部屋には電気も灯って無く、人気もない(人がいると必ず光りが自動で灯るためわかる)

 

(まさか・・・ね)

 

 

妖夢の部屋に行くと、そこには気配が2つ

襖をそっと開いてみると布団で寝ている妖夢の側にあぐらを組んで動かない爽歩がいた

瞑想でもしてるのかと思いきや、規則正しい二人分の寝息が聞こえる

 

 

(それもそうよね、爽歩なら瞑想しているなら、襖を開けた時点でわかるものね)

 

 

1回、気配を消して瞑想中の爽歩に近づいた事はあるがばれていたことを思い出した

妖夢の部屋を見ると、隅には爽歩の狼の形を取っている半霊が丸くなっているその腹に妖夢の半霊が(うずくま)っていた

その様子を見て、幽々子は爽歩の自室から、上着を取りに行き、そっと爽歩にかけた

その際に、妖夢の手が爽歩の手を握っているのを見て、子供の成長を見るような感覚になった

 

 

(お休みなさい。妖夢、爽歩)

 

幽々子は音もなく部屋から出て行った




うどんげが結構空気。
ごめん、うどんげ。こんなハズじゃなかったんだ
この二人、何気に好意があるはずなのに、それをきちんとわかっていなかったりします
(妖夢の行動と、うどんげの行動から考えると、妖夢は・・・)
でも、半霊は自分の分身であり、とても正直だと私は思っています
爽歩の半霊は人魂っぽくもなれるし、狼の姿をしているときもありますが、基本、狼の形です。爽歩が狼化するときは、人魂に瞬時に代わり、中に入る・・・みたいな感覚と思ってください。

てぃらむーすさんから支援絵を頂きました。

【挿絵表示】

前に爽歩のなんとなくのイメージ画像から、描いてくださりました
あんなヘタクソな絵からこのような支援絵をいただけるとか、ホントありがとうございます
この支援絵のおかげで、今回煮詰まっていた『狼と月兎』が完成する事ができました
いつも朝スマホからマイページで確認してるんですけど、驚きました
多分、周囲の方からの視線は冷たかった。。。。
支援絵ってこんなにも力になるものなんですね・・・。これからも頑張らさせていただきます!
それはともかく、章をつけました。
コラボは本編と関わり合いがあるけど、ない感じでこれから書いていこうと思っています
スキップが出来るようにこっちは番外だよ!コラボだよ!みたいな感覚でいこうと思っています。要は読み飛ばしが出来るってことですね
本編が煮詰まって、気分転換でコラボの方を書いていたり、内輪の知り合いの作家さんたちで書いていることがあるので、もし、コラボ作品が苦手な方はスキップできるように章をつけて区切ることにしました
出来る限り、本編に支障が出ない感じでやっていくつもりです

これからも、東方緑妖想をよろしくお願いします

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