魔弾の王 ~再臨~   作:塾長ほむほむ

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13話

ーーー俺の300アルシン前に秀麗な顔だちに、『前の俺』からすると懐かしさをも感じるつややかな黒髪を肩まで伸ばした優男・・・・『ルーリック』が嘲りの笑みを浮かべて弓を構えて立っている。

その10アルシン横に的が置いてある。

 

 

 

俺が出した『提案』は、『ルーリック』が俺に向けて射る矢を弓矢で持って撃ち落とし、そのあと的にあらためて矢を射ることを行い、もしできなければ、身代金が用意できるかどうかに関わらず、無条件で俺が『サーシャ』の物となり部下となること。当然だが『サーシャ』の許可があれば『エレン』をはじめ『ライトメリッツ』のためにも馬車馬のように派遣されるということでもある。できたなら『レギン』の先ほどの言葉を『前向きに検討』する事を条件としたものだった。

 

 

 

当たり前だが、エレンもサーシャも喜色満面の笑みを隠さずに何度となく本当にそんな事をやるのかと聞いてきたし、レギンには涙声で他の手段を考えますからやめてくださいと懇願されたが、確かな勝算があって俺はこの場に立っている。『前の俺』はある戦場にて相手の長弓から放たれた矢を撃ち落とした経験がある。実戦と訓練ではかかる重圧は違うが問題はないハズだ。

 

 

 

ーーー与えられた弓はジスタートの一般的な訓練用のもので『前の俺』の時のような粗末なものを与えられるということはなかった。与えられた矢は4本で、ルーリックも同じ弓で4本の弓矢を持っている。

つまり俺が全ての矢を射尽くした段階で成功させなければならない。

 

 

 

『用意はいいか2人とも?』

 

 

 

エレンの声に俺とルーリックは無言でうなずいた。

 

 

『では・・・・はじめ!』

 

 

 

 

 

俺は矢をつがえルーリックの射るタイミングを待つ。実戦であれば、先に射ることを考えるべきだが今回に限ってはルーリックが射ってこなければ『撃ち落とし』にはならない。

集中力を切らさないようにその時を待つ。

 

 

 

そこから9つ程を数えた時だったろうか、ルーリックがついに第1射を放った。

 

 

ーーー俺は集中力を高め『そこ』を狙う!

 

 

 

 

ーーーバァン!!!!

 

 

 

 

『なっ!?』

 

 

 

俺は撃ち落とした事を確信し、本当に撃ち落とされたルーリックが驚嘆の声をあげて呆然としている間に、第2射を放ち的のまん中に命中させた。俺にとっては実にあっさりだったが勝利条件を満たした。

 

そのままエレン達の方へと向かって歩きだす。リムや、レギンをはじめ周囲の兵士たちも言葉がないようだ。俺からしたらそんなに難しい事をやったつもりはなかったが、やはり一般的な弓使いにとっては唖然とする結果らしい。

 

 

『・・・一応聞くがもう一回やった方がいいか?』

 

 

 

俺はエレンとサーシャのそばまで近づいてからそう聞くと

 

 

 

『・・これで充分だ。これ以上は嫌味にしかならない。』

 

 

銀色の髪を静かに揺らして、エレンは首を横にふる。

 

 

『ねぇエレン・・・・僕・・・・夢でも見てるのかな?』

 

 

『・・・安心しろサーシャ現実だ。』

 

 

サーシャとエレンが何か話していたが、突然俺の胸に飛び込んできた声に意識を持っていかれた。

 

 

『ティグルヴルムド卿!』

 

 

『レグナス王子・・・・』

 

 

『あなたは・・本当に凄い方です。あなたのおかげで少しは前に進めるのかもしれません。でも2度と、飛んできた弓矢を矢で撃ち落とすなんて無茶な真似はしないでください!それと話し方も戦姫の2人にしているようにしてほしいですし、私のことは当面の間『レギン』と呼んでください。『レグナス』の名はあの会戦で捨てたので。』

 

 

 

『・・わ、わかった『レギン』・・これでいいか?』

 

 

『ええ。』

 

 

ーーーレギンも『前の俺』の妻のひとりだった事もあってか、ティッタの時同様に彼女の匂いが俺の『アレ』を急速に高めていく。なんとか離れることはできたが、ふとエレン達を見ると。

 

 

エレンとサーシャがさらに何かを話していたのはわかったがなぜかじゃなくても2人の顔が、どこかの戦姫のように冷たい凍気を帯びているように俺には見えたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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