ーーー「・・・・ティグル・・・エレンさんとリムアリーシャさんを寝室に寝かせてきた。」
抑揚のあまりない声でそういいながらドアを開けて近づいてきた少女は、テーブルの上を片付けているティグルに向かってそう言った。
年は19、20に届こうかというあたり、肩ほどまで伸びた薄紅色の髪と艶のない黒真珠を思わせる大きな瞳。顔の輪郭も成長と共に整って美しい。
少しだけ無表情でぼんやりとした印象はあるが愛嬌もある。
ーーー「・・・ああ。『オルガ』すまないありがとう。」
ーーー「ティグル・・・・わたしも手伝う。」
ーーー「いや、俺だけで大丈夫だ。それに珍しく酒に呑まれていたエレン達の話し相手になってくれていただろう?椅子に座って休んでていいよ。」
ティグルはオルガを気遣いそう言ったのだが当の彼女は椅子に座らず自然な動きでテーブルを布巾でふきはじめた。
ーーー「大丈夫。その代わり片付けが終わったら話したいことがあるからわたしの部屋に来てほしい。」
ーーー「かまわない。なら片付けを終わらせるか。」
ティグルがそう言うと2人は無言でテーブルや台所、使った食器などを分担して綺麗にしていく。
本来ならばこういったことは『王』であるティグルや『戦姫』であるオルガではなくティッタのような侍女に当たる人間がやるのだが、『視察』という名目で王宮から外出しており今この場にはティグル、エレン、リム、オルガの4人しかおらずそのうちの2人はすでに酔いつぶれて眠ってしまっているため自分たちで行わなければならないのだ。
なお、愛妾達のうちエレン、リム、ソフィー、ミラは既にティグルとの間に子供を設けており今回のように子供を連れていけない場合もある。
その場合は基本的にシレジアに子供達を預ける形をとりティッタとなぜか生まれてきた子供達にこどごとく好かれているリーザに世話を任せているためこの場にはいない。
片付けを終えた2人はオルガにあてがわれている部屋に入るなり座りこんだベッドから毛布を持ち出した少女がそれをティグルに渡して言った。
ーーー「『あのとき』のようにわたしを後ろから抱きしめてほしい。話はそれから。」
ーーー「・・・わかった。」
オルガが何を求めているのかをなんとなく察したティグルもベッドに座り成長した少女の後ろに回り込んで密着して毛布を自分達にかける。
ーーー「オルガ・・・これでいいか?」
そうティグルが訪ねるとオルガは無言で毛布の中でティグルの両手を自らの太腿とへその前にそれぞれ廻させた。
しばらく2人はそのまま熱を求めるような形で黙ったままだった。
ティグルが何度か話しかけようとしたがたくみにオルガがお尻の位置をティグルの下腹部に擦り合わせるかのような動きをして黙らせようとしてくるのだ。