女の子だらけの職場で俺がヒロインなのは間違っている   作:通りすがりの魔術師

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眠い


何故か望月紅葉は話さないし離れない。

 

この状況にはどこか見覚えがあった。が、そのほとんどが違っているのが実情だった。

以前来た時にあった初々しいオーラはなく、ただ俯いたまま動かない。

 

 

何をしているのか。そう問うても望月に反応はなく、まるで凍てついた人形のような表情を浮かべたまま立ちすくんでいた。

事情を聞こうにも外は雨。外の街頭や家の廊下が灯す光から望月の髪先や服が濡れてることが容易に把握できて俺は一度ドアを閉めてチェーンを外す。

 

 

「とりあえず入れよ。風邪引くだろ」

 

 

言っても望月は微動だにしない。瞬き以外の挙動を忘れたかのように、全くもって動こうとはしない。俺はその姿にため息を吐く。

 

 

「...!」

 

 

動かないなら動かしてしまえばいいと腕を掴んで家に引きずり込む。なんだか見られるととてもまずい気がするが、嫌なら流石に抵抗するだろう。

その時、やっと顔が変わったのを確認できた。どうやら生きてるらしい。引きずり込んだのはいいがこのまま上がられると玄関がびしょびしょになるので、念の為ここから動くなとジェスチャーで伝える。洗面所に行き新しいタオルを出して、玄関に戻ってそれを差し出す。

 

 

「ほれ」

 

 

が、またも望月はピクリとも動かない。ただ目線はタオルに一瞬だけ動いたので眼球は動くらしい。まぁ、見えてるかは別だが。

 

 

「...たく」

 

 

わしゃわしゃと粗めに雨雫の乗った髪をタオルで拭き取る。雑にやっているようでその実ちゃんと雫をとっていく。流石に身体と服は無理だが、足くらいはいいだろう。ふくらはぎとかは垂れてくるし…。けど、する前に一応聞いといた方がいいか。

 

 

「お前がやんないなら俺がやるが...」

 

 

そこで望月の表情があからさまに変わる。暗く顔色の悪いものだったが顔を一気に紅潮させると俺からタオルを奪い取り服や足やらを拭う。その間に浴室までタオルを引く。濡れた靴に詰める用の丸めた新聞紙を用意して戻ってくるとある程度湿り気が取れた望月の姿があった。

 

 

「靴脱げ。それでそこのタオルの上通ってあそこ行ってシャワー浴びてこい」

 

 

あと靴下もなと付け加える。従うように望月は靴を揃えて脱ぎ、靴下を脱ぐと俺が敷いたタオルの上をぺたぺたと歩いていく。丸めた新聞紙を望月の脱いだ靴の中に入れる。こうすることで新聞紙が靴の中の水分を吸収するのだ。多分。

 

 

望月が浴室前で立ち止まったところで俺に視線を向ける。

 

 

「...服はどうすれば」

 

 

「え?あぁ」

 

 

そうか、こいつ着替えなしで着たのか。いやそもそも何しに来たんですかね。それが疑問でしかないんですけど。それはさておき、風邪でも引かれると困るので指示を出す。

 

 

「洗濯機に入れてくれ。洗っとく。タオルは出しとく」

 

 

着替えは俺のシャツを渡すとして、下着は小町のがあるだろう。あるかわかんないけど。この前泊まりに来た時に置いたままにしてればあるはず。なければ買いに行くしかないだろう。

タオルを出して洗面所から出ると、水を吸って重くなった布の擦れる音がする。いつ出てくるかわからないが早めに用意してやろう。

 

 

 

さーて、小町ちゃんの下着はどこにあるのかなー?ここかなー?それともここかなー?と探していたが、そもそも小町ちゃんのブラで望月のたわわを抑えきれるのかという疑念が出てしまった。...無理だな。確信した。誰がどう見てもはっきりわかる。付けれてもホックが逝くのが目に見えてる。最悪パンティーの方だけでもありゃいいんだが...とまるで変態のようにタンスや棚を漁っているとどこかの扉が開く音がした。

 

 

お巡りさんかなと少しビビったがよくよく考えたらここ俺の家じゃん。

概ね、望月が出てきたのだろう。ん?出てきた?服は上しか準備してないはずだがと身を乗り出して洗面所の方を見る。すると、俺の置いておいたカッターシャツを湯気の上がる身体の上に直接着て、下は何故か用意した記憶のないトランクスを履いている望月が映る。

 

 

「おい、それ」

 

 

「あ、えっと、ダメでしたか…?」

 

 

ダメじゃないけどダメかなやっぱりうん。女の子がトランクス履くってなんだろな、可愛いなうん。いや、そんな場合じゃねぇな。

 

 

「置かれてたから履いていいのかと...」

 

 

どこにあったやつだそれと聞こうしたら言われた。多分それ俺が明日履くように置いておいたやつですね。まさかそれを履くとはとおどろいていると、あちらも若干目を逸らしてモジモジする。

 

 

「何か履かないと恥ずかしいので...」

 

 

そっか。うん!女の子だもんね!仕方ないね!

 

 

「お、おう。そうか...」

 

 

平常心 俺の心に 平常心。

よし、1句読めた。思いっきり字余りしてるけどそこは気にしない。ちなみに季語は「俺」

俺自身がいついかなる時期でも暗い冬にすり替えることが出来る。採点されると確定で0点くらうけどな。

 

 

台所に行きコップを出すと棚を開ける。甘いのが苦手らしいので普段はあまり飲まないブラックコーヒーにしようかそれとも紅茶か。案外、ホットミルクとかいいかもしれないな。ミルクは甘くないし。人生は苦いけどね!

 

 

「ほら」

 

 

「あ、ありがとうございます…」

 

 

シャワーを浴びて落ち着いたのか口数が増えたか。それに表情もいつもより少し暗い気もするがさっきよりはマシかな。俺もいらんことばかり考えたおかげで望月との距離感は少ない。てか、望月のシャワー上がりの姿を見るのは2回目なのである耐性はついている。でもね!やっぱりその胸は慣れないね!

ごくごくと温めたミルクを飲むとほっと一息吐く。

 

 

「で、どうしたこんな時間に」

 

 

そろそろ話を聞こうとふりかける。

 

 

「...」

 

 

しかし、望月は答えない。曇った表情のまま唇を噛む。

言いたくないなら当ててやるか。

さて、判断材料は少ないが心当たりはある。それも今日とれたてホヤホヤのだ。こちらとしてもあんまり言いたくないけど。

 

 

「鳴海と何かあったか?」

 

 

「...!」

 

 

ビクンと図星だったのか肩が震える。やはりなと嘆息すると望月はたどたどしくはあるが話し始めた。

 

 

「...なるに比企谷さんのこと...好きなの?...って聞かれて。それでわからないって言ったら...」

 

 

そこで止まった。

なんでだよ。言ったらどうなったんだよ。

待っていると望月は目に涙を浮かべると顔を手で覆う。

 

 

「なんかよくわかんないうちに...喧嘩に...」

 

 

「...そうか」

 

 

本人にもよくわかってないのなら聞きようがないな。困ったもんだ。ここで小町なら1から話を聞くんだろうが、俺は小町じゃない。よって俺に出来るのは黙って側にいてやることくらいだ。それが俺の唯一できることだ。

傷ついた心を癒すのは取り繕ろわれた言葉でもマニュアルのような頭撫ででもない。時間である。それは俺がよく知ってる。

たった一人で傷つき、たった一人で傷を癒すその姿は虚しく悲しく写っただろう。だが、俺にとってはそれが当たり前なのだ。大体は寝たら次の日には忘れてるがふとした時に思い出してしまうので治ってないのが現実である。

自分の過去の忌まわしき記憶を取り除けたらと思うがそうはできない。隕石落としするだけで記憶が飛ぶならみんな隕石落としやってる。

 

 

「...ん」

 

 

「おっと」

 

 

泣き疲れたのか望月はふらっとその場に頭から倒れそうになるがそれを既のところで肩で受け止める。こっちも痛いのが嫌だから肩も腕で受け止めたが。

力無くすぅすぅと静かな寝息を立てる望月に仕方ねぇなと息を吐いた。

幸い今日は気温がちょうどいいくらいだ。エアコンも付けてるしワイシャツ1枚でも布団を掛ければ風邪は引かないだろう。起こさないようにそっとベッドまで運ぶと、ロフトから降りて洗濯機のスイッチを押す。

ゴーオンゴーオンと音を立てて動き出す洗濯機にうるせえなと悪態つきつつ、カロリメイトを食べて歯を磨く。洗い物が出ないからカロリメイト超楽。考えた人マジで天才だと思う。

望月の服とタオルだけだったので自分の寝床を用意していたらすでに終わっていた。

 

 

「よっと」

 

 

蓋を開けて籠に洗濯物を移す。その際にピンクのブラウスや妹や母のものと比べるとでかい気がするブラが目に入って来たが気にしない。下着なんてただの布だ。気にしない。

 

 

浴室にバスマットをかける棒があるのでそこに下着やらブラウスをかけたハンガーに吊るしておく。あとは暖房をつければ朝には乾いていることだろう。

 

 

さて寝るかとソファの上に寝転び布団をかぶる。帰ってきた時に寝てしまったからそう簡単には寝付けないだろうと思いつつも目を閉じる。

ベッドに比べるとソファは窮屈だし、布団も薄めなので少しばかり肌寒いが暖房がついてるうちに寝るしかない。あと15分もすれば消えてしまうのでそれまでに寝ようと羊を数える。1匹2匹3匹4匹5匹...そう言えば羊の数え方は匹でいいのだろうか。頭とかじゃないのかなと雑念が入る。そのとき、階段が軋む音がした。目を開けて振り返るとそこには枕を持って目をこする望月がいた。

 

 

「あの、トイレ...」

 

 

「あぁ、廊下のすぐ左だ」

 

 

コクリと頷くと望月は廊下へと歩いていくと思いきやこちらに来ると俺の袖をちょいちょいと引っ張る。

 

 

「分からないので付いてきてください…」

 

 

カクンカクンと頭を揺らしながらそう言われたら、歩いてる途中やトイレで寝落ちされかねないと思い付いていくことにした。

景気よくトイレの前で歌でも歌ってやろうと思ったが望月がそういうテンションではなさそうなのでやめておいた。

 

 

「...お待たせしました」

 

 

「ん」

 

 

短く答えるとリビングに戻り望月をベッドへと誘導する。ロフトへ上がる階段もふらつきつつもちゃんと登ることができた。まるで介護してる気分だ。望月が布団に入ったことを確認して降りようとすると、また袖を握られる。ドキリとまた振り返れば暗くて顔色はあまり窺えないがか細い声で望月が口を開く。

 

 

「...一緒に寝てくれませんか?」

 

 

僅かに震えた声音から何か寂しさに怯えているような、そんな感じが読み取れた。

いつもは鳴海と寝てるからなのかは知らないし、人肌恋しくなったのかもしれない。だが、俺のベッドはシングルでとても2人が満足に寝れるようなスペースはない。

 

 

「ダメですか...?」

 

 

拒もうにもそんな声を出されたら身体が思うように動かなくなる。握られた手は熱く、自分の手から汗が滲むのがわかる。

 

 

「...わかった」

 

 

望月が寝たら抜け出せばいいと決めてゆっくりと布団の中に入る。さきほどから望月が入っていたからか布団の中は暖かく、心地よい感じがする。

望月に背を向けて相手が寝静まるのを待つ。

寝ないように目を開けてじっくりと耐えていると寝返りをうったのか望月の手足がこちらに向けられる。首筋には温かな息がかかりゾワゾワと変な気持ちになる。もう寝たかなと布団から出ようとした時、腰と足に望月の左腕と左足が乗せられる。

 

 

「...!?」

 

 

さらには背中には柔らかな感触が走る。まさかこれはと確かめる必要性もなくそれが何かと判断できた。無意識なのか身体は動かないようにガッチリと抱きしめられ、離れようとすれば最悪望月を起こしてしまうことになる。

俺はそんな状況にもういいやと諦めると深い湖の底に沈むように眠りに入った。




イチャラブしたことないからどういうのがイチャラブかわかんねぇなこれ
あ、そうだ(唐突)他人の小説のこと「オナ〇ニー」っていうひとほんとにいるんですね。傷つかずにそんな人がいることにたまげたなぁ...。てか、〇仕事してないやん。


あと性描写ってどこからR-15でどこまでがR-18なんだろう。イニシエーションラブとか恋するはずなかった(卒業編)みたいな感じならセーフだろうか。
BANされそうだったら事後処理にしたらいいし、そこは追追考えます。


今期ちゃんと見るのはシティーハンターの再放送とガンダムビルドダイバーズ、ヲタ恋くらいかな。あとリーガルハイの脚本書いた人のドラマと。
他のは貯まってから見よう。

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