「おい、さっき話してた人?うはー痛ぇ」
「だろー、マジやべぇよ」
wwwとか草が生えてそうな嘲笑だった。
プークスクスでもいい、材木座は動揺していた。
「え、は、八幡。我、今、何か、変だったかな?」
「安心しろ、変なのはデフォルトだから」
「そうか、安心……あれ?」
いつか、変じゃなくなるといいな。
遊戯部員は秦野と相模と言った。
秦野は猫背気味の痩せ型、眼鏡はフレーム無しでシャープな感じだ。
相模は中学生みたいな風貌の細型、眼鏡は丸みを帯びたレンズだ。
覚える気がないのでメガネで判別することにした。
「まずうちさぁ、格ゲーあるんだけど……やってかない?って誘ったらしいじゃん。それだとやる前から勝負見えてるし他のことにしないか?」
「いや、そんな事は言ってないんですけど」
「淫夢かよ……」
我ながら無茶な要求をしていると思う。
サッカー選手に、磯野野球しようぜというようなものだからだ。
アドバンテージを失いたくはないだろう、だから難色を示された。
頷かない、これは緩やかな否定だ。
「よし分かった、この部屋にあるゲームをしよう。これだけあるしな」
「それならまぁ」
「いいですけど」
控えめな返事、しかしメガネは二人共キラリと光った。
うむ、滲み出る自信、ゲームで負けるはずがないというスゴ味があるッ!
「けど、変える以上は何か見返りがないと」
「じゃあ負けたら材木座が土下座でいいか。俺が責任を持って謝らせるから」
「は、八幡!土下座は商人にとっての最終奥義、素人が手を出してはいいものではない」
「じゃあ、適当にゲーム選ぶぞ。そうだな、おぉこれなら知ってるぞ」
「それ最新作なんですよ、まぁ全クリしてありますけどね」
懐かしいなと思ったのだが、どうやら最新作だった。
俺が手にとったのはPSPで出来る、ギャルゲーだ。
時々、カードでバトルするがそれは些細な問題だ。
「デッキ作ってやってみるか。なーに、カードの方はやったことあるから余裕だぜ」
「シンクロという新システムついてこれますかね」
馬鹿、お前、遊戯王なんて相手にターン渡さなければ勝てるから。
何なら遊戯王は1ターンキルの歴史で出来てるからな。
おっと先攻ドローできるのは時代の流れを感じる。
「よーし、デュエルするぞ、おっと先攻だなドロー!」
「自慢じゃないですが、僕はこのゲームをやり込んでいる。授業中ですら手放したことはない。アンタの負けだ」
「おい授業はちゃんと受けろよ。さて……お前に相応しい敗北は決まった!」
俺はPSPを片手にビシッと指差した。
この勝負、我々の勝利だ。
「八幡、その敗北は命の煌き……」
「俺のターン!全ての源!手札から【王立魔法図書館】を召喚する!」
「魔法図書館!?そうか特殊モンスター、その効果は魔法使うごとに魔力カウンターを乗せ、取り除くことでドロー出来る能力!」
王立魔法図書館
星4/光属性/魔法使い族/攻 0/守2000
このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
自分または相手が魔法カードを発動する度に、
このカードに魔力カウンターを1つ置く(最大3つまで)。
(2):このカードの魔力カウンターを3つ取り除いて発動できる。
自分はデッキから1枚ドローする。
「さらに、大空を越える無限!【トゥーンのもくじ】を発動!【トゥーンのもくじ】を手札に加える!ドロカード【トゥーンのもくじ】!発動、ドロカード【トゥーンのもくじ】!来い、我が魂!【ブルーアイズ・トゥーン・ホワイト・ドラゴン】!」
トゥーンのもくじ
デッキから「トゥーン」カード1枚を手札に加える。
ブルーアイズ・トゥーン・ホワイト・ドラゴン
星8/光属性/ドラゴン族攻3000/守2500
このカードは通常召喚できない。
自分フィールドに「トゥーン・ワールド」が存在し、自分フィールドのモンスター2体をリリースした場合に特殊召喚できる。
①:このカードは特殊召喚したターンには攻撃できない。
②:このカードは500LPを払わなければ攻撃宣言できない。
③:このカードは、相手フィールドにトゥーンモンスターが存在しない場合、直接攻撃できる。存在する場合、トゥーンモンスターしか攻撃対象に選択できない。
④:フィールドの「トゥーン・ワールド」が破壊された時にこのカードは破壊される。
「だが、トゥーンモンスターをサーチしたところでトゥーン・ワールドがなければ召喚できないはず!」
「まだだ、まだ俺のターンは終わってないぜ!【王立魔法図書館】から魔力カウンターを3個取り除いてドロー!【トレードイン】発動、無様な姿を晒すくらいなら死ね【ブルーアイズ・トゥーン・ホワイト・ドラゴン】!墓地に送り2枚ドロー!」
「そ、そのためのブルーアイズ!」
この時点で手札は五枚、魔力カウンターは1、そこから俺はカードを発動する。
「手札から装備魔法【折れ竹光】を発動!」
折れ竹光
装備魔法
装備モンスターの攻撃力は0ポイントアップする
「攻撃力0ポイント、ただの魔力カウンターを乗せるためのカードだと!?」
「それだけではない!更に【黄金色の竹光】を発動!【竹光】と名が付いた装備カードが場にあるので、俺は二枚ドローできる」
「イ、インチキ効果もいい加減にしろ!」
黄金色の竹光
自分フィールド上に
「竹光」と名のついた装備魔法カードが存在する場合に発動できる。
デッキからカードを2枚ドローする。
「魔力カウンターを取り除きドロー!ドロカード!再び【折れ竹光】を発動!続けて【黄金色の竹光】を発動!」
「出た!八幡さんの竹光コンボだ!」
手札は六枚、魔力カウンターは2!
「【成金ゴブリン】を発動、一枚ドローする代わりに相手のライフを1000回復する!そして魔力カウンターを除去してドロー!」
「手札の枚数は変わらない、デッキ圧縮か!」
成金ゴブリン
自分のデッキからカードを1枚ドローする。
その後、相手は1000ライフポイント回復する。
「手札より【折れ竹光】を発動!魔力カウンターは3、除去してドロー!手札は8枚だ!」
「【折れ竹光】が三枚、来るぞ相模!」
「【ハリケーン】発動、全てのカードを手札に戻す!」
ハリケーン
フィールド上に存在する魔法・罠カードを全て持ち主の手札に戻す。
「助けてくれ、秦野……」
「再び【折れ竹光】を三枚発動!続けて【黄金色の竹光】更に魔力カウンターを除去してドロー、手札は9枚!フッ、八幡の勝ちでーす」
「こんなの、こんなの遊戯王じゃねぇ」
「俺は手札より【打ち出の小槌】発動!更に魔力カウンターを除去してドローもするぜ!」
打ち出の小槌
自分の手札を任意の数だけデッキに戻してシャッフルする。その後、自分はデッキに戻した数だけドローする。
俺は四枚の残して全てを戻す。
「【成金ゴブリン】を二枚発動、そして再び【打ち出の小槌】発動!三枚戻す、そして魔力カウンターを除去してドロー!同情するぜ」
俺の言葉と同時に特殊勝利ムービーが画面に流れた。
魔法陣から伸びてくる巨大な手、そこには封印されし巨人がいた。
「封印されしエクゾディア、そんなどうして事故らずに揃えられたんだ……」
「何だこの人、一人でやってるよ」
「フフフ、フハーハッハッハ!どうだ見たか小童共!この男はボッチを拗らせ、ボッチを極めし男!そんじょそこらのデュエリストなど、ソリティアで終わらせるのだ!どうだ、これが遊戯王だ!遊戯王の負の側面、いや闇、そう闇のデュエルなのだぁぁぁ!」
「材木座、うるさいぞ。訳が分からないから由比ヶ浜達が引いてるだろ」
まぁ、テンションが上がるのはよく分かる。
俺も、最後事故ったかとちょっと焦ったからな。
俺は項垂れる後輩二名に向かって、その顔やめなーと小町によく言われる笑顔で告げてやった。
「遊戯王って、楽しいよね」
「クソがァァァァ!?」
「くそ、最初からPSPを投げ捨てればよかったんだ!エクゾディアの対処法なんて捨てるしかねぇよ!」
発狂する後輩の姿は、最高だった。