東方緑妖想   作:和菓子屋蜜柑

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「そこまでよ」

むきゅう、と鳴き声を放ちつつ現れたのは、紫の洋服を着たごつい女性だった。
頭の帽子には、三日月が付いており、僕はそんな人は一人しかしらない。
紅魔館の動かないあの人。パチュリーさん。
なんで・・こんな筋肉が盛り上がってるんだ・・・!
僕よりも筋肉あるんじゃないのか!?
袖から見える上腕二頭筋は山のように隆起し、胸は胸筋によりおっぱいから雄っぱいへと変貌をとげ、スカートから見える足部の筋肉はとても筋張っており、脛を蹴っても、こちらが負けるであろう鋼のような筋肉をしていた

「ぱ、パチュリーさん・・・・?」

「待たせたわね、爽歩。助けに来たわよ」

「そんな・・・なんでパチュリーさんが・・・」

喘息持ちで、運動なんてしないって咲夜さんが言っていたのに・・・」

「リミッターを外したのよ。これが私の本当の姿」

サイドチェストを決め、彼女は言った

「こんな結界、指一本で足りるわ」

人差し指で僕に張られていた結界を破り、鎖をその逞しい両手で持ち、糸を引きちぎるかのように、ちぎった






はい、嘘です。
あまりにもマチョリーが多かったので遊びました。悔いはない
遅くなりました。それでは本編をどうぞ


狼と庭師とその主

「そこまでよ」

 

鈴とした声が響いた

この声は・・・

まさか、と思い、重い身体に鞭を打ち顔を上げた。

 

「紫」

 

桃色の髪が揺れ、薄水色服が所々破けたりしている

僕のたった一人の主がいた

 

「・・・幽々子」

 

八雲紫の顔は驚いたように、目を見開いていた

 

「・・なんで、貴方がここに・・・?」

 

「あなたの所の狐に凄く時間かけさせられたわ」

 

やれやれという仕草をしながら幽々様は答えた。

 

「幽々子・・・」

 

「紫、私の従者を返して」

 

幽々様の服は、所々破けており、弾幕ごっこをしただろうという事がわかる

そして、幽々様から出た「狐」

きっと、八雲紫の式神であり、八雲の姓を与えられた九尾の狐、八雲藍の事だろう

あの厄災とも言えるような妖力を持つ存在を幽々様は超えてきたのか・・?何故・・・?

 

「どうして・・幽々様・・・」

 

何故、どうして。

思わず、口から零れた本音。

僕の主は、それを聞き逃さなかったらしい

 

「どうしてって・・私の従者だからよ。爽歩」

 

「自分の・・従者を迎えに行く主がいますか・・・」

 

声が震える

 

「貴方が愛想を尽かしても、私は貴方を離すつもりはないわよ、それに、妖夢も」

 

「ゆゆ・・・さま・・・」

 

僕は、妖夢を斬り、主の望みを断ち切ったのに・・・

 

僕の親愛なる主は、鎖に触れた

 

「こんなもの、貴方にはいらないわ。貴方は縛られない番犬。偶には主を噛みつこうとするけど、それは、主の為を思ってですもの。鎖なんかで縛らなくても、貴方は離れない、離れられない。」

 

触れられた鎖はピシピシ、と細かな罅が入り、風化しサラサラと細かな粒子になり崩れていった

 

朽ち果てる鎖

何度も、何度も、外そうと試みた鎖は簡単に外れた

それは、僕の心にあった雁字搦めにしてしまった最後の鎖をも、外すようで

幽々様は、僕に向かって微笑んだ。

 

「爽歩、貴方は正しい事をしたわ。貴方のおかげで私は消滅せずに済んだわ・・・そして、紫」

 

主は、八雲紫に向かって言う

 

「もう、いいでしょ。お互い。ごめんなさい、ありがとう」

 

「・・・」

 

「あなたが、こんなに強情な手を使う時は、幻想郷の為と知ってるけど、それでも今回のは紫にしたら詰めが甘いの。普段の貴方ならあり得ないくらいの甘さ。まるで、最初からこうなることを望んいたような」

 

「幽々子・・・、それは、間違ってるわ。今回の夢魂爽歩を使用したのは、私が博麗大結界の礎を強化するための・・・」

 

「それ、あり得ないわ」

 

八雲紫の言葉に横やりが入る

その声は、少女のもの。

声に目を向けると新たな乱入者がそこにいた。

紅と白の装い。大幣を持ち、札を持ってそこに圧倒的な存在感を放っていた。

それは、この世界に必要な巫女、博麗霊夢。

 

「紫」

 

「れ、霊夢?」

 

八雲紫が動揺した声を出した

その前に・・・・なんで霊夢さんが・・・?

 

「あの冥界に続く結界だって、おかしいと思ってきたらやっぱり、変な事をしでかしてたのね。紫」

 

「れ、霊夢、違うの、これは・・・」

 

「大方、そいつ(爽歩)を人柱にし博麗の犬にして、私が喜ぶとか、思ったんじゃないかしら。まぁ、本当は、私にもよく知らないけど、そいつとそこの今回の異変の主の間にあった主従関係を戻したい、とか考えて、藍にも知らせずに動いてもらったとか、そんな感じじゃないかしら」

 

なんという事だろう

あの妖怪の賢者とも言われた八雲紫の表情が、見るも無惨に青ざめている

 

え、まさか、本当なのか?

 

「この、スキマ妖怪。頭いいのに、なんでそう無駄に状況を引っ掻き回そうとするの」

 

「・・・」

 

「ある意味、あんたが今回の黒幕だから、まぁ、しっかり歯を食いしばりなさい」

 

博麗の巫女、霊夢は陰陽玉と札に霊力を注ぎ込む

陰陽玉と札に恐ろしいくらいの霊力が注ぎ込まれ、光を放つ。

・・・あれ、普通に撃ったら僕たち妖怪ってタダじゃ済まないんじゃ・・・

 

見ていて冷や汗をかきながらも、その美しいまでの光を見つめた

 

「夢想封印」

 

閃光が迸る

動揺しすぎていたのか、八雲紫は、結界も張らずそのまま陰陽玉を受けたのを閃光の中僕は見た

八雲紫が穏やかな顔をしているのを。本当に、この異変?は僕たち主従関係を元に戻す為に自分が悪役になり、この場で制裁を受けるとこまで計算されていたと言うことを察した。

光が消え去ると、八雲紫は地面に落ちて仰向けになっていた

 

「ふぅ、そこの犬と春の亡霊とその従者。異変解決の定例宴会はアンタらの所と、それと、紫に持って貰うから。ふぅ。それじゃ帰ってお茶でも飲みましょ」

 

一仕事終えた、という達成感といつもの気怠そうな表情をしつつ、霊夢は言い、彼女はそのまま飛び帰って行った

 

「・・・・紫」

 

霊夢の夢想封印を受け、地面に落ちていた八雲紫に向かって幽々子は歩み寄った

 

「ごめんなさい、あと、ありがとう」

 

「・・・何に対してかしら?」

 

少し、ばつの悪そうな顔をし、妖怪の賢者は幽々子から顔を背けた

 

「それでも、よ。ありがとう」

 

「・・・次からはもう少しだけ、私の忠告も聞きなさいよ。まったく・・・。異変は起こしてもいいけど、友人である貴方が居なくなるのは、嫌よ」

 

「いつかの茶会で、確かそれらしいもの言われたわね。貴方はいつも遠回しに言い過ぎるのが悪い癖よ」

 

・・・幽々様は、以前に西行妖を咲かせることで、どうなるのかを聞いていた、らしかった。しかし、遠回ししすぎて、結局実行してしまう今回の異変になった・・・?

茶会は、いつのだ・・・?

 

「ほら、紫」

 

「・・・ありがとう、幽々子」

 

幽々様が八雲紫に手を伸ばし、それを八雲紫が受け取り、ゆっくりと立ち上がった。

 

「夢魂爽歩・・。貴方には、今回の異変で迷惑かけてしまったわ。ごめんなさい」

 

八雲紫が僕をまっすぐ見て言った

 

「許さなくてもいいわ。正直、人柱にしようとしたのは、本当の事だもの」

 

「・・・あなたが、僕を焚きつけたのも、今なら何故かわかります。そして、きっと頭の良い貴方ならば、僕の選択をも知っていた。霊夢さんの粛正を一人だけで、結界もなしに受けた気概から、僕はもう、何もいいません。だから、恨みもしません。それが、僕に出来るただ1つの事です」

 

「・・・そんなのでいいの?今の私なら、貴方の牙で一矢報いる事もできるはずなのに」

 

僕は、周囲を見渡した

そこには、座り込んで、僕にふにゃっとした笑みを浮べる妖夢、八雲紫を支えている幽々様、そして、息を切らせてやってきた咲夜さんと橙、服をボロボロにした八雲藍が八雲紫の周囲を囲んだ

 

「そんな事、誰も望みませんよ。誰も、失っていないから」

 

「そうですよ、紫様」

 

妖夢が地面に手をつき立ち上がりつつ言う。

 

「誰も、何も失っていません。爽歩さんも言っています。だから、今回の事件はコレで終りです」

 

そう、だれが悪いわけじゃない。

ただ僕たちは十分な言葉を交わさずにすれ違っていただけだ。

すれ違ったおかげで、僕は本当に大切なものを見つけることが出来た。

一歩道を間違えると、それこそ全てを失ってしまう可能性もあった。でも、結果、失っていない。

だから、今回はこれで終りで良いんだ。

 

「・・・紫さん(・・・)

 

だから僕は終りとして、彼女の名前を呼ぶ

 

「コレで、終りにしましょう。きっと皆、宴会を待って居ます。幻想郷の異変の後は呑んで、終りでしょう?もし、気になるなら、宴会の準備をきちんと手伝ってもらいます」

 

ぽかん、と口を開け間抜け面している紫さんを後に、僕は妖夢に手を述べた

 

「妖夢、ごめん、ありがとう。後で伝えたい事があるんだ。聞いてくれるかな・・?」

 

「伝えたい事・・・・?」

 

「うん、もう、僕は迷わない。そのためにも。だから、白玉楼に帰ったら、君の部屋に行っても良い?」

 

「話が、見えないですけど、わかりました」

 

これで、妖夢への用事は済ませた

そして、最後に

 

「幽々様」

 

僕は足を折り、地に頭を垂れた

 

「今まで申し訳ありませんでした。僕を、再び白玉楼で働かせてください。お願いします」

 

「・・・爽歩、顔を上げなさい。貴方をもう、手放すつもりは無いわ。それこそ、蝙蝠の館でなんか、引き取らせないわ。貴方には、いつか生まれるであろう子の剣術指南役をしてもらいます。どこかの爺みたいに、旅なんかに出させないから覚悟なさい」

 

顔を上げると微笑む主人がいた

僕は、また白玉楼で働ける。この人に遣うことができる

 

「ほら、いくわよ、妖夢、爽歩。早く宴会の準備をしましょう。私、お腹すいて来ちゃったわ」

 

「はい、幽々様」「はい。幽々子様」

 




幽々様の最後の辺の爽歩に言ったセリフが個人的には気にいってます
リアルでも、かなり大きくケジメをつけたため、爽歩と妖夢の物語も終りに向けて進んで行きたいと思います。
緑妖想は、宴会の話と宴会後白玉楼に戻った時の話、未来の話を書いて終了にしていきますかね・・・。
長々とお付き合いくださり、ありがとうございます。
まだもう少し続きますので、お付き合いください
和菓子屋蜜柑
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