予想以上の高評価に戸惑っています。
頭が痛い、飲み過ぎた様だ。
俺こと魚雨 半蔵は昨日、雨の国と火の国の同盟を結ぶ事に成功し、そして更に火影殿の弟である千手 扉間殿と友好を深めた。そしてその過程で酒を飲み始めてしまったのが間違いだった。予想以上に話が盛り上がり酒も進んだため、せっかくの木の葉滞在の最後の日を、二日酔いと共に過ごさ無くてはならないのだ。
「半蔵サマどうしたん?調子悪そうやけど、はっ!まさかあの後扉間サンに襲われてアッー!!な関係に…!!」
「なわけあるか」
「ならなぜ調子が悪そうなのですか若、はっ!まさかあの後、ワシとアッー!!な関係に…!!」
「脳が膿んでいるのか?」
俺は木の葉隠れで一日、自由に過ごす様二人に言い渡し、自分は気分転換に里の外れの森へ向かった。久しぶりにイブセと遊びたくなってきた所だしな。
木の葉は戦後間も無いというのに既に賑やかで、そこかしこに笑顔が溢れていた。これはその内、今以上に素晴らしい場所になって行くのだと容易に想像出来る。この人々に加え扉間がいるのだから、それは確実だろう。(昨日、扉間はいつの間にか俺の事を呼び捨てにしていた。俺は相手が年上という事もあって遠慮していたのだが、酒の勢いで呼び捨てにしてしまった所、正式に許可してもらえた)
里の門を抜け、里の外れの森を散策しているとつくづく自分は会議室に合っていないと感じる。俺は世界の隅の、あの薄暗い雨の国の沼地で、山椒魚達とイブセと静かに過ごす事が最も幸せなのだ。
「口寄せの術!!」
俺が術を発動すると、相変わらず何で発生するのかイマイチ不明な煙と共に、俺の数倍はある巨大な影が現れる。
「イブセ、しばらくぶりだな」
「うきゅ~!!」
煙が晴れると、イブセが俺に向かって嬉しそうに飛びかかり、顔を舐めて来た。イブセは毒を吐くので俺以外の人間では死んでしまうだろうが、だからこその相棒と言える存在だ。
「死遁 毒溜まり!!」
これは相手の足元に毒池を作り出す術で、イブセに餌をやるのにも使える。というか死遁は危険過ぎて使う機会が少ないため、最近では専らこちらの使い方しかしていない。
毒池のほとりでくつろぐ巨大生物と怪しいマスクの男という絵的には凄まじい事になっている一匹と一人なのであった。
俺とイブセが静かな時間を過ごしていると、どこかから声が聞こえて来た。
「な、何じゃこのトカゲは~!!」
俺が声のする方を見ると、黒い長髪の男がいた。俺は咄嗟に返す。
「トカゲでは無い、イブセだ」
「うおっ、人が居たのか。何だお前は?」
「うきゅきゅ~」訳(お前では無い半蔵だ)
「俺は雨の国の忍で名を半蔵という、訳あって木の葉へ来たのだが、用件を済ませたのでこの山椒魚のイブセとくつろいでいたのだ」
「おおっ雨の国から遥々と!!遥々と言っても隣だったか!!ガッハッハ!!」
どうやら、あまり細かいことは気にしない性格をしているようだが、只者では無いことは
分かる。だと言うのに声を聞いていると安心してしまう一種のカリスマの様な物もひしひしと感じられた。
「で、どうだ我が国と木の葉隠れの里は?素晴らしいだろう!!そうだよな!!何せオレと親友の悲願だったからな!!」
「まだ何も言っていないぞ…。まあ、良い場所なのは認めるが」
あっ、駄目だ、この人苦手。でも醸し出すカリスマに心惹かれる自分もいる。悔しいっ…!!ビクンビクン
「あんたこそこんな場所で何してるんだ?」
「いや、何だ…。先程言っていた親友に用事が出来てな。何でも里でガキの喧嘩が発端となって、ある一族同士が一触即発となっているそうだ。」
「あんたは行かなくていいのか?」
「オレはよく弟に、人という物を分かっていないと言われるからな。それに親友が行くのだから安心だ!!」
この人が行ったら解決しそうな感じもするが、それに気づいていない所が人という物が分かっていないと言われる所以であり、人徳でもあるのだろう。
「その友を信頼しているのだな」
「当然だ!!全て任せてこんな風に森へ遊びに来るぐらいだからな!!」
「大人が森へ遊びに来るものか?」
「ああ、オレの場合はな。木が好きなんだ。見ているだけで様々な思い出が蘇ってくる。しかし、今日は違う!!森へ来たおかげで巨大トカゲと半蔵に会う事が出来た」
パーソナルスペース狭いなこの人、もう呼び捨てにしてるし、あとトカゲじゃないって。
こうしてまったりと他愛も無い話が続く。
「半蔵、そのマスクは何なんだ?」
「これを取ると、毒ガスを撒き散らしちまう体質なんだよ」
「何だと!!かっこいいな!!」
「どんだけいい奴なんだよ、あんた」
「半蔵、このトカゲってうまいのか?」
「しばくぞ」
「ぶぎゅ~」訳(しばくぞ)
「半蔵、雨の国に陸地ってあるのか?」
「あるに決まってんだろ、雨で水没した湖、国って言ってる奴いたらそれもう駄目だろ、近づきたくねーよ」
「でも漁師のオッサン、俺は河童に育てられたって言ってたぞ?」
「何の話だそれ…」
「半蔵、もうそろそろ夜だ。うまいラーメン屋知ってるから一緒に行かないか?」
「やっとまともな事言ったな」
「二人でトカゲに乗って行かないか?」
「前言撤回この人おかしい……」
こうして二人は夕食を共にするため、里へ帰って行ったのだった。(イブセは乗られる前に地面に潜って行った)