魔弾の王 ~再臨~   作:塾長ほむほむ

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11話

3、40人ほどの武装した兵士に混じって俺の黒弓を持ったサーシャとあの時と同じ厚手のマントを羽織った捕虜の姿とそして・・・・『前の俺』が最初に愛を交わしあい、夫婦になってくれた少女の姿があった。

 

 

 

ーーー銀色の髪と紅の瞳、『前の俺』が知り合ったばかりの小さくくぼんだへそを出した軍衣的なミニスカート姿ではなく、白を基調とした厚手のゆったりとした服に長いスカート。さらに外套を肩から羽織り『右手に杖』をついてたっており腰には『降魔の斬輝』を帯びている。『杖をついている』こと以外は俺のよく知る『エレン』に相違なかった。

 

 

 

 

 

ーーーようやく会えた・・・でも・・・・やはりそういう事だったのか。

 

 

 

『少しでもおかしな動きをすれば・・・・わかっていますね?』

 

 

 

見せつけるように、リムは自身の腰に差している剣の鞘を鳴らす。

あからさまな敵意ではあったが、俺は目の前のエレンに会えたことと『俺』の知っているエレンとの違いに現実感がわかず、『嫌な予感』が当たってしまっていたこともあってか、まったく気にしていなかった。

 

 

ーーーだが、いつまでも嘆いていても仕方がない。俺の今の状況では『エレン』とは初対面なのだから。

 

 

 

 

 

『・・・・来たか。』

 

 

 

俺とリムに気づいたエレンは、サーシャと共に杖を使いながらゆっくりとこちらに歩いてくる。

 

 

『ご苦労だった。しかし随分時間がかかったな。サーシャがいてくれたからそれほど苦痛ではなかったが。』

 

 

 

『申し訳ございませんエレオノーラ様、アレクサンドラ様、この男がなかなか起きなかったもので。』

 

 

『起きなかったってどういう事だい?』

 

 

リムの言葉に、エレンとサーシャは同時にくびをかしげた。そこでリムが、剣を口にいれてやっと目を覚ましたという話を聞いてエレンは『あの時』のようにうつむいて肩を震わせて忍び笑いをしサーシャはあきれた顔を俺に向けて、

 

 

 

『捕虜の身で熟睡だなんて・・・・さすがの僕も言葉がないなぁ・・・・。』

 

 

『・・・くくっ・・・見かけによらずずいぶんと肝が据わってるようだな。』

 

 

 

『にぶいだけでしょう。』

 

 

ようやく笑いをおさめたエレンが俺に向き直る。なんとなくだが、立っているだけでも辛そうに見える。だが、あくまでも俺はそういうのはおくびにも出さず、エレンを見据える。

 

 

 

『・・・ティグルヴルムド=ヴォルン、だったな。ブリューヌ人にしては長い名前だが、何か由来でもあるのか?』

 

 

 

 

 

 

『先祖の名前をいただいたものだが、公式の場以外では『ティグル』と呼んでもらってかまわない。ヴォルン伯爵と呼ばれるのも個人的には好きじゃないんでね。』

 

 

 

これに最初に反応したのは、エレンではなく微笑をたたえたサーシャだった。

 

 

 

『じゃあ君の事は『ティグル』って呼ばせてもらうね!礼儀の大切さは知っているけれど、ざっくばらんな言葉の方が好きなんだよね僕。というわけで僕の事は『サーシャ』って呼んでくれると嬉しいな!』

 

 

『なっ?ずるいぞサーシャ!なら、『ティグル』私のことも『エレン』でいいぞ!私もこの方がなれているからな!』

 

 

 

 

『久しぶりに』見たエレンの年相応の少女らしい表情とサーシャの年齢よりも幼い印象のある表情に俺は顔が緩むのをおさえるのに必死だった。ここで緩みきってしまえば、リムをはじめとした、兵士達に何をされるかわかったものではないからだが。

 

 

 

『エレオノーラ様、アレクサンドラ様まで・・・・。』

 

 

リムが2人をとがめるような声をあげたが、

 

『ティグルは僕の捕虜だからね。僕がエレンとティグルに許可しているのだから問題ないさ。』

 

 

とサーシャが言えば、

 

 

『そういうことだリム。サーシャがこういっているんだ。このぐらいはいいだろうリム。なんならお前も『ティグル』と呼んでみてはどうだ?』

 

 

 

そう言われたリムは俺を一瞬だけ鋭い目で見やってからエレンに顔を向けた。

 

 

 

『・・・・エレオノーラ様。半刻より短くなっても私は一向にかまわないんですが?』

 

 

 

『う・・・・わかったわかった。』

 

 

エレンは苦笑して手をふると、サーシャがゆっくりと口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

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