女の子だらけの職場で俺がヒロインなのは間違っている   作:通りすがりの魔術師

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いちいち投稿話数決めるのめんどくせー!
エイプリルフールだからって変な企画はやります(大嘘)
今日は友人達と遊ぶので予約投稿するので初投稿です(大嘘)



唐突に比企谷八幡は願ってしまった。

 

 

せせらぎの音に誘われるようにして涼しい風が吹き抜ける。降り注ぐ木漏れ日が気持ちいい。

上を見れば木。周りを見れば木。下を見れば黒々とした蟻たちと土。少し歩いて下方を見やれば澄んだ色をした透明の水が流れる川がある。

そう、ここは森である。さっきからチチチッと様々な鳥が飛んでいる。蝉はまだいないらしい。むしろいなくてホッとした。

 

 

さて、俺はどうしてこんな森の中にいるのか。迷ったわけではない。ここで待つように言われたからである。誰にって?そりゃ一緒に来た人だよ。俺がこんな森の中に1人で来るわけがない。

いつまで待てばいいのかと時計を見ていると、脇の小道からざっと足音が聞こえた。気配のあるほうを見やれば、麦わら帽子を被り薄手の長袖と長ズボンを着たうみこさんがバスケットとレジャーシートを持ってこちらにやってきた。

 

 

「それ持ってくるなら持ちましたよ」

 

 

声をかけるとうみこさんは首を振った。

 

 

「いえ、これくらいは大丈夫です…。あそこの日陰に行きましょう」

 

 

言われて川の近くにある木陰にうみこさんはレジャーシートを敷く。その間俺は手渡されたバスケットを持ってたわけだが。

 

 

「今日の予定ってピクニックでしたっけ」

 

 

森に来て木陰でレジャーシートを敷いてバスケットを持っていれば、恋愛経験及び友達と遊んだことが限りなく少ない俺でも察せれた。てか、ピクニックくらいは家族でしたことある。

 

 

「山だと途中からサバイバルに突入する可能性があったので森にしました」

 

 

理由が意味不明すぎる。森も山も樹海なことに変わりないしどちらにせよサバイバルはしないだろ。と、思ったらうみこさんは何か周りを警戒すると俺からバスケットを受け取りレジャーシートの上に置く。

 

 

「どうやら、敵はいないようです。今のうちに食べましょう」

 

 

こんな所に敵なんていねぇよ。そういう顔が出ていたのだろう。うみこさんは人差し指を立てる。

 

 

「いついかなる状況に対処できるようにするのは社会人の基本です。それにここに熊が現れる可能性も考慮すれば自然な行動です」

 

 

後者はまだ納得できたが前者は社会人というより軍人とかそっちに入るのでは。まぁ、確かに災害時とかに備えることは大切ではあるが。

 

 

「まぁ、そんなことは置いておいて早く食べましょう」

 

 

テキパキとバスケットを開けると中から出てきたのはサランラップに包まれたおにぎり、プラスチック箱に入ったサンドイッチ、お弁当箱に入った唐揚げ、卵焼き、プチトマト、ポテトサラダ、なんか緑のヤツ。野菜炒めかな?と見てるとうみこさんが答えてくれた。

 

 

「ゴーヤチャンプルです」

 

 

「へぇ、ゴーヤチャンプルってこんなのなんですね」

 

 

でも、ゴーヤどこだこれ。人参とピーマンとミンチしか見当たらないんだけど。

 

 

「あぁ、ゴーヤはとても小さく細切りにしてあります。こちらの方が食べやすいと思いましたので」

 

 

すげぇ気配りがきいてる。ゴーヤは苦いっていうし初めて食べる俺にとってはありがたいことだ。

 

 

「これ全部うみこさんが作ったんですか?」

 

 

「そのセリフは私がこれを開けた時に言うことだと思うのですが…。そうです、私が作りました」

 

 

すみません気が利かなくて。しかし、大したものだ。入れ物こそはバラバラだが配置によってカラフルに見せることによって食欲をそそられるし栄養バランスも考えられているように見える。やっぱりうみこさん俺じゃない人でもいけたんじゃないですかね。

 

 

「じゃ、そろそろいただきましょうか」

 

 

「ですね」

 

 

2人で手を合わせて食事の前の挨拶をすると、割り箸の袋を開けてパキッと割る。音が悲痛だったわりにうまく割れた。ほんと、これコツとかあるらしいけどあんまり関係ない気がする。

 

 

まずはと。どうでもいいけど食事の際は野菜から食べるといいとか聞いたな。脂肪の吸収がどうとか、塩分がどうとか。まぁ、興味ないからほんとにどうでもいい話だけど。

しかし、沖縄出身の人が作った郷土料理だし先に食べなくては損だろう。

 

 

口内に箸で運び、歯でゆっくり咀嚼する。うん、ソースで薄くもなく濃くもなく味付けがされていていい感じだ。食感も悪くは無い。人参とピーマンのシャキシャキ感とミンチのジューシーさがたまらない。ところでゴーヤはどこだ。3口くらい続けて食べてるけどどこにもいない気がする。

 

 

「どうでしょうか?」

 

 

「今まで食べた中で1番美味しいですね」

 

 

ゴーヤチャンプルーは生まれて初めて食べたので比べる対象がないから1番美味いと思う。だから何も間違えてはいない。強いて間違えたところを言うなら言葉のチョイスをミスったくらいか。今まで1度も食べたことないものを美味しく食べれたらそれが1番にランクインするに決まってる。トモコレでも適当になんか上げたら好物になるし。

 

 

「そ、そうですか。あ、ありがとうございます」

 

 

お礼を言われることじゃない。むしろこっちが言わなくてはいけないレベルだ。だが、もしどこかの店で頼んだゴーヤチャンプルーより美味かったら怒ってまた作ってもらうかもしれないな。多分、ないだろうが。

 

 

「どうしたんですか八幡」

 

 

「いや、なんでもないですよ」

 

 

手が止まっていた俺にうみこさんが尋ねきたので俺は首を振った。

あと数週間もすれば俺とうみこさんのこの関係は終わりを迎えるのだ。今こうしているのもうみこさんの母親を喜ばせる演技をするためなのだ。いうなればこれはお互いの恋愛予行練習というやつだ。

 

 

「あ、この卵焼き牛乳入れてるんですね」

 

 

「はい、その方がまろやかになると母から教わりましたので」

 

 

俺の呟きにうみこさんは嬉嬉として答える。おにぎりを頬張ると中からは鮭が出てくる。他のはおかかと梅干しと定番の具だ。サンドイッチはベーコンとキャベツ、エッグやレタスの入ったもの。そして、トマトが入っているものはなかった。また小町に事前に俺の嫌いなものを聞いておいたのかもしれない。プチトマトはうみこさんが早いうちに全て食べ終えてしまっていた。彩りを加えたかったのか自分用に入れていたのかは定かでないが本当に思慮が行き届いている。

 

 

「うみこさんはいいお嫁さんになりますね」

 

 

「なんですか、急に」

 

 

そう照れくさそうに笑う彼女の顔は昼頃の日差しと合わさってとても眩しく見えた。適当にまた「なんでもないです」と言うと納得してなさそうだったがすぐに食事を再開した。

 

 

もし俺がイーグルジャンプに入っていなかったら。もし俺がうみこさんの薬莢に何の関心も示さなかったら。このような関係性は生まれてなかったのだろう。

いつだってこのような仮定には意味はなく、ただ時は進んで事実は虚偽に埋もれていくのだ。俺達の関係が祝福されず褒められたものでないことは分かっている。

 

 

 

それでも、今くらいは。

 

 

 

少しくらいは幸せを噛み締めてもいいのではないだろうか。

 




あと2話くらいで終わりそうですね
ついでに言うと春休みももう終わりそうなのでこのペースでの投稿は難しくなりますね。6月までは書くつもりですがそれ以降は忙しくなるので無理でしょうね。息抜き程度には復活すると思われますが。


さて、僕の女の子との話。他になにかあるかなーと思い出したら結構あったうちのひとつが、これまた思い出すとよくこんな会話したな(困惑)


地元の花火大会があり、それを部活の先輩(女の人)と行きたいけど下見したいから一緒に来てくれと下見に付き合わされた時のことです。夏だったから暑さに気が参っていたのか、お互いにそういうテンションだったのか。ちょっとした下ネタの話になり、自分はその手の話はあまりしないタイプ(というか、思春期が中三と高三に来るという遅延型)だったけどなんとなく「女子ってそういう話OKなの?」って聞くと女の子は

「うちは特に気にしないよ」

と言ったので冗談半分に

「じゃあ今日のパンツの色は?」

と信号待ちの時に尋ねたら「確か水色」と返ってきて驚きました。
しかもその後自分のも聞かれた気がする。多分、赤のチェックだったと思う。誰得だよ。


余談だけど、花火大会は先輩とは行かなかったらしいし花火大会も行ってないらしい。なんじゃそりゃ。


続きもいずれできたら……てか、この話小説にしたらまぁまぁ笑えるんじゃね?俺は悲しいだけだけど。

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