山椒魚、右往左往の雨隠れ生存記   作:流浪 猿人

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 少し先まで書き溜めてあるのですが、何だか出来が微妙です……。
 あまり期待し過ぎず、お待ち下さい。

 


そこの醤油取ってくれ

  

 

 ――雨隠れ 忍者アカデミーのとある一幕――

 

 

 「お~い、お前らあ!!」

 

 最上級生が卒業を間近に控えたこの時期、一人の少年が部屋に駆け込んで来た。中で寛いでいた僕と一人の少女は、はしゃぐ友人の姿を見て首をかしげる。

 

 「どうしたの?そんなに慌てて」

 「始まったんだよ!!戦争が!!」

 「ええっ!?もうそろそろ卒業だって言うこの時期に限ってそんな……」

 

 卒業したらすぐに戦場に行かなくてはならないとは、不運にも程がある。

 

 「何だよ、戦いこそ忍の本懐だぜ?ビビってんのかよ」

 「そりゃ怖いよ。君はどうなの?」

 

 「怖くねえよ!!むしろ誇らしい気分だ、何たって半蔵様の下で戦えるんだぜ?」

 「また君は半蔵様の事ばっかり……、君の誘いに乗って忍者になろうとしたのは間違いだったかな……」

 

 僕が恨みがましいといった風に友人を睨むと、隣の少女も話に入って来る。

 

 「もうホントにそうよ!!三人でずっと商店のおじさんの所で働いてたら良かったのに」

 

 「お前らなあ……、オレ達みたいな孤児があんな風にちゃんと働き口があって、まともな暮らしが出来るなんて雨の国だけだ。そしてそれは全部、半蔵様のおかげなんだから、忍になって半蔵様に少しでも恩を返すのが当たり前だろうが」

 「うっ、確かにそうかも知れないけど……」

 

 そう、元々働いていた商店を辞めてアカデミーに入ったのは、小国である雨の国をここまで豊かにした半蔵様の役に立ちたかったからだ。その気持ちは三人とも同じだ。

 

 「ともかく、こうしちゃいられねえ!!戦争に向けて三人で修行だ!!行くぞ長門、小南!!」

 「ああっ、待ってよ弥彦。……行っちゃった」

 「どうせいつもの場所でしょ、追いかけるわよ」

 

 雨の国の人々は半蔵に絶対の信頼を置いている。半蔵が未だに引退出来ないのは、こう言った理由があった。

 

 

 

 

 ――木の葉隠れの里 火影室――

 

  

 「火影様!!水、風、雨の連合軍が火の国南海岸に攻勢を仕掛けて来ています!!戦況は劣勢で、南海岸は次々と占領されています!!本格的な防衛線を構築するまでに、どれだけ押し込まれるか……」

 「火影様!!土、雨、滝連合軍が神無毘橋方面から正面突破を仕掛けて来ています!!こちらもやや劣勢といった所です!!」

 「火影様!!雷、水連合軍との北の戦線は、依然互角の戦いが続いています!!」

 

 火影室には引っ切り無しに戦況が伝えられていた。まさかここまで各国から恨みを買っていたとは……、二代目様はオレに知らせず裏でどんな事をしていたのだ?

 それにしてもこの状況でもある程度戦えている事から、改めて自国の強さを思い知らされている。劣勢の戦況にも、まだまだ増援を送る余裕が十分にあった。

 

 当面の心配事といえば、教え子達が明日から戦場に向かう事だ。いくつか伝えておかなくてはな……。

 

 

 

 「来たか自来也、綱手、大蛇丸」

 「おう、先生。何か言いたい事があるらしいな?」

 

 火影室に入って来たのは、オレの教え子達。全員、天才と言っていい才能を持つ、火の意志を継ぐ者達、だからこそ伝えておかなくてはならない。

 

 「ああ、お主らは強くなった。それでも忍の中には今のお主らでは、到底敵わぬ相手もおる。戦場で出会うかも知れない、注意するべき忍を教えておく―――」

 

 

 ――最前線――

 

 

 「何だこいつは、でかくなってる!?」

 「また幻術なのか!?」

 

 「おっと~、気を付けた方が良いぜ。そいつぁ幻術じゃねえ」

 

 劣勢でも必死に奮戦する木の葉の忍達に、丸く膨れ上がる人型の物体が接近する。

 

 「ぼっか~ん」

 

 その男の気の抜けた掛け声と共に、人型の物体が大爆発を起こした。

 

 「ぐああああぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

 

 蜃気楼の爆弾魔 二代目水影 鬼灯 幻月―――

 

 

 

 「婆さん、一人で良いのか?」

 「こっちは五人だぜ、へっへっへ」

 

 「構わんよ?」

 

 おおよそ戦いの場にふさわしいと思えない老婆が、巻物を開封する。お馴染みの音と煙を纏って、それは現れた。  

 

 「これで十対五じゃ」

 「なっ!?」

 

 

 

 砂隠れの傀儡使い[白秘技]初代操演者 チヨ―――

 

 

 

 「やはり、コソコソと鼠が入り込んでいたな?」

 

 本陣に入り込んだ木の葉のスパイの目の前に、全身に包帯を纏った男が現れる。

 

 「なっ!?今どこから現れた!?」

 「塵遁 限界剥離の術」

 

 スパイは男が放った術により、声を出す間も無く塵と化した。

 

 

 

 無人 二代目土影 無―――

 

 

 

 「ふんぬああああぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 「こ、こいつ攻撃が効かねえ!!それにっ、速っ!!」

 

 ドス、と鈍い音を立てて木の葉の忍の体が貫かれる。その男に既に百人以上殺されているが、男には掠り傷一つ付いていない。

 

 

 

 雲隠れ最高戦力 次期雷影 死なずのカタイ―――

 

 

 

 「誰か~、そこの醤油取ってくれ」

 「ほいっ」

 「ありがとな、未婚おばさん」

 「あ~!!それ言うたらあかんて、何回も言うとるやろ!!半蔵サマこそどうなんや?」

 「オレに子供がいたら、里長の後継者争いがややこしくなるだろうが」

 「この童貞!!」

 「どっ!!どどどどどっ!!童貞ちゃうわっ!!」

 「動揺し過ぎやろ……」

 

 「ゲェフ」

 「うおっ、イブセ。お前のゲップ毒含んでるんだから気を付けろよ?」

 

 「ああっ、伊蔵のオッサンがイブセのゲップで泡吹いて倒れてもた!!」

 「伊蔵~~~!!死ぬな~~~!!」

 「わ、若。ワシは本望ですぞ……」

 「ゲップ死だぞ!?ゲップ死が本望なのか!?」

 

 「やかましい……、こんな事なら前線で心臓を集めていれば良かった……」

 

 

 

 雨隠れ最高戦力 傀儡職人 里長 ぬめぬめ&ロボ好き毒吐き鎖鎌ガスマスクマン 死雨の半蔵――

 

 

 

 

 

 

 


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