女の子だらけの職場で俺がヒロインなのは間違っている 作:通りすがりの魔術師
何事も始まりが大事というように、俺とうみこさんの初デートは成功に終わったと言っていい。うみこさんの服を見繕った後、早めの昼食をたべた。ショッピングモール内にある本格派ハンバーガー屋で、日本のハンバーガーと違い肉が厚くベーコンやトマトも挟まれたまさに本場のハンバーガーそのものだった。……まぁ、俺は食べたことないから分からなかったが。店のメニューにそう書いてあったし多分合ってると思う。
食後に俺の服も見繕ってもらい、お互いに手荷物が出来たところでその日は解散となった。ちなみに俺が買ってもらった服は緑のチェック柄の上着だが、これが以外に温度調節にもってこいの服だったりしたので重宝してる。
「ねぇ、はっちーその服どこで買ったの?」
重宝しすぎて会社でも着てる。それをたまたま通りかかった、というよりは涼風に用があって来たのであろう桜が尋ねてきた。
「あ、ほんとだ。いつもの黒いのと違う」
桜の言葉に涼風も反応する。お前らどんだけ人の服見てんだよ。もしかして俺の着てる服って黒服しかなかったイメージ?一応、白とか青も持ってるんだがな。
「この前休みの時に買ったんだよ」
「へぇーそうなんだ。珍しいね、八幡が服買うなんて」
そう珍しいことではない。昔のコートが着れなくなったり、千葉関連のご当地Tシャツがあれば買ってるし、この前もあたらしく下着を買い直したところだ。
感嘆の声を上げる涼風に対して桜は眉をひそめて唸ると「あっ」と突然声を出す。
「どうしたのねねっち?」
「あ、いや、うん、なんでもないよ」
「…ほんとに?」
「ほ、ほんとだよ!」
あからさまに何かあるな。完全に右上見てるし。嘘ついてる証拠だって脳科学者が言ってたぞ。涼風に迫られる桜は俺の方をチラチラ見てくる。そんな助けを求められてもな、と困っていると桜は観念したのかやっと口を開く。
「いや、実はうみこさんに小町ちゃんにはっちーの予定聞くように頼まれたなーって」
その瞬間、涼風の目線が桜から俺に移動した。
「どういうこと?」
俺はすっと目線を逸らすとわざとらしく時計を指差す。
「あ、もう5時だ!帰らないと!」
「まだ1時だよ」
帰ろうとしたが回り込まれてしまった!
「ただいまー!って青葉ちゃんと八幡何してんの?」
「ほんまやそんなとこで通せんぼして」
「け、喧嘩…?」
しかも、昼食で外に行っていたメンバーが帰ってきた。ますます逃げられないし、そもそも昼休みが終わるってのにどこに逃げればいいのだろうか。仕方なく、桜に目で助けを求めた。これでなんとかしてくれればアイスでも奢ってやるから。頼む。
「いやーあのこれは…あ!昼休みがおわる!そろそろ戻らなきゃ!」
そう言って助けてくれるのかと思えばすぐさま退散した桜。あいつこの後絶対泣かす。そう決心したが涼風に詰め寄られてしまう。
「ねぇ、うみこさんに予定聞かれてどうしたの?」
「……特には」
「なんの騒ぎですかこれは」
また目線を逸らして逃げようとした先には腕を組んだうみこさんが立っていた。緑のTシャツにジーズンといつものスタイルだ。救世主よ!と思ったが下手したら話が余計に拗れるのでは?と心配してしまう。
「うみこさん、なんで小町ちゃんに八幡の予定聞いたんですか?」
青葉ちゃんストレートすぎぃ!ほら、ひふみ先輩とかはじめさんも「どういうこと?」みたいな顔してるし。聞かれたうみこさんは「あまり言いたくはなかったのですが」とため息をつくと俺の方を指さした。
「ただ今八幡と付き合わせて貰ってるからです」
この人は包み隠さずに言ったなおい。いや、色々と抜けてる部分あるよ?ほら、お母さんを安心させるために俺と結婚を前提に付き合ってることにしてるっていうワードが抜けてるよ。そんなことが通じることなく、うみこさんは髪をくるくる指で回しながら少し照れくさそうな表情をしていた。
対してそう告げられた涼風は口をポカンとあけながら、また俺の方を向く。
「ほ、ほんと…?」
それに俺は天井を向きながら答えた。
「……一応な」
「そっか…」
そう言うと涼風は笑顔を浮かべて俺とうみこさんに「おめでとうございます!」と祝辞を述べて席につく。これ以上は何も聞くつもりは無いということだろう。ゆんさんやはじめさんも「おめでとさん」「お、おめでとう〜」とぎこちない笑顔で祝福する。
ひふみ先輩はあわわとした後、口ごもりながら「お、おめでとうございましゅ!」と大きく頭を下げた。
それに「ありがとうございます」と返すうみこさん。そして、俺は彼女たちのぎこちない笑顔と言葉の正体を見破ろうとしていた。
「…補足ですが付き合ってると言っても一時的なものです」
見破ろうとしていたところでそう言い残して去っていったうみこさんのせいで俺達キャラクターデザイン班は残業をすることになった。主にどういうことかと追及してきた涼風達のおかげで。その後「なんだそういうことか」と安堵の笑みを浮かべた彼女たちから頑張ってねとエールを貰ったが、どうにも俺は落ち着かなかったのであった。
釈然としないことに最後まで残業したのは俺だけだった。
あと何話で方を付けたらいいのか分からない件について
あと3話くらいで終わらせたいなぁ
他の子も書きたいし。