女の子だらけの職場で俺がヒロインなのは間違っている 作:通りすがりの魔術師
ナックルジョーの仲間投げがめちゃくちゃ強いこと以外は覚えてない。
これ書いてて思い出したのが全体的に雪乃ヒロインの話が多いハーメルンですが、結衣ヒロインも見たいなと思います。僕は戸塚と川崎沙希派なので書きませんが。平塚先生とルミルミも好きですが、個人的にドツボな作品がなくて『ほならね(割愛)』
ではどうぞ。
2人の男が岩場しかない荒野で殴打と蹴りのラッシュを繰り広げる。それはまるでマンガの一コマであるかのような臨場感と緊迫感、同時に乱れる息遣いや動作の際に発する言葉から目の前で起きてるような錯覚に見せられる。
『オレは!昔の自分に戻りたかったんだぁ!』
妹の軽率かつ無駄のない謀略により招かれた望月紅葉は先程まで小町が座っていたクッションの上に正座してコントローラーを握る。
来た当初は棚の上に置いてあるフィギュアやプラモを見れば目を輝かせ、その下にある本棚の漫画や雑誌(模型誌、ファンブックなど)を見ると少し前のめりになり、テレビの横のゲーム機本体やソフトが置かれたBOXを見ると笑顔を咲かせていた望月。
その中から1つのゲームソフトをとり2人で原作再現という名のバトルを楽しんでいるところだった。
『本当にそうか…?』
戦闘中に流れる名言のオンパレードに望月のコントローラーを握る手が強くなる。
「最高に熱いですね...!」
「 ...そうだな」
確かにこれは名シーンだ。出てきてから度々仲間に回っていたが再び悪に身を落とした彼に、再放送でその姿を見た俺は驚愕させられたものだ。
ここからは名シーンのオンパレードといえる。プライドを捨てて悪に魂を売ったというのに、妻や息子の未来を守るために彼は散っていった。
しばらくして主人公がピンチに直面すると1日だけその敵を倒すために蘇り、永遠のライバルである主人公と合体して最強のお父さんになったり、お前がナンバーワンだと言ったりするのだが、そこまでいくのには少し時間が足りないかもしれない。
それにしても、この子何しに来たんだろ。かれこれ望月の好きな名シーンを再現しながらバトルしてるわけだが、こいつがここに来た事情に関しては一切触れられていない状態だ。
とりあえず、ヤムチャするシーンから始まり主人公の父親の叛逆、クリリンのことかー!!を終えて一番好きだという最終章を全部再現している。これが終われば俺はピンクの魔人になって消し飛ばされねばならない。
「なぁ望月」
「なんでしょうか比企谷さん」
画面から目を離さずお互いにカチカチと指を動かす。俺が話しかけても望月は攻撃の手を緩めずラッシュ攻撃を繰り出してくる。
それを俺は最低限受け止めながら、話を続ける。
「お前何か俺に用があったんじゃないのか」
尋ねた瞬間、ラッシュの手が緩む。その隙に俺はコンボでガード不能状態まで追い込み瞬間移動後にトドメの一撃を食らわせた。劇中ではピンクの魔人の復活で引き分けというか後回しになったが、不意打ちとはいえ気絶させた王子に軍配が上がるのだろうが細かいことは気にしてはいけない。
「えっと...」
負けたことはさほど気にしてないのか望月は顔を落とす。いや、手が震えてるあたり気にしてるのかもしれない。涼風に対抗心を燃やしてるところから察するに負けず嫌いのタイプだ。
その手の人間の手合いは高校時代の経験のおかげで慣れてはいるが度合いによる。あそこまでではないと願いつつ言葉を待つと、望月はコントローラーから手を離し人差し指を合わせる。
「そ、その、...先日比企谷さんには助けてもらったのでお礼をしようかと」
そんなことかと何故か安心して肩の力を抜く。顔と仕草だけ見れば何か愛の告白かな、なんて考えてしまったがよく良く考えればこいつの好きな相手はレラジェだった。まぁ、考えなくてもそんな発想には至らなかった。
にしても律儀なのものだ。わざわざお礼のために連絡先を聞いて電話してくるとは。
「別に気にしなくていいぞ。俺はお前を助けたつもりは無いし」
昔、誰かに同じようなことを言ったなと思いつつ今度は言葉を選んで返した。これなら「そういうのじゃなくて」とか言われなくて済むだろう。しかし、俺の予期していたものとは違う反応がくる。
「いえ、でも...比企谷さんがそうでも...私はそう感じてるので」
強い明確な意思を持った目に気圧されそうになり、目を逸らす。あれだな、負けず嫌いで芯も通ってる上に自分の決めたことは一切曲げないタイプだ。ほんとにその手のタイプには心当たりがあるから出来ればその人にはないものを是非とも分けてあげてほしい。
「でもなぁ...」
と言いかけたところでまた電話が鳴った。珍しくよく鳴るなと思い手に取ると今度は知ってる名前と知ってる番号が表記されていた。
出ようか迷ったが望月に「出ないんですか?」と首を傾げられる。それで仕方なく電話に出ると先程聞いた無邪気な声が聞こえる。
『やっほー小町だよー』
知ってる。名前は出るし番号はもしもの時のために覚えてるし着信音は専用のものにしてるからかかってきた時から分かってはいた。だから、出たくなかったのだ。
「なんだ」
『いやー紅葉さんと上手くやってるかなーって気になって』
「程々にな。で?」
言葉にはせずにどういうつもりかと尋ねると意味を汲み取った小町は電話の向こうで笑みを浮かべた。
『ほら紅葉さんから話聞いたら、お兄ちゃんにお礼したいって言うし。でも、お兄ちゃんはそういうのいらないって吐き捨ててそれだと紅葉さん可哀想だから』
流石長年俺の妹をやってるだけあって俺の気持ちがわかってるし、俺のして欲しくないことも分かってらっしゃる。嫌そうにため息をつくと、逆に小町はテンションを上げる。
『いいじゃん。人助けしたんだし貰えるものは病気以外貰っときなよ』
「でも、救急車はお金取らないだろ」
『お兄ちゃんは救急隊員じゃないでしょ?』
屁理屈を事実で返され言葉に詰まる。まさか妹にそう返されるとは思っていなかった。そのため次の言い訳をいう前に小町にまくし立てられる。
『ともかく、お兄ちゃんは紅葉さんのお礼をちゃんと受け取る。それにお礼も言う。それでそんなことないですって言われたらこっちからお返しだよってキス...』
そこまで言ったところで電話を置く。意味のわからないことを言い出すんだこいつは。成長したかと思ったら根は全然変わってなくてちょっと残念なようで安心してしまった。
肩を竦めてスマホを置くと、ずっと待っていた望月に目を向ける。
「...わかった。お前の気が済むなら礼くらい受け取るよ」
言うと、望月はばっと顔を上げると俺の顔を見る。視線があったことを確認して、俺は努めて柔和な笑みを返す。
「あ、ありがとうございます!」
大きく頭を下げた望月にふぅと俺は安堵の息を漏らす。ここにはいない妹にこれでいいんだろこれでと電話を切る。声は聞こえなかったが、文句があれば望月が帰った後にでも連絡を寄越してくるだろう。
「まぁ、今日はいいから。それより続きやろうぜ」
バトルが終わってキャラクター選択画面のまま固まったテレビを指差すと望月は笑顔で頷く。
次はあのシーンやりましょうと楽しげな望月を横目にあることを考える。
もしこれがあの時の再選択なら。俺は今度は間違えずに出来るかと。前回と状況も俺が成したことの差は大きい。だが、現実に助かったという人物がいることは一致していた。合っているのはそれだけで、他はまるで違う。
それでも今回は自分も、相手も傷つけずにことを終えることが出来るだろうか。考えてもそんなことは分からず、それは未来の俺と隣で楽しそうにしている望月次第だろう。
だったら、今は考えずに。ただ純粋に今を楽しむとしよう。
紅葉にとっては八幡が彼になり得る人物かそれ以上かを見極めるための建て前であり、八幡にとってはあの時の誤解の正解を探すための建て前。
いつも細かい誤字脱字修正報告ありがとうございます。
イキリ道民の皇女ぶっ飛ばすまでは更新速度落ちますかね。まぁ、このあとおわらせますが。
この話でやってたゲームの原作の話をすると、個人的な感想だと魔人ブウ編はベジータのために必要だったものだと思うので好きです。
GTも賛否両論ですが好きです。改はBGMやら声優さんが違うからなぁ...。超はベジータのぶっ壊れ具合やビルス編、フリーザ復活編を抜けばまぁといった感じ。
あと、八幡たちがやってるのはレイジングブラスト2(だったと思う)です。
良作ゲーだと思うのでお手元に本体がある方はやってみてもいいと思います。他にもスパーキングメテオやZ3もオススメです。