チョコボと剣姫の不思議なオラトリア   作:隣乃芝生

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せめて・・・せめて年内に一度は・・・!

ということでお待たせして申し訳ございませんでした!


チョコボと不思議な二人

 

「では、私はギルドに帰りますからこれ以上!騒ぎを!起こさないで下さい!判りましたね!?」

「「「申し訳ございませんでした。」」」

「特・に・君ぃ!」

「クエッ!」

 

 体調不良を理由に早退しようとしていた所を「鳥案件」で青の薬舗まで呼び出されたエイナから小一時間程の注意を受けた後、ミアハ・ファミリアを後にした一行は、再び広場へとやってきた。

 

「酷い目にあったわ・・・」

「それはどちらかというとエイナと私達の台詞なんだが。」

「後、ミアハ様達。」

「クエー・・・」

 

 グッタリと適当に入った店の椅子に座る一行は深い溜息をついた。嵐に遭ったかのように無茶苦茶になった部屋を賠償で許す(眷族の女性からは凄まじく睨まれたが)神ミアハの懐の深さに頭が下がる思いである。

 

 ズゾーっとよく冷やされた果実水をストローで飲んでいたチョコボは、アイズの隣に座り足をぶらぶらさせながら道行く人を窓から眺めていた。

 

「それで、結局アイズに何が起こったんだ?」

「アイズたんのステータス更新したら判るんやけど・・・多分貰ったんコレやろ?」

 

 そう言うと気怠げに身を起こしたロキは手にアイズが貰ったモノとは色違いのハネを手にしていた。

 

「色は違うけどそんなハネ。」

「色は違うがそんな葉っぱだな。」

「「ん?」」

 

 同時に違う単語を口にしたアイズとリヴェリアは思わず顔を合わせた。

 

「あ~合っとるよ。人によって見え方に違いがあるねんコレ。」

 

 カップのコーヒーを飲み干すとロキは手元のハネを戻した。

 

「分かり易く言うと『託す想い』あるいは『託す力』と言う方向性を持たせた『命の欠片』や。」

「命の欠片・・・?」

「せや。例えば使い込まれた武具とかが壊れた時にその武具に魂が宿っていた時に『持ち主に力を与えたい』と思ったりしたら何かしらの『力』を持ち主に与えるねん。」

「「・・・?」」

「あ~…英雄伝説とかで、登場人物の大切な道具壊れた時とか仲間が死んだときとかに『その時不思議なことが起こって』パワーアップしたり能力に目覚めたりするやろ?アレの正体やねん。」

「なるほど。」

「クエッ。」

「何で自分も今理解しとんや。」

 

 分かり易くなった説明にアイズとチョコボが縦に頷く。

 自分でもよくわかってないものを渡すなや、とロキが叱る傍らでリヴェリアが首を傾げた。

 

「しかし、ロキ今まで私達はおろかそんなモノが見えたと言う話は聞いたことが無いぞ?」

「そら、全部の武器が命を託す言うわけやないしな。大抵はステータスを若干強化して終わりやし。目に見えるほどに強いモンは中々お目にかかれんやろ。」

「?なら私がジャガ丸号から貰ったのは?」

「それな。ホンマは多分魔法の強化用なんやろうけど・・・多分アイズたんの「エアリアル」を別世界の「風」系統の魔法とハネが誤認した所為でバグが起きたんやろな。帰ったら一回ステータス更新せなあかんなぁ。」

 

 アイズ的には問題ないどころか棚ぼたで魔法が増えたので万々歳である。

 

「今ロキが出したのは?」

「今二人に見せたんは・・・せやな『ロキのハネ』とでも言おか?」

「大丈夫なのか?命を取り出して。」

 

 思わず二人が心配そうにするがロキは苦笑を浮かべた。

 

「大丈夫も何も・・・同じ物を二人の背中に刻んどるやろ?」

 

 その言葉に二人揃ってキョトンとした顔になる。

 

「神血に含まれとる力と本質的には同じモンやねんで?その力を『対象を自身の眷族とし位階を上げることが出来るようにする。』様に方向性を向けたもんが自分等のそれで、こっちハネの方やと強化とかは出来んけど『持ち主の力量に合わせて一時的に力をセーブした状態で地上とかに召喚・・・地上・・・に────。」

 

 そこまで口にしたロキはピタリと固まった。

 

「・・・ジャガ丸号?自分まさかバハムートとかのハネを・・・っておらん!?」

 

 恐る恐るアイズの隣に座っていたはずのジャガ丸号に尋ねれば、そこには空っぽのコップが置かれているだけであり、

 

 

『えっ!?とっ!?わわわっ、キャアアア!?』

『リリぃ!?』

『クエーーー!?』

 

 

・・・そんな悲鳴と、何かが倒れ崩れ壊れる音が店の外から聞こえたのはそれと同時であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、一方そのころダンジョンではというと

 

「「「「待てやこらぁ!!」」」」

「┌(∵)⁠┘⁠」

 

 謎のサボテン型モンスターとロキ・ファミリアの追走劇が繰り広げられていた。

 

「ウソでしょ!?全然追い付けない!?」

「速いよ〜〜!」

「良いから走りやがれバカゾネぶげらっ!?」

「ベートさきゃあ!?」

「「レフィーヤ!?よくもレフィーヤを!!」」

「おいこら!」

 

 顔に硬貨の直撃を受けたベートを無視して顔近くを通った硬貨に怯んだレフィーヤの方を心配する姉妹。

 

「速いな。」

「まったくのう。我らでコレか。」

 

 先程から攻撃より逃走を選び始めたサボテン型モンスターを観察しながらフィンは思う。

 

 次々と下の階層へと降りていくモンスターのスピードを考えると・・・そろそろ様子見も終わりにしなければならない。

 

「・・・総員、次の17階層で捕らえるよ!」

「「了解!」」

「「大人しくしろやぁ!」」

「Σ(∵)」

 

 

 スピードを上げたサボテン型モンスターにロキ・ファミリアの第一線級冒険者達もまたスピードを上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クエークエー、クエ。」

「ほう、なんや難しい話しよったから?」

「クエー、クエックエ。」

「外を見よったら蝶々が飛んでいて。」

「クエークエックエー。」

「それを追いかけたらいつの間にか荷物の上に乗っとったと?」

「クエッ。」

「はっはっは~さよか~。」

「クエ~。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ホンマに申し訳ございませんでしたぁ!」

「クエッ!?クエー。」

「アンタも誠心誠意あやまらんかい!」

「クエー!」

 

 

 眼の前で頭を下げる神物と鳥を前に小人族の少女の背中は冷や汗でびっしょりであった。

 

「すまない。ウチの団員が迷惑を掛けた。」

「ごめんなさい。」

「いえいえいえ!?気にしないで下さい!!」

「そ、そうだぜ。」

「・・・お詫びに好きなだけモフっていい。」

「クエッ!?」

「いえ、モフモフは間に合ってますので!」

「おいコラ。」

「これは・・・中々・・・」

「それでいいんですかご店主!?」

 

 倒れた拍子に巻き込んだ露店の店主達や自分に向けて鳥の頭を下げさせながら自身も頭を下げる神物達に顔が引き攣る。

 

 特に今、自分の目の前で謝罪している、ハイエルフに背中は冷や汗でビッシリである。

 只でさえ騒ぎになり野次馬が集まっているのに、自分のような一サポーターに謝罪しないで欲しい。

 

(周りのエルフ達からの視線が凄いですから!?)

 

 周囲の冒険者・・・主にエルフ達からの若干殺気だった視線に背を伝う冷や汗が止まらない。

 

「だが怪我をさせてしまったからなどうか頭を下げさせ・・・」

「本当に大丈夫ですから!?どうかそれだけは勘弁して下さいませんか!?」

 

 周りの冒険者エルフ達がそれぞれの得物に手を掛け始めたのを見て慌てて頭を上げさせた。

 

・・・さもなくば今日このあとにでも、路地裏かダンジョンでサポーターの遺体が一つ転がりかねない。

 

「お、おい早く行こうぜリリ・・・」

「・・・クエッ?」

「ゲッ・・・」

 

 小人族の少女よりも更に小柄な全身をローブに包み隠した、妙にポンポンとした丸いアンテナを付けた人物がそう声を掛ければ、ロキの隣にいた鳥が何故かその声に反応した。

 

「クエ~・・・クエックエ?」

「な、何だよ・・・?あっち行けよ。」

「?クエッ「ほれ、これ以上迷惑かけんなや。」クエー・・・」

 

 ローブを着た少年と覚しき人物の周りをグルグル回っていたチョコボをロキが引き放す。

 

 

「それでは、私達はこれで・・・」

「あ~ホンマ堪忍な。」

「いえ、お気になさらず。」

「本当にすまない。」

「大丈夫ですので。」

「ごめんなさい。」

「いえいえ・・・」

「クエックエ!」

「あ、はい。チョコボさんもお気を付けて・・・」

 

 そうしてサポーターの少女はペコリと頭を下げた後、相方と共にその場を去り・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・待って。」

 

 ガシリ、と荷物をアイズに掴まれ足を止めた。

 

「えっ?な、なんでしょうか・・・?」

「リリ!?」

 

 困惑するリリルカを更にロキとリヴェリアが囲む。

 

「いや~今自分おもろいこと言うたな?」

「は、はい?」

「私達はそんな名前で呼んでない。」

「・・・へ?あっ、いや、でも・・・」

 

 言い逃れようとするリリルカをアイズが論破する。

 

「彼にはジャガ丸号という立派な名前が有る!」

「何でそんな変な名前に!?…あっ」

 

 思わず突っ込みを入れてしまい、不味いと思うも完全に荷物を掴むアイズの表情が険しい物となった。

 

「・・・『変な名前』・・・?」

「落ち着けアイズ。」

「自分『チョコボ』を知っとったし、ジャガ丸号の『気を付けてね!』ちゅー言葉も理解しとったな?・・・ちょーっとウチの所で話聞かせて貰おか?」

 

 自分の迂闊なミスに気付き、薄く開いた目が笑って無い笑顔で近付くロキと、何故か殺気を感じるレベルで怒っているアイズの迫力に動けない。

 

「先ずは・・・」

 

 少女に手を延ばそうとしたアイズに、少女の相方の小柄なローブの人物が仕掛けた。

 

「えいやっ!」

「ッ!?」

 

 死角からの急接近に掴んでいた荷物を離して、小柄なローブの人物から間合いを取るとアイズはとっさにエクスカリバーの柄を握り抜剣・・・

 

「・・・えっ!?」

 

 しかし、手は虚空を掴んだ。

 

 慌てて腰を見ればエクスカリバーが鞘毎喪失していたのだ。

 

「そらよっ!」

「なんや!?」

「クエッ!?」

 

 忽ち周りに煙が立ち上り、アイズ達の視界を奪った。

 

「今の内に逃げるぞ!リリ!」

「ドコにですか!?」

「と、取り敢えずダンジョンに!」

「・・・クエッ?」

 

 煙の向こうから聞こえた声にチョコボが反応した。

 

「えっと・・・あったあった!『ヘイスト薬』!」

「・・・『テンペスト』!」

「「「ぎゃああああああああ!?」」」

「「「店がぁあああああ!?」」」

 

 アイズの魔法により煙(と人や店)ごと辺り一辺を吹き飛ばしたが、ソコには小人族の少女もローブの人物も姿を消していた。

 

「どこ・・・?」

「アイズたん!彼処や!」

 

 ロキの指差す方向には、信じられない速さでダンジョンの入り口に向かう二人組の姿が見えた。

 

「何やあの速さ!?アレがホンマにサポーターか!?」

 

 しかし、アイズはそれどころでは無かった。

 

 逃げ去る二人組の内、ローブの人物の手に有る物──借りたばかりのエクスカリバーを見付けたのだから。

 

「な、何でそんなの持って来てるんですか!?」

「い、いや、レアアイテムぽかったし・・・・・・つい。」

「───絶対逃がさない!」

「「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」」

 

 魔法を使い風を纏ったアイズが、二人組を追ってダンジョンに突入する。

 

「アイズたん!?危ないで!ああもうどないしよか・・・?」

「私が追おう。ジャガ丸号はここでロキと・・・」

 

 そう言いかけたリヴェリアは周りを見渡した。

 

「待て、ジャガ丸号は何処へ行った?」

「・・・へ?」

 

 あの目立つ黄色の鳥がどこにも居ない。先のアイズのエアリアルで吹き飛んだのかと慌てて探すと、

 

「クエー!」

 

 騒然とするダンジョンの入口。

 

 そこに突入して行く黄色い後ろ姿が目に映った。

 

 




アンケートはトンベリが人気ですね!




・・・ベル君のトラウマが増えるなぁ。

貴方が好きなモンスターは?

  • トンベリ種
  • プリン種
  • ベヒーモス種
  • モルボル種
  • 命の番人
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