魔弾の王 ~再臨~   作:塾長ほむほむ

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9話

ーーー『すまないエレン遅くなった!!!!』

 

 

 

緑を基調とした麻織りの服に若干の砂ぼこりと大きな声で息を切らせたティグルがアルサスの屋敷の一室のドアを乱暴に開ける。

 

 

 

ーーーその室内には簡単な調度品と決して大きくはないベッドそこにすやすやと寝ているくすんだ赤い髪と紅玉の瞳をもつ、小さな幼児とその幼児の隣に身体を横たえて白銀の長い髪を三つ編み状に束ね青を基調としたゆったりした服をまとった『エレン』と呼ばれた女性が顔をティグルの方に向けて人差し指を口の前にたてて彼ををたしなめている姿があった。

 

 

 

ーーー『しーー・・・・静かにしないか『ティグル』今『ヴェーテ』がようやく眠ったところなんだ。』

 

 

 

ーーー『す、すまない『エレン』・・・』

 

 

 

そう言ってティグルはすまなそうに部屋に入りドアを優しく閉めてエレンの隣に腰を落ち着ける。

 

 

ーーー『まぁ、構わないぞ。あと10日もすればシレジアに向かうのだからな。『レギン』にもお前と逢瀬を過ごす時間は必要だからな。バタバタしてしまうのもやむなしだ。』

 

 

 

ーーー『そう言ってもらえると助かる。』

 

 

 

ティグルとエレンの間で眠っている幼児こそ2人の間に産まれた子で名前を『ヴェーチェル』と言った。ティグルにはエレンを含め『愛妾』という名目で8人の大事な女性がいるのだが、その8人で1番最初に授かった子供が『ヴェーチェル』だった。

 

 

 

 

 

ーーー『ティグル・・・ヴェーテも寝ているし今なら・・・』

 

 

そう言ってエレンがゆっくりと身体を起こしティグルに顔を向ける。

 

頬を赤らめて口づけをねだるように。そしてそれを理解できないほどティグルはエレンと時間を無為に過ごしてなどいない。

 

 

ーーー『エレン・・・』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーこれは夢か?しかも『前の俺』の?

 

 

 

 

 

ということはこのあとエレンの情熱的な熱い口づけが・・・・そう期待してしまった俺だったがふと、エレンの顔から色が消えて、いつのまに抜き放ったのか『降魔の斬輝(アリファール』)』が俺の口に突っ込まれた。

 

 

 

 

『ふぇ・・・・?』

 

 

 

あまりに唐突すぎて、言葉がでない。

だが、なんとなく前にも同じようなことがあったような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『やっと起きましたか。』

 

 

 

そこで俺は『今の現実に』引き戻されたことを察した。

抑揚に欠けた声と共に俺の口からなにかが引き抜かれる。

 

 

剣だ。

 

 

その剣の持ち主は、艶のない金色の髪をした女性・・・・『リムアリーシャ』だった。

 

 

『・・・・珍しい起こし方だな。』

 

 

『このようなやり方で人を起こしたのははじめてです。』

 

 

 

ーーー俺は2回目だけどな・・・・という言葉を飲み込んで挨拶を試みた。

 

 

『・・・・おはよう』

 

 

 

『あと一刻もすれば昼です。』

 

 

俺は頭をかきながら身体を起こし、リムに気になる事をある意味で気を使いながら聞くことにした。

 

 

『えっと・・・・リムアリーシャさんだっけ?・・・・俺・・・・何か寝ながら変なことを言っていなかったか?』

 

 

 

『・・・・別に何も。そんなことよりどんなに呼んでも叫んでも起きてこないと兵達がいうので、自殺でもはかったのかと思えば・・・・。捕虜の身で、どうして熟睡できるのですか。』

 

 

 

 

 

『特技のひとつなんだ。』

 

 

 

『・・・・もうすこし口を慎まれてはいかがですか?いくら『エレオノーラ』様と親しい間柄であるアレクサンドラ様の『捕虜』とはいえ緊張感がなさすぎます。』

 

 

冷ややかな声に怒りが混じるが、何気ないリムの言葉に『エレン』の名前が出てくる。どうやらここにはいるみたいだ。先ほどの夢のせいか。

 

 

ーーー『エレン』に会いたい

 

 

 

というはやる気持ちをおさえて頬をかく。

 

 

『そんなにだらしなく見えるか?』

 

 

『殺意を覚える程度ですが。・・・・さて、ティグルヴルムド=ヴォルン伯爵・・・我らが主『エレオノーラ』様と貴方をここに連れてきた『アレクサンドラ』様が貴方を呼んでおります。ついてきてください。』

 

 

そう言われて俺は急いで革靴をはきリムの後についていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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