山椒魚、右往左往の雨隠れ生存記   作:流浪 猿人

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 ヤバイ、そろそろ書き溜め分の最新話に追いつかれてしまう……!!
 作者に毎日投稿など無理だったと言うのか……!!


忍界決壊、新たな戦い

 

 

 作戦がいよいよ始まろうとしていた。火の国を除く全世界が、第一の作戦を固唾を呑んで見守っていた。

 

 第一の作戦、雷の国による火影暗殺。航海の制限を無くす代わりに同盟を結ぶという、嘘の情報で火影を釣り出し殺害する。そして火影暗殺による混乱に乗じて、各地で第二の作戦を電撃的に行う。

 

 どうして共に歩めなかったのだろうな……扉間、さすがに少しやり過ぎだ。俺は国を預かる者としてこれ以上、国民に負担を強いる訳には行かないのだ。この戦争、勝たせてもらう……!!

 

 

 

 

 

 ――雷の国 火影暗殺作戦――

 

 

 雷の国では長年の悲願が果たされようとしていた。このワシ、カタイ(後の三代目雷影)は火影殺害の大役を任されている。千手 柱間程では無いにしても、弟の扉間も凄まじい実力者。ワシと金閣と銀閣という雲隠れ最強の布陣で望むのが、やはり得策だろう。

 

 扉間を殺した後は、各国で協力して火の国の力を削り取っていく手筈になっている。そうまでしないと、火の国とは互角の戦いにすらならない。これは国の未来を賭けた戦いなのだ。里の子供達の代まで、この国力の不均衡を持ち込ませる訳にはいかん!!

 

 ワシ達の作戦の成否によって、戦争の状況が変わる。暗殺、騙し討ちと言えば聞こえは悪いが、木の葉包囲網全ての国の期待を一身に背負っているのだ。失敗は許されない。

 

 「金閣、銀閣、準備は出来ているか?」

 「こっちのセリフだ。オッサンの方が心配だぜ」

 「オッサンという歳じゃないと言っとるだろうが!!」 

 「あんま怒ると皺が増えるぞ、オッサン」

 

 こいつらは金閣と銀閣、ワシと同等クラスの実力者で、性格に多少の難があり里の嫌われ者だが、背に腹はかえられん。火影を殺すにはこいつらの忍具と九尾の力が必要だ。

 

 待っていろ、千手 扉間!!窮鼠猫を噛む、いずれ火の国に滅ぼされるであろう国々の、決死の反抗じゃ!!

 

 

 

 

 陰謀渦巻く雲隠れの里、そこについに火の国の一行が辿り着く。この日、火影暗殺作戦は成功に終わった。完全な合理主義者である扉間は、損得を無視した他国の意思を見抜く事が出来なかった。しかし木の葉にも希望が一つ、扉間の遺した最後の言葉によって、新たな火影を迅速に選び出す事が出来たのだ。

 

 火影暗殺成功の知らせと共に、各国はかねてよりの計画を世界中で同時に開始する。

 

 火の国一強となった忍界の、積もりに積もった不満を清算する戦争。第二次忍界大戦の幕開けである。

 

 

 

 

 

 ――木の葉隠れの里 猿飛 ヒルゼン――

 

 何という事だ!!

 

 永久に続く物だと思っていた平和が、こうもあっけ無く崩れ去るとは……。扉間様が敵を食い止めて下さったお陰で、何とか生きて里へ戻る事が出来たが、恐らくもう、扉間様の命は……。

 

 「皆、扉間様の遺言だが、オレが火影で本当に良いのか……?」

 

 共に命からがら木の葉まで逃げ切ったダンゾウ、ホムラ、コハル、カガミ、トリフの面々を見渡す。すると突然ダンゾウが激怒した。

 

 「扉間様がお前が火影だって言ったんだから、そうに決まってるだろうが!!お前がウジウジしてたら、火影の椅子争って里で内乱が起こっちまうぞ!!クソが!!」

 

 ダンゾウの機嫌がいつに増して悪い。それはオレの質問のせいだろう、扉間様に任せられたと言うのに、まだ火影になる覚悟が出来ていなかったのだ。ダンゾウが怒るのも仕方が無い。

 

 「ダンゾウの言う通りだ、お前が火影をやれ。既に忍界は戦争状態に入ったと見て良いだろう。早くお前の元に里をまとめなければ、初代様と二代目様が作り上げたこの国が危険に晒される事となる」

 

 ホムラが言う、他の皆も同意してくれている様だ。ダンゾウはまだ怒りが収まらない様で、こちらを睨み付けている。

 

 そうだ、オレがやらなくてはならないのだ。初代様が、二代目様が、皆が築き上げて来たこの国を、里を守る。

 

 猿飛一族当主 猿飛 ヒルゼン

 

 オレが

 

 

       

        三代目火影だ―――

 

 

 

 

 初代火影 千手 柱間が初めて火影となってから、実に三十二回目の春、ここに三代目火影が誕生した。そして就任早々、火の国が各国の集中攻撃を受けた二回目の大戦争に、否応なく飲み込まれて行く事となる。

 

 

 

 

 ――南の海上――

 

 

 海上に突如発生した霧に紛れて進む船団の船首に、怪しい恰好の男が立っていた。

 

 「ま~さか水影自ら出向くたあ、火の国も考えてねえだろうなあ!!」

 「水影様、半蔵殿は信頼できる方なんですか?」

 「半蔵殿か、昔五影会談で見たな。そん時オレはまだ下っ端だったけどよ」

 

 「どんな方だったんですか?」

 「そうさなあ」

 

 男は少し間を置いて答える。

 

 「真面目に見せかけて、内側はオレと同じ様なもんだろうな、半蔵殿は」

 「貴方みたいなのが増えたら、私はどうすれば良いんですか……、水影様」

 

 「ああっ?どういう意味だそれ!!」

 「実力は信頼してますよ、実力は」

 「お前なあ~!!」

 

 「お喋りはここまでです。そろそろ陸が見えて来ますよ」

 「おっ、そうか。そんじゃ改めて

 

        

   水、雨、風連合軍

    火の国南海岸制圧作戦、開始だ!!」――  

 

 

 

 ――土の国――

 

 

 「オオノキ、火の国進行部隊はお前に任せるぞ…。神無毘橋を使った正面突破だ。」 

 「はっ!!しかし、無様はどちらへ?」

 「オレは雨の国へ行き、雨の国と共同して裏を掻く部隊を指揮する」

 「何を言っておられるのですか!?雨の国はかつての敵です、信用してはいけませぬ!!」

 「こちらを信用していないのは雨の国も同じだ…。オレは同盟国として信頼して貰うための人質としての役割も果たす。仮にオレが裏切られて死んだらお前が土影だぞ、オオノキ……」

 「そこまで考えておられるなら……」

 

 

 

 ――風の国――

 

 

 ついにこの機会が回って来たか!!我が国は先の大戦から常に厳しい状況に置かれて来た。せっかく得た火の国の領土も、膨れ上がる債務の返済のため、再び火の国に持っていかれてしまった。

 

 状況は悪くなるばかりで、風影への不信任による解任が既に二度繰り返され、オレは三代目になる。オレの代でこの負の循環を終わらせなくてはならない。

 

 かつての敵である雨と土の国と手を組んででも、火の国の領土を狙って行く。まず初めに雨と水と共同で、火の国の南の海岸を制圧する!!

 

 「チヨ様、南海岸侵攻部隊の指揮をお願いします」

 「それは分かったが、お前はどうするつもりなのじゃ?」

 「オレは里に残らなくてはいけません、砂隠れは風影が何度も代わった事もあり、里が纏まり切っていません。オレは里にいておかなくては…」

 「そうか……、ここまで追い詰められたのはワシらの代の責任じゃ…、すまん」

 「お任せください、チヨ様。風の国はこれが一世一代の大勝負です。チヨ様も部隊を頼みます」

 「分かっておる、勝たなくてはならぬ。あの子のためにものう……」

 

 

 

 

 忍界に再び訪れた大戦争に向けて、各国の思いが交差する。

 

 

 

 

 

 

 ――木の葉へ還る者――

 

 

 辺りが暗い、ここはどこだ。

 

 オレの名前は何だった?重い体を何とか動かし周りを見渡すと、暗黒の世界に明かりの差し込む窓の様な物が見える。

 

 不思議に思っていると、いつの間にか窓の傍まで来てしまっていた。窓を覗き込む。

 

 誰かが必死に逃げているのが空から見える。誰か?オレは何を言っているんだ。何度も見た顔だ、あれはヒルゼン、ダンゾウ、ホムラ、コハル、カガミ、トリフだ。

 

 そうだオレは千手 扉間、二代目火影だ。オレはこいつらを逃がすために雲隠れの追っ手と戦って……、そうか……オレは死んだのか……。

 

 雷の国が裏切るとはな、我が国と組んだ方が絶対に奴らのためになったはず……、馬鹿ばかりだな……。という事は雷の国と同盟を結ぶ雨の国も裏切ったのだろう。

 

 半蔵も、友も裏切ったのだ……。

 

 ふふっ、兄者には他人の心が分かっていないなどと言っていたが、本当に分かっていなかったのは……、オレだったのかもな……。

 

 

 

 短い、人生だった。オレのこの人生は満足の行く物だったか?

 

 兄者には迷惑を掛けられてばかりだったな。馬鹿で、お人好しで、それなのに強い、オレはそんな兄者が大嫌いだった。

 

 ……いや、もう誰にも聞かれる事は無いのだから、取り繕う必要など無いか。嫌いではないのだ、本当は、オレはただ、羨ましかったのだ。馬鹿で、お人好しで、それなのに強い、そんな兄者は

 

 

 

  

 

  

 

   兄者は、オレの憧れだった……。

 

 

 

 

 マダラは結局、オレを許してはくれなかったな。

 ヒルゼンに、里の忍達に教えたい事がまだ山程ある。

 半蔵と酒を酌み交わした夜、懐かしくて仕方が無い。

 

 オレの人生はやはり、後悔ばかりだ。

 

 いや、人ならば誰もがそうか……。

 

 再び窓に目を落とす、するとヒルゼン達の表情は、オレとは反対に生きて戻るという決意に満ち溢れていた。

 

 火の意志を、確かに受け取ってくれた様だ。それだけでオレの人生も救い様があるという物だ。

 

 帰ろう。

 

 兄者が、先に逝った皆が待つ木の葉へ

 

 

 

 

 

 オレが、愛した里へ。

 

 

 

 

 

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