精神的要因とリアルTIME事情が噛み合わないとこんなに更新できないのか・・・・(戦慄)
「・・・わかっている。私の事は私が1番理解しているからな。」
「だが、いま俺についてきている兵士達は元々はエレンから借りている兵士だ。名目上はどうあれ君が後ろに控えてくれているだけでも兵士達の士気があがるだろう。総指揮官たるレギンを守りながら・・・という条件はつくが、共に戦ってもらえないか?」
「ティ・・ティグルヴルムド卿なにを言って・・・・」
俺の言葉にリムが反論の言葉を俺に向けようとする。リムからすれば当然だ。おそらく俺がエレンに共に戦おうなどと言葉をかけるとは思わなかったんだろう。
しかし、エレンの性格や行動指針を考えれば無理やりライトメリッツに帰らせたりするよりも『役割』を与えて居場所をある程度把握できるようにした方がいいと思っている。戦場に来てしまった以上はどこにいても少なからず疲弊してしまうのだから。
それにここ数日に思い出した事だが、『前の俺の記憶』で、アルサス到着早々に俺の屋敷のバルコニーで『黒い弓』を持っていたティッタがザイアンに乱暴されそうになっていた場面に遭遇した。発見した俺が駆けつけて事なきを得たハズだ。
だが、今回は『黒い弓』はこちらにあるし状況が違うしティッタがいまどこにいるのかわからない。まずは住人を救助しながら俺の屋敷を目指すことに変わりはないのだが。
その時に少なからずエレンに助けてもらってもいる。エレンを必要以上に疲弊させたくはないが、何が起こるかわからないのだから来てしまったのならば可能な限り協力してもらうべきだ。
「リムもわかっているだろうが・・・兵数が向こうよりこちらが圧倒的に少ないんだ。言い方は悪いが、兵を遊ばせておけるほどこちらに余裕はないんだ。『個人』の事情を考慮するにも限度がある。そういったことを理解した上でエレンはここにいると思っている。だから一軍の将として宛にさせてもらいたんだ。」
「ほぅ・・・ティグルよく言った。もしお前までが私に『さっさとライトメリッツに戻れ』などと言ってきたらどうしようかと思っていたが・・・そういう役割があるならば私は黙ってレギンを死守する役目をまっとうしてやるぞ。」
「頼む」
「・・・はぁ・・・エレオノーラ様・・・この戦が終わったら強制的にベッドに縛りつけてでも長期の休養をとってもらいますからね。」
「・・わかったわかった。」
俺の正論にリムも最後にはエレンの参戦を承諾してくれたようだ。言葉の後半部分は聞かなかったことにしたが、
「えっと・・・ティグルヴルムド卿・・・それでは私はエレオノーラ様と一緒に本陣にいればいいのでしょうか?」
とこれはそれまで静かに状況を見守っていたレギンである。もちろん戦場のため、レグナス皇子仕様となっている。
また、軍旗に関してはジスタート王国の『黒竜旗(ジルニトラ)』しかないため現在は『黒竜旗』のみを掲げている。アルサスに到着した際に俺の屋敷にあるハズの『紅馬旗』も回収し掲げる予定だ。
「・・・いえ、アルサスに入ってから俺の屋敷に到着するまでは危険を承知ではありますが俺と共に行動してもらう予定でいます。」
「という事は『レギン』のいや、『レグナス皇子』の守護者として私もついていけるワケだな。」
「ああ。ただ、戦場の流れ次第では予定を変更して俺やリムと別行動をとってもらう場合もあるからその時エレンには『レグナス皇子』を優先してもらうよ。」
「わかった。ではティグル・・・これをお前に渡しておく。」
そういってエレンがどこか嬉しそうな笑顔で『黒い弓』を俺に差し出してくる。
俺はそれを受け取りながら怪訝な表情を意識してエレンに問う。本当は聞くまでもないことだが、何も知らないリムとレギンに配慮してだ。
「・・・・いいのかこれを俺に返してしまって?」
「元々サーシャも了承していたことだ問題ないだろう。今更お前が私達を裏切るなどありえないからな。」
「・・・・ありがとうエレン」
俺は黒弓をいつも通り背負う。するとリムが俺をみてこう言った。
「ティグルヴルムド卿・・明日にはアルサスに到着できるでしょう。まもなく戻ってくるであろう斥候からは私が話を聞いて明日の出発の時にお伝えしますのでそろそろおやすみになっては?」
『前の俺』であれば現状のアルサスについての情報は少しでも早く得たいという気持ちからリムの言葉をやんわりことわって起きていただろう。だが、さまざまな経験をしているハズの俺にはまだ気持ちに余裕もある。
ここはありがたくそれを受ける事にした。