東方緑妖想   作:和菓子屋蜜柑

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お久しぶりです。和菓子屋蜜柑です
かなり遅くなりましたが東方緑妖想の最終話です
首を長くさせてしまって本当に申し訳ありませんでした


神社と狼と様々で

あの後、温泉で汗を流し、服を着替え、ボロボロだった身なりを整えた

砂ぼこりなんて生ぬるい泥だらけ、血まみれだったから。

今から調理をするのでは、ボロボロの格好では不衛生だ。

温泉に入っているとき思い出したのは、ここに来てからのこと。お湯に傷が染みる。さらに今は時間がない。今は身体を流すだけにしているが、帰ってきたらゆっくり浸かろう。これからのことは終わってから考えればいい。

温泉から出てくると湯上がりの妖夢と鉢合わせた

 

「妖夢」

 

「あ、爽歩さん。爽歩さんも今上がりですか?」

 

妖夢の白い肌が、ほんのり桃色に染まっていてかわいい。半霊もほんのりと赤くなっている気がする。

 

妖夢は、まだ、しっとりと濡れた髪が首筋に張りつくようで、少し煩わしそうにしていた

こう、なんとも言えない色気がある気がする。なんというんだろう。美味しそう。

 

「爽歩さん?」

 

はっとして、思考が戻ってきて、僕は慌てて返事をした

ぼ、僕は今何を考えてたんだ!?

 

「な、なに!?」

 

「えへへ、呼んだだけですよ」

 

・・・どうしよう。すごい可愛い。

でも、今日が終わってからだ。そう、終わってから。

僕たち二人はそのまま庭にむかった

庭では、先に湯に入り身体を清め、着替え直した幽々様と食材がいた

 

「もういいかしら?」

 

「はい」

 

狼化状態になるために、相棒を身体の中に入れ、狼化する。

 

「妖夢、もう準備はいい?」

 

「大丈夫です」

 

背中に荷物を積んでもらい、妖夢と幽々様を背に乗せる

流石に酒と食材を積んだ状態だと重い。でも、走れる

身体は疲労が残っていても、心は今までにないくらい軽いから

 

「行きます」

 

僕は空を駆けた

その日の空は青々しく、雲1つ無い晴天だったのをきっと僕は忘れない。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

途中でアリスさんを誘い、プリズムラバーの子達を引き連れ、博麗神社に辿り着くと九尾の狐が敷物を引いていた

 

「おや、爽歩君」

 

「八雲藍・・・」

 

僕の背中から幽々様と妖夢が降り、八雲藍と対峙する

苦々しく呼ぶと八雲藍は眉尻を下げながら言った

 

「その節は悪かった。私も従者なんだ。紫様がやることには逆らえないが、あれは悪かったと思っている。もう、怪我は大事か?」

 

あぁ、そうか

この人もある種の僕と妖夢のような人なのか

 

主従

ずっと悩んでたもの

 

・・・そうだよ。僕にはもう既に紫さんを許したんだ

だから、この目の前に立っている人も何も悪くないんだ

 

「藍さん。この節はもう、水に流しましょう。紫さんにもそう、話しました」

 

そう、これでいい

 

「・・・そうか。また何かあったら真っ先に協力をしよう」

 

申し訳なさそうに言う藍さん。この人も従者なんだ。だからこの方の気持ちも僕はわかる

 

「・・・なら、そのうち大量の料理ができあがるので、料理運ぶの手伝ってもらえますか?」

 

「あ、あぁ。勿論」

 

「では、神社の厨房借りて、料理してきます」

 

藍さんと別れ、神社の厨房を借りに母屋に向かうと、縁側で茶をすすっている紅白の巫女がいた

 

「霊夢さん」

 

「あ、狼。今日のご飯きっちり作っててよね」

 

「ははは・・わかってるよ、それじゃお借りします。それと僕の名前は夢魂爽歩。覚えてくれると嬉しいな」

 

霊夢さんは特に何も気にしていない様子で、どこからか取り出した一升瓶を取り出した。

まって、今、何もないところから、出したよね?あれ?僕の見間違え?

 

軽く混乱していると、彼女はまっすぐ僕に見据えて言った

 

「自分が大切にしているものは自分の掌から失ってから気がつく事が多いけど、アンタは掌から失わずに済んだ。これからも大切にしなさいよ。爽歩」

 

縁側から、音もなく立ち上がり。呆然とした僕の目の前から去っていった

 

大切なもの。・・・そうだな。もっと、これから大切にしていこう。

心の中でもう一度、霊夢さんに礼を言い、軽く頭を下げた

 

「爽歩さんー!」

 

妖夢の呼ぶ声が聞こえる。

霊夢さんの言葉が言霊となり、心に染みこみ、僕に、大好きな声で現実に引き戻された

 

「爽歩さん・・・?どうしたんですか?怪我が痛みますか?」

 

心配そうに僕をのぞき込む妖夢を見て、大切なものを思わず、ぎゅっと抱きしめた

僕よりも小さな身体を抱きしめると、すっぽりと入った。僕の大切なものは小さいんだ。きっと幽々様も小さいんだろう。

距離が近くなったことで、妖夢の温かい体温と、甘いけど、さっぱりとした妖夢の匂いが香った

 

「わわわっ・・・?そうほさん・・・?どうしたんですか?」

 

妖夢の声が驚きに満ちており、慌てたような声をしていた

 

「妖夢。あのさ、僕と婚姻して欲しい。ずっと一緒に居て欲しい。」

 

「っ!?」

 

「頼りないかもしれないけど、もっと強くなる。もっと妖夢の側に居たいんだ」

 

もう、大切なものを見てみない振りをしないように。

僕自身のケジメ(プロポーズ)

 

「・・そ、そうほさんのばか・・・。こんな所で言わなくてもいいじゃないですか・・・」

 

真っ赤になった

半霊もせわしなく動き回ってる

 

「返事は、宴会の後でいいから・・・」

 

「いいえ、その必要はありません」と言いながら

 

「私も貴方のことが大好きです。でも、一方的は嫌です。・・・私も爽歩さんの隣で並んで歩きたいです、不束者ですが、よろしくお願いします」

 

その後照れながらも手をつなぎ僕と妖夢は台所に入っていった

 

「さて、やりますか」

 

「ですね」

 

大量の食材を手際よく調理していく

何をしてほしいかは、横目で妖夢を見ていればわかる

ガンガン調理は進んでいき、宴会も終盤になって、藍さんと咲夜さんが変わってくれて二人で飲むことになった

・・気を使わせちゃったかな

 

どこからか妖夢が一升瓶とお猪口を持ってきていた

 

「はい、爽歩さん」

 

「ありがとう」

 

お猪口に映る満月がとても綺麗で一つ思い出した

 

「ね、妖夢。こないだ紅魔館にいた時にさ、知ったんだ。・・・月が綺麗ですね」

 

「・・・???そうですね、綺麗な満月ですね」

 

やっぱり知らないみたいで、少し嬉しさを感じながら、ちびちびと僕たちは酒を煽った

 

 

ーーーーーーーーーーー

「幽々子、いいの?」

 

「ちょっと寂しいけど、忘れられてる訳じゃないし、あの子たちも大切にしたいからいいの。私には、貴方()もいるから」

 

「ふふふ、そうね。幽々子は知っているかしら。月が綺麗ですね?」

 

「勿論。・・・死んでもいいわ。もう死んでるけどね。紫、これからも、よろしくね?」

 

「幽々子には敵わないわ・・・」




これにて、東方緑妖想は完結となります
もしかしたら後日談の話などを忘れたころに書いているかもしれません
一先ず、爽歩と妖夢の二人に幸あれ
あぁ、でも何時か優曇華出したい・・・うどんげかわいい・・・

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