視点――魚雨 半蔵――
初陣は順調に進んだ。鎖鎌の練習がてらできるだけ死遁を使わずに敵の頭数を減らし(半蔵、頑張った)戦場を捜索していると、敵の生き残りを見つけた。しかし、身に付けている装備がカッチョイイしイケメンだしで、恐らく下っ端では無いだろうと思い、尾行することにした。
隠密行動は結構得意だが、内心ビクビクしながらイケメンが入って行った森林をよく見ると、どうやら敵の基地のようだった。ビンゴ!!
さっそく気配を消しながら死遁がいい感じに決まる距離まで接近。なんか敵は仲間の死を悲しみ泣いている様だが、俺はそういうの割とドライな方なので遠慮無くぶちかまさしていただきやした!!
使うのはここ一年で開発した死遁の中でも、気に入っている[死遁 八咫烏]だ。
八咫烏の形をした小さな毒液を、それはもう大量に飛ばす術で、死遁は触れただけで即、戦闘不能にできるので散弾系の術はかなり凶悪だ。
尚、八咫烏の形をしているのは格好いいからである。敢えてもう一度言おう、格好いいからである。後、――「死遁 八咫烏」――という語感が良い。
ポイントは「死遁!!八咫烏!!」では無く――「死遁 八咫烏」――と冷静に言うこと、我ながら格好良ぎてこれだけでご飯三杯はいける……
何の話をしてたっけ?
そうだ攻撃するんだった。はい、それでは皆さんご一緒に
―――「死遁 八咫烏」―――
さて、俺の攻撃で敵の残りはイケメン一人となったのでそろそろ出て行こうかな。
俺の一撃でほぼ壊滅したにも関わらず、彼はまだ諦めていない様だ。彼は俺を睨み付けるが、勝負は先手必勝!!実戦様に魔改造した鎖鎌で攻撃を仕掛ける。更に追撃!追撃!!追撃!!!
ふはは、一方的では無いか!!
ちょっと格好つけたセリフを言いながら攻撃しているとイケメンが体勢を崩す。
そこにすかさず死遁!!勝った!!
と思ったら躱された。
だが、もしもの時のために保険はかけてある
喰らえやああああぁぁぁぁ!!!!
俺の合図と同時に、ソウジの足下が盛り上がり地面から飛び出したイブセがソウジを丸呑みにした。そして口内に充満した神経毒を喰らわせ、ペッと吐き出した。(ちなみに合図は悪いな、本命はこっちだ。というセリフである。これにより予想外の事態でも初めから読んでたみたいになる)
満身創痍のイケメンは、なんかボロボロでも格好いい事を言っていたので、空気を読んで俺もあくまでシリアスで会話した。最後のセリフは特に決まったと思う。
その後、勢いのまま七草一族の里を襲撃した。残酷に思えるかも知れ無いが、こちらも既に一族を多数失っている。しぬがよい。
家に着くと父から家督を譲りたいと相談があった。いや、相談というか一方的に押し付けられただけだが……。まぁでも父ももう年だし、変わってあげた方がいいよね。
こうして、魚雨一族四代目当主 魚雨 半蔵が誕生したのであった。
後日、七草一族の庇護下にあった民達が魚雨一族の里に大挙して押し寄せ、魚雨一族の庇護下に置いて欲しいと直訴してきた。俺は快く了承し、七草一族の土地を得る事となった。
七草一族は後に草隠れの里を作る予定でした。