女の子だらけの職場で俺がヒロインなのは間違っている 作:通りすがりの魔術師
本編久しぶりに更新したらお気に入りめっちゃ外されてて凹んだんじゃー
まぁ、こっちはそうならないようにしたけどこっちも危ういんだよな…
デートというのは男と女が待ち合わせをして遊びに行くことらしく、別に付き合っていようがいまいが関係ないらしい。辞書とかにそういう記載は載ってないから関係ないんだろう。
だったら、付き合ってるカップルの行くデートとはなんなのだろうか。そんなことを考えながら、待ち合わせの噴水広場につく。集合時間の10分前に着いてしまった。
相手がうみこさんだからもう少し後早い方がいいと思ったが、結局この時間になってしまった。まぁ、遅れるよりはマシだろう。
「で、うみこさんはと」
辺りを見回してみたがその姿は確認出来ない。スマホを開いてみるが1時間前に来た『起きてますか?』以降何も連絡は来ていない。待ってれば来るだろうと近くにあった木に持たれていると背後から人の気配を感じた。まさかと思い大袈裟に振り返ってバックステップをとるとそこにはやはり奴がいた。
「…ホントに気付くのが早いですね」
「普通に出てきてくれませんかねうみこさん」
予想通りすぎたのか困ったような顔を浮かべたうみこさんは隠れていた木から出てくる。
「いつからそこに?」
「八幡が来る5分くらい前ですかね」
俺よりステルス能力高いんじゃないだろうか。
「てか、普通に待っててくださいよ」
「それではなにか面白くないので」
「ただの待ち合わせに面白さいります?」
「ないよりはいいと思いますが」
いや、でもなぁ…まぁ、うみこさんがいるって言ってるんだしいるのだろうか。けど、俺がしたら「何してるんですか」とかゴミを見るような目で言ってきそうなんだが。
「そんなことは置いておいて行きましょうか。時間は有限ですし」
その時間をくだらない待ち伏せに使ったのは誰なんですかね。そう思いながらうみこさんの横に並ぶようにして歩き始めた。
「先日話した通りまずは服を買いに行きます」
「その次に雑貨屋行って飯でしたっけ」
「はい」
今まで異性との交遊が少なく、デートというものがどういうものなのか分からなかったうみこさんと俺はとりあえず服買って適当にぶらついて飯食えばカップルっぽくなるという結論を出して今こうしてショッピングモールへの中へと入る。
「服のフロアは…2フロアもありますね」
「とりあえず、2階から見ていきましょうか」
「そうですね」
入り口ある案内を見て、エスカレーターに乗る。1階はアクセサリーや時計などを取り扱い、2階と3階がファッションのフロアに当たったのでそちらに向かう。2階が女性で3階が男性とキッズ向けの服を置いてるらしい。
「うみこさんって普段ユニセックスな服ばかりですよね」
「えぇ、女性向けにデザインされたものはあまり似合わないので」
適当に服屋の前をうろつきながらそんな会話をする。うみこさんならスタイルいいし何でも似合うと思うんだが、本人はそうは思ってないらしい。
「そう言う比企谷さ…八幡も基本的には黒い服しか着ませんよね」
「…そうっすね」
別に言い直さなくても良かったのにな。
それと俺が基本的に黒系なのは、シャツは白か灰色なんだが、上着はどうしても黒になってしまう。持ってるのが黒系統しかないからというのもあるが。
「暗色系の方が着てて落ち着くというか、自分にあってる気がするので」
「確かに八幡はその方がいいかもしれませんね…でも、緑とかもいいんじゃないですか?」
「緑か。まぁ、考えときます」
今はうみこさんの服選びのはずが何故か俺の話になっていたので話題を変えようと「何か気になった服とかないんですか」と聞いてみる。
「そうですね。私はありませんでしたが…」
が?と含みのある言い方が気になり、うみこさんの方を見るとちょうど目が合う。
「八幡は何かありましたか?私に着てみてほしい服とか」
「……うみこさんってそういうキャラでしたっけ」
「いえ、彼女というものは彼氏に選んでもらった服を着てみたいものだとインターネットで見たもので」
なるほど、にしても一瞬ドキッとしてしまった。うみこさんに着てみてほしい服か。何故だろうかグリーンベレーの服とかサバイバル仕様の服しか出てこないな。でも、他にあるとしたら。ジーパンに落ち着きのある青のロングTシャツ。うみこさんは基本的にこのスタイルでロングTシャツの色が変わるくらいで下の方にはあまり変化がない。
「うみこさんってスカートとか履かないんですか?」
「自分からはあまり。学校の制服が最後ですかね」
やっぱりか。といっても、うみこさんがスカートを履く姿を想像できない。長い髪で褐色肌に合いそうな服か。
「あれなんてどうです?」
と、俺が指さした先にあるのはマネキンが被った麦わら帽子と純白のワンピース。それを見たうみこさんは少し考える仕草をとるとショーケースの前まで歩く。
「…八幡はこういうのが好きなんですか?」
「いや、なんとなくうみこさんに似合うと思ったからなんですけど」
白と黒というのは定番だと思うのだが。うみこさんはあまり気に入らないらしく、俺と服と自分を見比べていた。
嫌なら無理しなくてもいいですよと口にしようとした時、うみこさんは店内へと入り店員さんに話しかけると店員さんは嬉嬉として更衣室へと連れていく。
特に何も言われてない俺は外で待つしかなく、男一人でこんなショーケースの前にいると変な目で見られると思ったので通路側に移動する。
時計を見ると、まだ昼までには時間があるが日曜日ということを考えるとここを出てから席取りをしないとピークに巻き込まれるな。さて、どこの店で食べようかと考えていると携帯が音を立てて震えた。うみこさんと偽恋(偽の恋人同盟の略)してからよく鳴るようになったし、触るようになったなと思いつつ電話に出る。
「もしもし?」
『…今どこですか』
「店の外ですけど」
『なんで外にいるんですか』
なんでちょっと怒ってんだこの人。
うみこさんが先に行ったからと言おうとしたら先読みされたのか、
『言い訳は聞きません。早く来てください』
と言われてしまったので店の中に入る。どこですかと聞くと、右から2番目と言われたのでそこで待つ。とカーテンが開かれる。
「ど、どうでしょうか…」
赤いテープのようなものがチャームポイントの麦わら帽子に全体的にレースの多い純白のワンピースを纏ったその人は珍しく顔を赤らめ俺にそう尋ねてきた。
「ど、どうって…」
想像の数倍は似合っている。真っ直ぐに降ろされた茶色の長い髪に沖縄県民特有と思われるよく焼けた肌が白との対比になっており美しく見える。さらに健康的な二の腕やふくらはぎやしなやかな指先、そして意外にも膨らんでいる胸元。
「あ、ああ…、その、いいんじゃないですかね」
それらを頭の中では言葉に出来ても口には出るのは曖昧なもので、ホントに俺ってヘタレなんだなと自覚させられる。
「いい?とは具体的にどのような…」
「へぇっ!?……そうっすね…あの、肌が綺麗というかベストプロポーションというか…そういう顔もするんだなとか」
「…もう結構です」
勢いよく閉められたカーテンの外で俺はひとりぼっち。カーテンがなくてもひとりぼっちとか言わない。途中から俺何言ってるかわかんなかったが伝わっただろうか。と、少し心配になっているとカーテン越しにうみこさんがなにか呟いた。
「……あ、……ありがとうございます」
声音からはいつもの力強い印象ではなく、とても女の子らしい。ごにょごにょとそういうところも珍しいし、さっきもほんのりと赤くした頬を見るに恥ずかしかったのだろうか。
昼飯代は俺が出すか。焼肉奢ってもらったし。そう決めると、中から着替え終えたうみこさんがさっきのワンピースを畳んで持って出てくる。
「……」
「……」
お互い会話はなく、これからどうしようかなんて言葉も出てこない。どうしてか気まずいという感情が先行してくる。
やはり人間不慣れなことをしない方がいいなと思い、頭をかくと左の袖口がキュッと掴まれる。見ればうみこさんが俯きながら俺の袖を握っていた。
「……恋人が服を選ぶという話には続きがあって、選んでもらった本人ではなく、選んだ方が買うという習わしがあるそうです」
なるほど、そんな習わしがあるのか。知らなかったぜ。勉強不足だな俺も。
習わしには逆らわないのが吉だ。クリスマスやらバレンタインデーに関しては異国の文化なので省くが正月や節分などのイベントはしっかりしておくのが日本人としての務め。それにうみこさんが言うことだ。間違っていようがなかろうが、この人は嘘をつかない。でも、もしこれが嘘だとしても。今の俺は許せてしまった。
「…じゃ、服と帽子、渡してもらえますか」
「……はい」
本当のカップルがどういうデートをして、どんな顔をしてどんな風に楽しむかは知らないし、興味が無い。
ただ、こんなかりそめのカップルでもこんな風に恥ずかしく愛おしく楽しめるのなら本当の愛を持つカップルはもっと楽しいのかもしれない。それが少しだけ羨ましくなって、俺は服を持ってレジに向かった。
どうでもいいかもしれませんが作者が初めて女子と遊んだ時、ショッピングモールで女の子の服を選んでて『休もうか』と女の子に提案されたので適当に腰掛けたベンチの目の前が下着屋だったことを未だに覚えています。それに相手は気付かずスマホを見ていたのでわざわざ『目の前下着屋なんですけど…買うの?(困惑)』と送ったかツイートして『ご、ごめん!』と顔を赤らめて移動しました。ほんと、俺のデートって言える思い出あるのその子くらい。
また、折があれば話しますね。興味ない方は『興味ないね』って言いながら評価6以上しといてください(クズ)